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2023年09月14日13:51

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ミシェル・ペイヴァー『再会の島で』

・『神々と戦士たち』シリーズ II 『再会の島で』

ミシェル・ペイヴァー著、中谷友紀子訳
あすなろ書房

『青銅の剣』につづくシリーズ第2作。前作から1年後で、ヒュラスは13歳になっています。1冊ごとに1年経過という進行は、たしか「クロニクル 千古の闇」も同じだったと思います。

ヒュラスの苦難は続きます。せっかく自由の身になっていたのに捕らえられ、奴隷として鉱山労働に使役されるはめに。妹のイシを探すどころか、一生抜け出せないような境遇に落とされ、焦燥感が募ります。しかし、運命はあざなえる縄のごとし、火山島タラクレア(キクラデス諸島のあたりらしい)で、大巫女の娘ピラ、カラス族のテラモンと再会することになります。

ピラとは信頼関係が築かれていて、お互いに喜び合いますが、テラモンとは距離が離れていく一方。親友だった二人は宿敵として相まみえることになるのか。この二人の関係がどうなるかが今後の大きな見どころでしょう。

登場人物は少しずつ増えており、前回からのアカストスに加えて、カラス族の大物たちや、ヘカビやペリファスといった、ヒュラスたちの助けになってくれる人物もいます。また、動物の視点が入ることも「お約束」で、前回のイルカのスピリットの代わりにライオンの子供ハボックが登場します。

ここからは名前考察コーナーf^^;。ヘカビとは、おそらくヘカベーのことでしょう。『イーリアス』に登場するトロイア王プリアモスの后がヘカベーです。トロイア陥落後、彼女は謀殺された息子の仇を討ち、最後は牝犬に変じたという話が伝わっています。

ペリファスは、ペリアースかな? アカストスの父親で、イアーソーン率いるアルゴナウタイの遠征の原因となった人物。最期はメーデイアに釜で煮られてしまうというとんでもない話なんですが、この物語ではアカストスと同年配のようで、いまのところ生きています。

あと、ヒュラスの妹イシですが、まだ物語では回想シーン以外では一度も登場していません。彼女の名前はおそらくは短縮形で、イーシスあるいはイシュタルではないかと推測します。イーシスはエジプト神話のオシーリスの后で、牝牛となったイーオーや大地女神としてのデーメーテールと同一視されます。イシュタルは、メソポタミア神話の愛と美の女神で、ギリシア神話のアプロディーテーとつながりがあります。どちらにしても大物の女神なわけで、どんな登場の仕方をするのか、いまからわくわく。
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