ワシの時代はストレート研修(ワシは産婦人科)が普通だったが、
外科系は麻酔科研修をすることができた。
麻酔科を回るとまずやるのは「術前回診」。
手術前の患者さんを訪問して軽く病歴を聞き、検査データをチェックする。
その日、ワシが術前回診したのは眼科で、翌日に白内障手術を控えていた患者さん。
データ的にはちょっと血圧が高いが内服もしていないくらい。
ただ、胸部レントゲンを見て「なんだか変」と思った。
そのまま麻酔科に持っていって部長に見せた。
部長は「ああ」と言って「胸部外科が手術してる部屋に行って見せてきて」と言った。
すぐに胸部外科の部屋に行って、壁のシャーカステンに写真を張った。
「眼科入院患者、明日白内障手術予定です」と言いながら。
術野からちょっと顔を上げて写真を見た胸部外科部長はいやーな顔をして
「眼科に連絡して手術中止、明日胸部外科外来に出せ、って伝えて」と言った。
その患者さんは翌日外来受診してそのまま胸部外科に転科入院し、
1ヶ月後に胸部の血管置換術を受けた。
ワシが見た写真は「中央陰影」がものすごく広がっていた。
疾患名は「胸部大動脈瘤」。
心臓から出て体に向かう大血管である胸部大動脈の付け根から
でかい動脈瘤ができていて、今にも破裂しそうになっている状態だった。
あとで気づいてぞっとした。
ワシがその患者さんとお話ししている間にも、破裂する可能性があった。
これこの通り。
大動脈瘤は、破裂するまで何の症状も起きない場合がある。
少なくても「これがあったら大動脈瘤」というような自覚症状はない。
一番多いのはおそらく「破裂してはじめてわかる」ではなかろうか。
治療が間に合って助かる場合もあるが、そうでない場合のほうが多い。
その次くらいに多いのが「他疾患検査時に偶然見つかる」で、ワシの経験がこれ。
この記事になったトラック運転手さんも、一般的な健康診断では
「ちょっと血圧が高い」くらいしか所見がなかった可能性がある。
ちなみに、ワシが経験した患者さんは無事に血管置換術を終え、
半年後に白内障手術も受けることができた、と聞いた。
■運転手は病気で意識失ったか トラックが自動車整備会社に突っ込む事故 運転手の男性(51)死亡 栃木・足利市
(TBS NEWS DIG - 05月05日 20:38)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8774855
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