mixiユーザー(id:1602714)

2026年07月06日21:16

20 view

「ウィスキー・ガロア」「カインド・ハート」英国イーリング・コメディの黄金時代、その1

フォト

1930年代から50年代にかけて英イーリング撮影所で撮られた一連の喜劇作品。プロデュサーのマイケル・バルコンの名を採って『バルコン・タッチ』とも呼ばれます。→

フォト

「ウィスキー・ガロア」Whisky Galore!。1949・英イーリングスタジオ・白黒35mm(BD)。監:アレクサンダー・マッケンドリック。原:コンプトン・マッケンジー。脚:アンガス・マクフェイル。撮:ジェラルド・ギブス。編:ジョセフ・スターリング。音:アーネスト・アーヴィング。
フォト

フォト


出:バジル・ラドフォード、キャサリン・レイシー、ジョーン・グリーンウッド、ブルース・シートン、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、ヘンリー・モリソン、モーランド・グラハム、ゴードン・ジャクソン、ワイリー・ワトソン、ダンカン・マクレー、ジーン・カデル、コンプトン・マッケンジー。
フォト


二次大戦中にヘブリディーズ諸島エリスケイ島沖で実際にあった『貨物船ポリティシャン号座礁遭難事件』を基にした小説が原作。ウイスキーガロアはゲール語で『山積みのウイスキー』といった意味。なお同名の日本のウイスキー専門誌は本作が由来で、編集長の土屋守さんのトークショーも行われました。
フォト

フォト

フォト

フォト


地域を挙げて酒を隠す映画は一つの定番ですが本作は最高傑作の一つ。独軍の英侵攻は挫折し田舎では戦争などどこ吹く風。それより酒の配給が途絶えた島では死活問題であり、イングランドとスコットランドの対立など英文化独特の風刺とブラックジョークが濃厚に味わえ、米のスラップスティック喜劇
フォト

フォト


とは正反対に精神にジワジワ来てとにかく可笑しい。登場するウイスキーの製造元はエジンバラの『ディスティラーズ(現ディアジオ)』で日本でもお馴染みの銘柄多数ですがタイアップスポンサーではありません(が、映画封切時に興行宣伝協力)。ロケはヘブリディーズ諸島のバラ島で行われたそうです。
フォト


原作者のマッケンジーは映画出演が夢で、劇中の『SSキャビネット・ミニスター号(字幕では大臣号)』船長役で登場。医者の自家用車は『オースチン10クリフトン』、島の乗用車は『ウォルズリー18/85』、トラックは『ダッジ2トン1936年型』ですね。関税消費税庁のHSL(高速救難艇)は
フォト

フォト

フォト

フォト


海軍の『ボスパー72ft型』MTB(高速魚雷艇)の在り物映像のようです。なお内容が「サンタ・ビットリアの秘密(1969米)」によく似てますが原作も違い無関係。サンタ〜のイタリア人とドイツ軍の関係が本作だとスコットランド人とイングランド人に成ってます。どちらも超面白く老若男女関係無くオススメ。
フォト

フォト

フォト

フォト









「カインド・ハート」Kind Hearts and Coronets。1949・英イーリングスタジオ・白黒35mm(BD)。監:ロバート・ヘイマー。原:ロイ・ホーニマン『Israel Rank: The Autobiography of a Criminal』。脚:ジョン・ダイトン。撮:ダグラス・スローカム。
フォト

フォト


音:アーネスト・アーヴィング。出:デニス・プライス、ジョーン・グリーンウッド、ヴァレリー・ホブスン、アレック・ギネス、オードリー・フィルデス、マイルズ・マレソン、クライヴ・モートン、ジョン・ペンローズ、セシル・ラマージ、ヒュー・グリフィス、、アン・ヴァレリー、アーサー・ロウ。
フォト

フォト

フォト

フォト


原題はアルフレッド・テニソンの詩集『Lady Clara Vere de Vere』の詩が由来。階級社会と性差別を強烈に皮肉ったブラックジョークが炸裂、オチも上方古典落語のようでとにかく凄い。気狂いの国イギリスが本気で物事に取り組んだら跳び抜けた成果物を生み出すという典型例に思えます。
フォト

フォト

フォト

フォト


筋書以外で最大の見所はアレック・ギネスの一人8役で(同時に登場するシーンはカメラを固定しマスクによる複数回撮影での特撮合成)。特に軍人の容姿が英国陸海軍の貴族階級将官イメージそのもので笑いを堪えるのに必死。ホレーショ・ダスコイン提督(勿論、ホレーショの名はシェークスピアというより、
フォト

フォト

フォト

フォト


海洋小説の『ホーンブロワー』やネルソン提督と同じとしたと解釈するのが妥当)の衝突海難事故は設定当時実際に起こって世間を騒然とさせた戦艦『HMSビクトリア』沈没事件を基にしており、アレック・ギネスは実際に水中に没して『羅針儀に体を縛り付け敬礼しながら艦と運命を共にする』艦長や提督の
フォト

フォト

フォト

フォト


ステレオタイプイメージを演じ4分間呼吸を止めてたそうで、流石は後の世の『オビワン・ケノービ』というか女王陛下から『サー』の称号を戴くだけの事はあります。舞台設定が20世紀初頭で、再現された街中や主人公の勤める仕立屋のスーツ移動装置、銀行の各種器具など超先進国で『日の沈まない国』だった
フォト

フォト

フォト

フォト


最盛期の大英帝国描写も見物。取材シーンの『ティットビッツ』誌は実在していて現在も発行されてます。ロケ地はケント州ハリエットシャム村とボートン・モンチェルシー村、特に『リーズ城』は映画やドラマにしばしば登場します。何でこんな凄い映画が当時日本で公開されなかったのか不思議でなりません。
フォト

フォト

フォト

フォト


上映後、映画評論・編集者の高崎俊夫さんと、翻訳家の宮本高晴さん(字幕や吹替ではなく書籍)によるトークショーが開催されました。15年前発刊されたイーリング社コメディの歴史を扱った「英国コメディ映画の黄金時代─『マダムと泥棒』を生んだイーリング撮影所」(チャールズ・バー著、清流出版刊)
フォト

フォト


の翻訳の苦労など。それまで日本で劇場公開されたのは「マダムと泥棒(1955、アレクサンダー・マッケンドリック監督)」一本のみだった為、翻訳に際しては本国で発売されたばかりのDVD50本以上取り寄せて観たとか。未訳ながら監督や役者、関係者の回想録もいくつか紹介されました。
フォト

フォト


そしてコメディーではないものの、イーリング撮影所の傑作代表作として「日曜はいつも雨」が会話に何度も登場。ケイズシネマでは『ブリティッシュ・ノワール特集』で上映されました。
フォト



0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年07月>
日 月 火 水 木 金 土
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031