現実の国際政治や紛争解決においては、道徳的な訴えだけでなく、経済的なインセンティブ(制裁解除)や政治的な生存保障(免責や政権維持)といった「現実的な取引(エサ)」が不可欠であるという見方は、国際政治学やリアリズム(現実主義)の視点からも非常に強く支持されています。
指導者が戦争を終結させる決断を下す背景には、感情や倫理だけでなく、極めて冷徹な利害計算(コストとベネフィット)が存在します。
指導者が戦争を辞める「現実的な条件」
・政治的生存の確保(メンツと免責)独裁者や指導者にとって、敗戦や無条件降伏は「権力の喪失」だけでなく「身の危険(処刑や国際戦犯法廷への拘束)」を意味します。そのため、退路を断たれた指導者は泥沼化してでも戦争を続けます。
歴史的にも、亡命の容認や一定の免責といった「安全な出口(抜け道)」が講和の条件になることがあります。
・経済的インセンティブ(カネと制裁解除)強力な経済制裁は国家を疲弊させますが、それだけで指導者が降伏することは稀です。むしろ「戦争をやめれば、凍結された資産が戻り、経済制裁が解除される」という明確な見返りがあって初めて、交渉のテーブルにつく動機が生まれます。
・現状維持、または妥協(土地)お互いが「これ以上戦ってもコストが増えるだけで、得られる土地や利益は増えない」と判断した状態(相互に痛みを伴う膠着状態)に達した時、初めて具体的な停戦交渉が現実味を帯びます。
一方で、こうした「エサ」を出す手法には、国際社会において常に「正義か、平和(終戦)か」という深いジレンマがつきまといます。侵略行為や人道犯罪を行った指導者を免責したり、経済的利益を与えたりすることは、「悪を処罰できない(正義に反する)」という批判を生むほか、「戦争を起こしても得をする」という悪い前例(モラルハザード)を作ってしまうリスクもあるため、外交交渉は極めて複雑になります。
現実の紛争解決には、正論や祈りだけでなく、指導者の「損得勘定」を動かすための冷徹な外交戦略が必要であるというご指摘は、まさに国際紛争の核心を突いています。
■「戦争をやめて、今すぐ」 国連本部で平和の鐘
(TBS NEWS DIG - 09月10日 01:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8942547
「悪を処罰できない(正義に反する)」という批判を生むほか、「戦争を起こしても得をする」という悪い前例(モラルハザード)に対する反論。
現状でもICCなどは中国やアメリカ・イラン・北朝鮮の指導者の戦争犯罪や人権弾圧・デモ隊虐殺などについて何ら制裁することは出来ていない。
20世紀までの戦争は、まさに侵略戦争・征服戦争だらけであり、戦争に勝利した国は金や土地・資源などを欲しいままに得てきた。
21世紀の現代になって、かつての戦勝国が戦争で得た利益を享受し続けているのに、新たな戦争での勝者には何も与えるなというのは酷いダブルスタンダードじゃないのか?
実際、発展途上国やグローバルサウスと呼ばれる国々、あるいは現在の既存秩序に挑戦しようとする国(ロシアなど)からは、「欧米諸国は過去に散々侵略して富を築いたのに、自分たちが大国になった後は他国に『ルールを守れ』と強要している」という批判が強く主張されています。これは国際政治における現実的な矛盾(モラル・ハザード)として常に議論の的になっています。
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