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2019年05月02日08:21

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人と人の縁

むかーし読んだ田辺聖子の小説、正確には現代語版の源氏物語なんだけど、
これにあった言葉。
「人と人との縁は会っているときだけ。一瞬後には死んでいるかも、次はもうないかもしれない」
「だから会っているときは、お互い心をこめて優しくしあって過ごす」。

最近、この言葉がしみじみと思い出される。
あの言葉を読んだときは、印象的な言い方だ、と思って覚えていたけど、
きちんと理解はできてなかったと思う。

震災のあと、朝何事もなく「いってらっしゃい」と言った家族が帰らない話、
ちょっと見てくると出た家族がすぐそこで津波に飲まれた話、
避難して無事なはずと思った家族が避難できてなかった話、を
山のように聞いた。
その後、ご遺体が見つかれば悲しくても納得できるけれど、
何もなければ心のどこかで納得できない、中途半端な状態が続く。

「会っているときだけが縁」というのは、そういう状態を説明するものだと思う。
説明、というのもうまい言い方ではないけれど
人と人というのは、そういうものなのだ。

すごく仲良しの間柄でも離れたことのない家族でも、
一瞬先はわからない。
病気で倒れるかも、交通事故に遭うかも、そんなことは予測できない。
震災の津波と全く同じだ。
予測できないことは起きないことではなく、突然やってくることだ。

今ある幸せはいつまでも続く、
この人と明日も会える、
そう思うのはいいことだと思う。
ただ、実際にはそうではない。
人はもろい生き物で、縁ももろい。
だからこそ、顔を見ているときが大事なのだ。
親しいのに言い争いしたり知らんぷりしたりするのは、
多少は人生のスパイスかもしれないけど、
そのまま会えなくなったら一生後悔する。
だから会っている間に仲直りして、にっこり笑って
「じゃあまたね」と言うようにしたほうがいい。

本当にそう思う。
そう思う一方で、大事な人の顔を見られる幸せが
いつまでも続きますようにと願わずにもいられない。
もろい人、もろい縁だからこそ、願わずにいられない。


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