「夜に現れた女」Přišla v noci。2023・捷アートカム・DCP標準/話捷語(日本初公開)。監脚:トマーシュ・パヴリーチェク、ヤン・ヴェイナル。撮:シモン・ドヴォルチャーチェク。編:ヤクブ・ヴァンサ。音:エイドキッド。出:シモナ・ペコヴァ、アネット・ネスヴァドボヴァ、
ジリ・レンドル、ウラジミール・クラティナ、ユディット・ペハーチェク、デニサ・バレショヴァ、ミハル・ケルン。。展開はコメディなんだけど内容はサイコスリラーという意欲作。自分に都合の良いように考え行動し富を独占する老人達。決して認知症な訳ではなく、面倒なので都合の悪い事は考えたく無い、
やりたくない事はやらないという何の悪気も無く元々の人格に加齢でデフォルメが加わった老人達に如何に対処するかという問題提議です。一方的に消費した上、生産を妨害する老人達は決して欧州先進国の問題ではなく、日本もその当事者であり老人の権利最優先で社会が疲弊して行く様は人事ではありません。
社会を食い潰して行く老人に対して、チェコの若い世代は優秀であり収支さえ上手く行う方法さえ見付かれば問題点の半分は解決する光明が見えます。一方、日本は若い世代も消費以外に能力が無く、社会が一方的に下降線を辿りそれを粉飾によって補っている訳で、本作を観ると暗鬱な気分になります。
「エストニアの聖なるカンフーマスター」Nähtamatu võitlus。2023・エストニア:ホームレスボブ。監脚:ライナル・サルネット。撮:マート・タニエル。美:ヤーグプ・ルームット、マルティシュ ストラウペ。音:日野浩志郎。
出:ウルセル・ティルク、エステル・クントゥ、カーレル・ポガ、インドレク・サムール、セパ・トム、レイン・シマル、ティナ・タウライト、マリ・アベル、マリア・アヴジュシュコ、マリカ・バラバンシュトシコワ、レイン・オジャ、エッケ・マーテン・ヘクレス、アレクサンドル・オクネフ。
その実態はバカ映画に偽装したエストニアの民族性を重厚に濃縮した文化作品。とにかくエストニア史、独自のキリスト教(エストニア使徒正教会)など直接的に表現して重苦しい作風に成ってしまわぬよう、ロック(ブラック・サバス)・ヒッピー・カンフーの衣で包んでいる点が凄いアイディア。
舞台は独立前のソ連領時代。が、共産主義では有るまじき宗教の修道士が何故かカンフーの達人を目指すという破茶滅茶な内容。最初の敵は見た目は狂ってますが『東方の三賢人』にしか思えません。原題を直訳すると【見えない戦い】で、宗教&功夫修行を意味するものと思われます。
画面演出は最近よくあるタランティーノの劣化コピーそのもので可笑しくはあるものの、同時にゲンナリもしますね。「またこんな映画かよ」って印象でオリジナリティーはありません。思いついたネタを順番に合体させた一発勝負の作品に感じます。
でも気合は入りまくりなのが何とも可笑しい。ロケはヴァルガマーのプリイパル教会、セトマー市のサーツェのガレージ、ラクヴェレのピイラ動物病院、タリン刑務所ヴォーレス博物館、ラトビアのリエパーヤとシュトラウペ城、ギリシャのアテネとパイアニアで行われたそうです。
ソ連式集合住宅フルシチョフカでの暮らしも見物。そして何よりピカピカで快調に走る『ZAZ968ザポロージェツ』と『ヴォルガ24型』が素晴らしい。公募で調達された車両で、オーナーの愛が半端じゃありません。
二年前に本邦封切りされた新宿武蔵野館でのコラボメニューは私が観た時は既に売り切れで残念。
https://www.flag-pictures.co.jp/estonia-kungfumaster/
https://eufilmdays.jp/year2026/
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