「泥濘の先に」歌詞
白い杖が並ぶ玄関で
僕らは確かに笑っていたはずだった
眩しいほどの正義を信じて
誰かの目の代わりになろうとしていた
あの日の密室 震える女性職員の声
庇った僕の手を払いのけたのは
誰あろう 守るべき場所の女性の「代表」だった
お気に入りの男性職員の罪は隠され
泣き寝入りした女性職員だけが去っていった
ここはどこだ 僕は誰だ
キレイゴトで塗り固められた壁を背に
「こんな所にはいられない」と吐き捨てて
逃げるように飛び出した あの冬の日
辿り着いたのは 地下深く響く轟音
上下水道 ポンプ場の冷たいコンクリート
先輩の怒号がヘルメットに反響する
「なにボサッとしてんだ!手を動かせ!」
溢れ出す汚物 鼻を突く強烈な腐臭
川から流れてきた魚の死骸
機械に溜まる生活の残骸たち
汗と汚物にまみれ 無心で掻き出す日々
皮肉なもんだな あんなに綺麗だった場所より
この汚れた水の方が よっぽど正直に見える
気づけば九年 季節は巡り
手のひらの豆は固くなった
ポンプが水を送るように 僕の血もまた巡り始める
怒鳴られ まみれて 清掃して
洗い流したかったのは 下水だけじゃなかったのかもしれない
ここはどこだ 僕は誰だ
問い続けた九年の闇を抜けて
腐った魚も 大量の汚泥も
全部見てきた 全部触れてきた
だからこそ今 もう一度
僕は戻ろうと思う
あの日の無念も この手の汚れも背負って
もう一度 誰かの支えになる場所へ
福祉という名の 本当の戦場へ
迷いはない 泥濘(ぬかるみ)の先に光があるなら
ログインしてコメントを確認・投稿する