イングランド北部にある炭鉱の町で、最後に残ったパブとして住民たちから親しまれる「オールド・オーク」。町が活気にあふれていた時代から約30年が過ぎ、現在は厳しい状況に陥っているが、店主のTJ・バランタイン(デイブ・ターナーさま)は試行錯誤しながら経営を維持していた。しかし町がシリア難民を受け入れはじめたことで、人々が安らぎを見いだす場所だったはずのパブが、居場所を争う場へと変貌してしまう。そんな店の先行きに頭を抱えていたTJは、カメラを携えたシリアの女性ヤラ(エブラ・マリ姐さん)と出会い、思いがけず友情を育んでいく。
ケン・ローチ監督の作品を初めて観たのが、スペイン内戦を取り扱った『大地と自由』ですから、もう30年前の出来事になってしまいます。何だかんだと申しましてアイルランド独立運動と内戦を扱った『麦の穂をゆらす風』(2006年)からは、全作では無いですが『ジミー、野を駆ける伝説』以外は、ほぼ映画館にて観ているという稀有な存在の御方です。巨匠の最後の作品としてえ本作を2023年に世に出して3年後に日本で公開されたのですが、この時期で逆に良かったなぁと思うのです。
今回のテーマは寂びれてしまった炭鉱町を舞台にした移民問題とそれによって引き起こされる排外主義ですが、これって日本を含めてどの国でも起こっている極めて普遍的なテーマでは無いでしょうか?
この映画の優れたところは、移民に否定的な地元民とヘイトを向けられるシリア難民の方々を公平に描いているところでして地元民の方々もかつてのように探鉱によって町が栄えていれば「労働力として歓迎」ってことで少しは寛容になれたかも知れないのです。貧困にあえいでいるからこそ、その怒りは政府によって保護を受けていると見られている難民の方に向けられるのですが、そもそも難民の方も誰も好き好んで国を離れた訳では無い、ちょっと考えれば誰でもわかるようなものですが現実は怒りの捌け口が欲しいからこそ……となるんだろうなぁと思っております。
最後の方まではかなりいい感じで進んでいくのですが、ラストは「それはないだろう」と思ってしまったのが事実でして、個人的には前作の『家族を想うとき』の様に胸が締め付けられるような痛切な終わり方の方が良かったです。
https://oldoak-movie.com/
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