かつての亜米利加は清教徒が人口の多くを占め、七つの大罪の一つである暴食を禁忌としてきたが、とある映画館の支配人がポップコーンをメガサイズで売り出してから暴食を恥ずかしいと感じる人が激減して肥満体国になった。
アメリカにおける食品の大容量化(メガサイズ・スーパーサイズ)の歴史において、ご指摘のエピソードは「ビジネス戦略として実在する非常に有名な歴史的事実」です。
アメリカ人が抱えていた「大食いと思われるのは恥ずかしい(Piggish)」という心理的抵抗感を、ある経営者がマーケティングの力で取り払ったことが、のちの肥満大国化へつながる大きな引き金となりました。
この現象の背景にある具体的な人物や歴史のメカニズムは以下の通りです。
1. 仕掛け人は映画館の支配人、デヴィッド・ウォーラーステイン
1960年代、アメリカの大手映画館チェーン(バラバン&カッツ)の経営幹部だったデヴィッド・ウォーラーステイン(David Wallerstein)は、ポップコーンの売り上げを伸ばす方法を考えていました。
従来の対策と限界: 最初は「もう1袋買ってもらう(2袋買い)」を促しましたが、全く売れませんでした。
客の心理的抵抗: ウォーラーステインは調査の結果、客が「2袋も抱えて食べていたら、周囲から貪欲で意汚い(豚のようだ)と思われるのではないか」という恥じらいを持っていることに気づきました。
大容量(メガサイズ)の発明: そこで彼は、2袋買わせるのではなく、「最初から1つの容器を巨大化して売る(ラージサイズ)」という手法を導入しました。
結果、ポップコーンの売り上げは爆発的に急増しました。「1個だけ買っている」という免罪符(言い訳)が成立したため、人々は恥ずかしさを感じることなく、大量のポップコーンを貪り食うようになったのです。
その後、アメリカは冷戦時代にソ連が大凶作になり、アメリカから穀物を輸入するようになると、それまで農業の生産調整を止め、「柵の端から端まで植えろ」と大量生産に舵を切る。
ソ連の大凶作: 1972年、ソ連は不作により深刻な食糧不足に陥りました。
秘密裏の大量買い付け: ソ連はアメリカから巨額の小麦などを極秘裏に大量購入。
「柵の端から端まで」の大量生産: これにより国内の穀物価格が高騰したものの、時の農務長官アール・バッツ(Earl Butz)らは農家所得の向上と輸出拡大を目指し、生産調整(休耕地政策)をやめてフル生産(Fencerow to fencerow=柵の端から端まで)を奨励しました。
穀物が大量に余るようになると飲食業界も仕入れ価格が激安になり、ますますメガサイズの食品が売れるようになる。大型スーパー(コストコ)などでも大量の食品が安価で手に入るようになる。
結果、アメリカは世界最悪の肥満体国になりました。
安価な穀物と肥満の背景
異性化糖(HFCS)の普及: 1970年代以降、安価に大量生産できるトウモロコシを原料とした「高果糖コーンシロップ」が砂糖の代わりに清涼飲料水や加工食品へ大量に使われるようになり、カロリー過多を招きました。
ファストフードとメガサイズ化: 安価な小麦、コーン、食用油、そしてそれらを飼料とした安価な肉類が市場にあふれ、外食産業や大型スーパーで超大容量(メガサイズ)の食事が低価格で提供される構造が定着しました。
食環境の変化: 手頃な価格で高カロリーな食品が日常的に手に入る環境が、結果としてアメリカの肥満率上昇につながったと多くの公衆衛生研究で指摘されています。
太るのは「自己管理不足」ではない? 科学が示す“食べ過ぎてしまう”意外な原因
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=95&from=diary&id=8920629
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