アメリカのテネシー州で9月30日、リスタ・パイク死刑囚(50歳)に対し、
通常なら致死量となる鎮静剤ペントバルビタールを2回投与しましたが、
死亡しませんでした。
重篤な状態で病院に搬送されたものの、その後意識が回復し、
弁護団は、「クリスタ・パイク死刑囚は地元の病院を退院し、
30年以上にわたって収容されてきたデブラ・K・ジョンソン更生センターに戻った」と
発表したとの事です。
テネシー州の知事は、既に年内の執行を停止する旨を発表しているようです。
しかし、その後どうするのでしょうね?
夏目漱石の「吾輩は猫である」には、死ななかった死刑囚の話が出て来ます。
理学士の水島寒月が「首縊りの力学」の演説をするので、
その練習をすると言う話の中に出て来ます。
この演説の中で、2度目の執行を受ける話と、執行されない話が両方出て来ます。
寒月は寺田寅彦をモデルにしていると言う話がありますが、
寺田寅彦が研究していた訳ではなさそうです。
実際の話として、石鐵県死刑囚蘇生事件が、明治時代初期に起こります。
石鐵県(石鉄県、現在の愛媛県)で絞柱による死刑執行から蘇生した事件です。
別名を「田中藤作蘇生事件」とも言います。
当時の死刑は、絞柱という懸垂式の処刑器具でした。
この器具は死刑囚のうなじに縄をかけ、その縄の先に
20貫(約75Kg)の重石を吊り下げて絞首する仕組みでした。
なお絞柱で処刑された死刑囚のうち3人が蘇生したことが記録されていますが、
処刑の経緯やその後の経緯について現在に伝わる記録は、
田中藤作に関するものが唯一との事です。
田中藤作に関して、どうしたら良いか石鉄県では中央にお伺いを立てますが、
中央政府から指示が届いたのは翌1873年(明治6年)9月の事で、
生き返ったとしても既に法に従い刑罰としての執行は終わっているのだから、
再び執行する理由はない、よって戸籍を回復させよというものでした。
パイク死刑囚に対して、どうするのか分かりませんが、
現在のアメリカでは、死刑に関して別の問題が起こっています。
アメリカの国防総省が年内に予定する銃殺刑の執行を
インターネットで生中継する方針を発表したことによる問題です。
元アメリカ陸軍精神科医のニダル・ハサン死刑囚は、
2009年に13人を射殺したテキサス州フォートフッドで、
12月3日に死刑が執行される予定となっています。
トランプ大統領が、中継するかしないか決めるようです。
こうした問題を受けて、アメリカでは死刑制度の倫理的な是非をめぐる議論が
改めて注目されています。
アメリカでは全50州のうち23州が死刑制度を廃止しており、
カリフォルニア、オレゴン、ペンシルベニアの3州では執行を一時停止しています。
全体的には死刑廃止の趨勢なのですが、まだ存置されている州もあります。
この2件の問題で、死刑制度の議論が深まれば良いがと思います。
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