皆様、お今晩は。去年の6月6日に公開されて日本映画のあらゆるレコードを塗り替えた映画『国宝』の三度目の鑑賞をアマゾンプライムビデオにて致しました。
三回目ですし、この映画の概要は大概の方が知って居られると思うので今回はいきなりネタバレ全開で行かせて頂きます。
一回目の鑑賞は公開初日に新宿ピカデリーで二回目の鑑賞はTOHOシネマズ新宿にて鑑賞し、次は東映系列のシネコンである新宿バルト9でと考えていたのですが遂に果たせずにおりました。
三回目の鑑賞はPCの画面で鑑賞致しましたが、気に為ったところが止められるというのが大きくてしっかりと確認出来ましたので書かせて頂きます。
この物語の主人公は吉沢亮さまと黒川想矢さま演じた立花喜久雄と横浜流星さまと越山敬達さま演じた大垣俊介なのですが、今回は俊ぼんの事にはほぼ触れません。その代りに取り上げさせて頂くのが田中泯御大演じられた小野川万菊師匠でして、喜久雄と万菊の二人の決定的な差について意見したいと存じます。
小野川万菊師匠のモデルは、六代目中村歌右衛門さまでして、喜久雄のモデルは言うまでもなく坂東玉三郎さま、御二方とも人間国宝であらせられます。この二人の確執について書かれたのが中川右介さまの幻冬舎新書から2010年に出版された『坂東玉三郎 歌舞伎座立女形への道』であります。
横道にそれましたが、万菊師匠はどこからどう言っても「女性性」を突き詰めたキャラクターで御座いまして、それとは正反対に喜久雄というキャラクターは女役を演じながら、芯の部分では「男性性」の権化みたいなお方です。
万菊師匠と喜久雄が初めて逢うのが00:34:50秒での『鷺娘』の準備中の万菊の楽屋でして楽屋の中に日本人形が置かれております(ココ重要)対して喜久雄の方は学生服。此処で『鷺娘』を観ている間迄が黒川想矢さまのパート。
時間軸がズレますが00:13:03のところでクレジットの『国宝』が現れそのバックにはミミズクの刺青をした喜久雄の中。00:13:21に橋のたもとで革ジャンパーを着ている喜久雄と原作では準主役の早川徳次(下川恭平さま)の御姿。一年後それを着て半二郎の元を訪ねる喜久雄の姿。今回使った写真は浪花座で半二郎が舞台を務めているところを喜久雄が半二郎の妻である大垣幸子(寺島しのぶ姐さん)で00:19:40のところで俊介とご対面となるのですが、ここでの俊ぼんの塩対応が凄い。
バーンと時間を飛ばして2:07:56で、喜久雄は引退して久しい万菊師匠に呼び出されドヤ宿みたいなところに連れていかれますが、この時も喜久雄はあの革ジャンを着ているんです。白髪となって死を待つばかりの万菊師匠が手招きを致します。背景に写るのは昭和時代の壁とあの日本人形だけという有様。
そこで万菊師匠が放たれる珠玉の一言「ここには美しいものが一つもないだろ、なんだかホッとすんのよ”もう いいんだよ”ってやっと誰かに言ってもらったみさいでさ」 首を上げて「あなた どこにいたんですよ 踊ってごらん」扇子を手に持ち替え「私には分かるんだ」と言って扇子を受け取る喜久雄。
着目すべきはこの時の喜久雄の着ていたシャツが今まで紫色主体のカラーだったのに、俊介に割り当てられた青系の色になっていることと万菊師匠が来ていた襦袢の色ですが、青でも紫でもなく濃茶色なんですね。そして取り出した扇子は紛れも無く「琳派」の絵師の作。
此処まで書いてきて本当に言いたいのは喜久雄の革ジャンは単なる衣装では無く「大河浪漫としてのアイコン」であると言う点でして、吉沢亮さまと黒川想矢さまの2ショットの写真を見て確信しましたが御二人とも背丈がそんなに変わらないのです。
万菊師匠の「日本人形」もそう。この二つは小道具や衣装の枠を超えております。
何で喜久雄の革ジャンが男性性の象徴なのかと言えば、革の歴史は古代ローマ迄遡ります。古代ローマの兵士が着ていたので元祖ミリタリー系グッズなのです。だからフェンディ、グッチ等のラグジュアリーブランドの御本家の殆どはイタリア発生なので、ではフランスのエルメスはどうか?と言われればユリウス・カエサルの『ガリア戦記』を紐解くまでもなく、古代ローマの支配下にあったし、馬具が由来だったという事でご納得頂けるのでは無いかと思っております。
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