山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する“虚構”パートと、その作者である江戸時代の作家・滝沢馬琴の創作の真髄に迫る“実話”パートを交錯させて描く。
人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る。
滝沢馬琴を役所広司、葛飾北斎を内野聖陽、八犬士の運命を握る伏姫を土屋太鳳、馬琴の息子・宗伯を磯村勇斗、宗伯の妻・お路を黒木華、馬琴の妻・お百を寺島しのぶが演じる。監督は「ピンポン」「鋼の錬金術師」の曽利文彦。(映画.comより)
<2024年10月27日 劇場鑑賞>
おもしろかった!お恥ずかしい話ですが、「八犬伝」という題名は知っていて、作者は滝沢馬琴だと歴史では習いました。でも、実際は読んだことなくて、今回の映画で初めて「あぁ!だから八犬伝って言うのか!」と合点した次第です(アホですみません)。
少し前に「HOKUSAI」という柳楽優弥君と田中泯さんがダブル主演の映画も見たというのに、滝沢馬琴と葛飾北斎が親友だったと知らなかった。かの映画に滝沢馬琴も出ていたのだろうか。ともかく、彼らが物語の筋を語らいながら絵を描き、その場面と並行して、若い役者が物語を演じて見せる、という構成はとてもわかりやすく、話もすんなり頭に入って来ました。現実パートの人物も、個性がおのおの際立っていて(妻の寺島しのぶも含め)「八犬伝」の話と混濁させない。本当によくできた映画だと思いました。
里見家。当主は腹心の裏切りに会うなど、世の中の不条理さを嘆いています。そして、つい大きくて強い飼い犬に「敵の大将の首を取ってきたら、娘の姫を嫁にやるのに」などと言ってしまい、犬さんは本当に首をくわえて帰って来ます。そして約束通り姫を連れて行ってしまいます。しかし当主は約束を守るよう言う娘に逆らって姫を取り戻しに向かい、娘と婿犬を同時に失ってしまいます。最期に娘は、魂の珠を8個飛ばし、これを持った若者を集めるよう言い残しました。また当主は、裏切ったある女性を処刑しようとしましたが、彼女の申し開きを聞き一度は助命すると言い渡します。しかし、部下の助言に納得し再び翻意。結局女性を処刑してしまいます。怒り狂った女性は魔物となって里見家を襲います。この呪いを解くには、娘が言い残した8人の勇者を集めるしかありません。当主の腹心は全国に散らばります。
と言うのが、「八犬伝」パートです。その話の展開を馬琴が北斎に語って聞かせるわけです。しかし、優れた挿絵をすらすら描いてくれる北斎は途中で旅に出てしまい、困った馬琴は他を当たります。また、当時は女に教育をつけなかった時代。馬琴の原稿の校正は、息子が担ってくれていたのだけれど、彼は早死にしてしまいます。晩年、目が見えなくなった馬琴は途方にくれますが、息子の嫁(黒木華)が名乗りを上げてくれ、馬琴は文字を一つ一つ、彼女に一から教えながらついには物語を仕上げるのです。教育など受けていないはずの嫁はしかし、たぐいまれな才能で、最終稿などは馬琴が書いたものと区別できないくらいであった、と言われているそうです。素晴らしい。片や、晩年体調を崩し、臥せっているしかなかった馬琴の妻(寺島しのぶ)は、最後の力を振り絞って二人が並ぶ書斎に這って行き、「くっそぉ〜」の言葉を残して亡くなってしまいます。悔しかったでしょうね。ここが一番リアルでした。自分にも教養があったなら。また、同じように教えてもらうことができたなら、嫁より力になれたかもしれぬものを・・・と思っていたでしょうね。
そして、物語パートでのクライマックスでは、8人の剣士が揃い、すべての名前に「犬」がついていることがわかります。「犬山さん」とか「犬飼さん」とかね。そうか!それで「八犬伝」なのか!と、人生の終盤になって合点した私です(笑)。
とにかくおもしろかったですね。物語が若い見栄えのする人たちで可視化されているのがよかったです。爺さんたち(?)のパートもプロの世界で、味があり見ごたえがありましたが、双方本当にわかりやすく描かれていて、楽しめました。時代劇、あんまり興味なかったのですが、見直しました。やっぱいいですね!
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