長編デビュー作「コンプリシティ 優しい共犯」がトロント、ベルリン、釜山などの国際映画祭に招待され高い評価を得た近浦啓監督の第2作。森山未來が主演を務め、藤竜也と親子役で初共演を果たしたヒューマンサスペンス。
幼い頃に自分と母を捨てた父が事件を起こして警察に捕まった。知らせを受けて久しぶりに父である陽二のもとを訪ねることになった卓(たかし)は、認知症で別人のように変わり果てた父と再会する。さらに、卓にとっては義母になる、父の再婚相手である直美が行方をくらましていた。一体、彼らに何があったのか。卓は、父と義母の生活を調べ始める。父の家に残されていた大量の手紙やメモ、そして父を知る人たちから聞く話を通して、卓は次第に父の人生をたどっていくことになるが……。
主人公・卓を森山未來が演じ、父・陽二役は「コンプリシティ 優しい共犯」でも近浦監督とタッグを組んだ藤竜也が務めた。卓の理解者となる妻の夕希役は真木よう子、行方知れずの義母・直美役は原日出子。第71回サン・セバスチャン国際映画祭のコンペティション部門で藤竜也がシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を受賞。第67回サンフランシスコ国際映画祭では最高賞のグローバル・ビジョンアワードを受賞。(映画.comより)
<2024年8月18日 劇場鑑賞>
こういう理屈っぽそうな邦画は、あんまり選ばないのですが、今回はよく行く和歌山のマルチプレックッスシアターの名画座で上映されていたので、なにか評判の映画なのかと思って見てみました。
しかしまぁ、所々腑に落ちない映画ではありました。もちろん、役者さんたちはさすがの名演で、認知症をわずらった頑固な元大学教授の藤竜也、その息子の森山未來、父の再婚相手(要するに義母)の原日出子など、本当に名演だったと思うのですが、冒頭の警察の物々しい出動シーンから始まって、だから結局何を言いたかったのかがよくわからない感じでした。そんなもの、なかったのかもしれませんが。
元気なころから理屈っぽくて上から目線の父親はしかし、森山くんたち母子を捨てて原日出子さんと一緒になってるのです。後に、結婚する前から彼女のことが好きだったことがわかります。彼女に対する恋文の中で「月並みに結婚してしまった」とあるのです。こんなこと、言われたくないですよね。母子はショックすぎます。とにかく、映画はその”教養人”だった父親が認知症になってしまい、周りが振り回されるという話、そこに尽きるのです。父が元気なころから、真面目な森山くんは、父親にどんなに因縁つけられても(優しい義母の手前もあるだろうが)逆らうこともせず「はい」と答えていた賢い男の子なのです。すごいと思いました。こんなこと、あり得る?と思うほど。私なら真剣にいやになる。絶対に会いになんか行かない。しかし、森山君が義母に会ってるのは過去のシーンで、実際認知症で問題を起こして呼ばれた頃は彼女はいなくなってて、父は一人だったのです。「あいつは死んだ」とか、父は会うたび違うこと言うから実際のところはわからなくて、かなり探す羽目になるし、なぜか義母の”本当の息子”も登場するのに(最初の結婚で子供がいた。熱烈なアタックにより、離婚してまで藤竜也と一緒になったのですね)、彼も本当のことを言わなかったり。よくわからない展開でした。
もちろんそれなりの理由があっての不在だとは思うのですが、やはり妻であったのですから、そうなる前に専門家に相談するとか、役所に相談するとか、それこそ森山君に相談するとか、なにか手は打てたのではないかと思うのです。本人が頑固に嫌がるということはあったにしても。実際、あれだけ認知症が進行しているのにほったらかしたら危ないし。車の運転がままならなくなっても、妻に怒鳴り散らして自分で行ってしまったところは、本当に怖かった。よく事故にならなかったものです。
この映画での「不在」は、妻(原日出子)の不在なのか、認知症になってしまった父親が、そこに「不在」なのか、あるいは長らく会ってなかった息子とお互いに「不在」だったのか。いろいろ解釈できるのだと思います。でも、凡人な私は、なんだか不思議な感じ、腑に落ちない感じを受ける映画でした。
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