「ダイヤモンド・ジム」Diamond Jim。1935・ユニバーサル・白黒35�弌�BD)。監:Aエドワード・サザーランド。原:パーカー・モレル『Diamond Jim Brady』。脚色:ハリー・クローク、ドリス・マロイ。脚:プレストン・スタージェス。撮:ジョージ・ロビンソン。
編:ダニエル・マンデル。音:ファーディ・グロフェ、フランツ・ワックスマン。出:エドワード・アーノルド、ジーン・アーサー、ビニー・バーンズ、セザール・ロメロ、エリック・ブロア、ヒュー・オコネル、ジョージ・シドニー、ウィリアム・デマレスト、ロバート・マクウェイド、パーネル・プラット。
一代で大財閥を築いた実在の鉄道王ジェームズ・ブキャーナン・ブレディ、通称『ダイヤモンド・ジム』の伝記です。美食家(というより大食漢)としても有名で作中でも豪勢な食事シーン多数。一方、自動車との関わりは全く描かれません。また現代人の目で見ると、株価大暴落のシーンは1929年の世界恐慌と
思ってしまいますが、ダイヤモンド・ジムは1917年(一次大戦中)に亡くなっており、この下りは『1873年恐慌』の事で要注意です。その後、復活を遂げる鋼製車両のデモンストレーションシーンは『パシフィックコースト鉄道(廃線)』の協力でカリフォルニア州サンルイスオビスポで撮影されたそうです。
作品自体は主人公の誕生から亡くなる直前まで欲張って描いている為、振ったエピソードの内容を端折り過ぎて分かりづらく纏まりに欠ける印象です。主人公を演じたエドワード・アーノルドはダイヤモンド・ジム本人と面識があり、本作のヒロインを主役にした「リリアン・ラッセル」でもジム役で出演しています。
例によって字幕翻訳が酷過ぎます。どうやら特定の翻訳家にこの酷さは集約されてるみたいで、分からない専門用語はそのままカタカナにしたり、珍妙な新造語を使ってみたりで閉口します。どうやら珍語は機械翻訳のようで、専門家の助言があっても無視して、悪い意味で戸田奈津子方法論の後継者なのでしょう。
「崇高なとき(偉大なる瞬間)」The Great Moment。1944・パラマウント・白黒35�弌�BD)。監脚:プレストン・スタージェス。原:ルネ・フロプ=ミラー『Triumph Over Pain』。撮:ヴィクター・ミルナー。編:スチュアート・ギルモア。音:ヴィクター・ヤング。
出:ジョエル・マクリー、ベティ・フィールド、ハリー・ケリー、ウィリアム・デマレスト、ルイス・ジーン・ヘイト、ジュリアス・タネン、エドウィン・マクスウェル、ポーター・ホール、フランクリン・パングボーン、グラディ・サットン、トーベン・マイヤー、ヴィクター・ポテル、サーストン・ホール。
手術の為の全身麻酔の祖の一人、ウィリアム・トーマス・グリーン・モートンの半生を追った伝記映画。主人公は伝記にありがちな聖人ではなく山師的側面も持つ人間味溢れる人物で、また『誰が最初に行ったか?』『発明者は誰か?』で泥沼の争いが実際に起きていた事も描かれます。現在ではこの問題は、
「そのアイデアが最初に頭に浮かんだ人ではなく、世界に周知させた人」としてモートンを讃える形で決着しています。内容自体は深刻でシリアスなのに、コメディースタイルで観客を暗い気分にさせない演出法に驚かされます。審査中の特許権より一人の少女を救う為に麻酔薬の成分を公表する決心をしたラストシーン
は感動的(実話)。決定権を持つ立場の人物達は、人間の命や苦しみよりも自己の金銭的利益や権威に因る優越感を優先、さらに大統領でさえ皮肉る姿勢は戦時中の映画とは思えず、従属を美徳とする国威高揚に反する内容に驚かされます。例によって化学医学専門用語は不思議翻訳の連続で、字幕で『笑いガス』表記は
普通日本語では『笑気ガス』と呼ばれ、また訳者はそれと『亜酸化窒素』は同じものだと理解せず訳してる模様。化学式もテストだと×印が付く表記が為されてます。モートンが行ったのは『エーテル麻酔』と呼ばれジエチルエーテル(通称『エーテル』)を使用するものですが、字幕では『エチル』と表記。
「トンプソン少佐の手帳」Les Carnets du Major Thompson。1955・仏ゴーモン・白黒35�弌�BD)。監:プレストン・スタージェス。原:ピエール・ダニノス。脚:シルヴェット・ボードロ。撮:クリスチャン・マトラス、モーリス・バリー、ジャン・ラリエ。編:レイモンド・ラミー。
音:ジョルジュ・ヴァン・パリス。出:ジャック・ブキャナン、マルティーヌ・キャロル、ノエル・ノエル、トッティ・トルーマン・テイラー、アンドレ・ルゲ、ジュヌヴィエーヴ・ブルネ、ポーレット・デュボスト、マドレーヌ・バルビュレ、ジーナ・マネス、ガストン・オルバル、ルイゼット・ルソー、ジャン・ヤンヌ。
自国の国民性や文化を笑い飛ばす『自虐もの』コメディーは各国にありますが、本作はそのフランス版。プレストン・スタージェス監督とジャック・ブキャナンの遺作でもあります。全編『そうそう、それそれ』的仏人のステレオタイプ的振舞いが爆笑ものですが、比較されるイングランド人(スコットランド等を含まず)
の誇張された風刺がまた可笑し過ぎます。どちらもブルジョア階級という点もポイント。因みに日本は準先進国でフランスの純朴な弟分というのも欧州ではありがちな扱い。とはいえ全てにおいて悪気の無い、むしろ愛に満ちたお笑いで観終わった後の爽快感が抜群。ブキャナンがまた英陸軍少佐の役が余りに
はまっている一方、仏映画なのでおそらくあえて語尾を上げる『貴族発音』はしてません。風刺は鉄道に関するものや、勿論自動車大国ですから『プジョー203』や『ルノー4CV』といった大衆車による危険極まりないギャグまで、全編『それはやり過ぎ!』とツッコミたくなる風刺の可笑しさが満載で素晴らしい。
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