・ジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団、フランス国立放送合唱団。バリトン独唱:カミーユ・モラーヌ。オルガン:アンリエット・ピュイグ=ロジェ。1971年録音 ERATO 0825646154975
・ティエリー・フィッシャー指揮、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団、BBCウェールズ・ナショナル合唱団。バリトン独唱:ジェームズ・ラザフォード。2007年のライヴ録音 Hiperion CDA67688
この時期になると聴きたくなるのがオネゲルのクリスマス・カンタータです。ちなみに、やはりこの時期になると放送される映画『ホーム・アローン』のテーマ曲、♪ソーミー、ソーミー、ドーーソーーというアレですが、元ネタはこの曲じゃないかと思うくらいよく似ています。オネゲルのクリスマス・カンタータではほぼ中間の転回点ともいえるところで児童合唱が2回入るのですが、この天使のような讃歌のメロディーがソーミー、ソーミー、ラーシドシラシソーなんですよ。
この曲の録音は少ないみたいで、ウィキペディアに挙がっているのは10種類。その中でも手に入るものは限られています。これまでフィッシャー指揮のハイペリオン盤を持っており、4年前にエントリ
http://yuhinomado.jugem.jp/?eid=1623していましたが、先日エントリしたマルティノン・ボックスにこの曲が収録されており、これで比較ができるぞ。まずタイミングですが、フィッシャー盤が24:46、マルティノン盤が23:50で約1分差。基本的なテンポはそう変わりませんが、マルティノン盤はメリハリが大きめで、ところどころ目立って速いところがある。
冒頭、オルガンの低い持続音から始まります。ここの出力レベルがまず違う。フィッシャー盤はごく静かに、マルティノン盤ははっきり。ここから低弦がうごめき出すところで、けっこう年代差を感じます。フィッシャー盤はライヴというのに質感、立体感ともに優れ、動きが見えるしダンゴにならない。さすがはハイペリオンの優秀録音。マルティノン盤はこれだけ聴けばそうでもないですが、比較すると音の小さいところの鮮度が落ちている。ただ、マルティノン盤は熱量がかなりあります。曲の前半では、フィッシャーは落ち着いたインテンポで迫ってくるのに対し、マルティノンは「パシフィック231」を思わせるような白熱ぶりで、クライマックスで出る児童合唱が転回点として軽快に。これはもう趣味の違いf^^;。
不穏な前半から一転して後半は明朗になるのですが、ドイツ語とフランス語で交わされるキャロルに「きよしこの夜」が混じってくる、ここの扱いも違いますね。マルティノンは「きよしこの夜」のメロディーラインが出るところからくっきり聴かせるのに対し、フィッシャーは、1コーラスまでは裏に回って目立たせず、テノールにメロディーが移ってから前に出てくる。あれ、「きよしこの夜」歌ってない?と思わせておいて、そうその通り!みたいな感じ。個人的にはフィッシャー盤が効果的だと思います。バリトンソロも対照的で、フィッシャー盤のラザフォードは深いバス・バリトンである種秘教的な雰囲気を打ち出すのに対して、マルティノン盤のモラーヌは軽い発声でシャンソンぽい。1回だけあるボーイソプラノのソロはマルティノン盤が美しい。
3拍子に入ってからの浮き立つような高揚はどちらも素晴らしい。締めくくりのオーケストラの後奏は、例の「ホーム・アローン」で輝かしく始まり、次第に遠ざかって冒頭のオルガンに収斂されていきますが、ここでも録音差がものをいっており、マルティノン盤はちょっとカサついた感じになっています。
そういうわけで、解釈的には趣味の違いといっていいですが、録音差でフィッシャー盤の勝ち。フィッシャーという名の指揮者は何人かいますが、ティエリー・フィッシャーはスイス出身ということで、オネゲルは「お国もの」になるんですね。いつかオネゲルの管弦楽曲全集とか出してくれないかな。
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