京極夏彦。最初の刊行は2010年5月。
こういう題名の作品があることはなんとなく知ってたが、
京極ものは不思議系しか選んでこなかった。
あるとき血迷って「ル・ガルー」を読んだらこの世のものと思えぬほど
つまらなかった、ので。
ひとりの作家でも書くジャンルによっては駄作になる。
そんなのはよくあることだ。
駄作とまでは言えなくとも自分の好みでない作品は読みたくない。
「死ねばいいのに」は映画化されると聞いたのでじゃあ最初に読んでおくか、
くらいの気持ちで取り寄せた。
取り寄せてしばらくほっといた。
ほっといて行方不明になったら読まなくていいと思ったが、
いつまでたってもそこにあるから読んでみた。
すごい話だった。
すごいとしか言いようがない。
この話のすごさは読んだ人間じゃないと絶対にわからないと思う。
構成としては「インタビュー」である。
女性専用マンションの自室で殺されたアラサーのアサミ。
アサミに「生きているとき4回だけ」会って話をしたケンヤが
「アサミのことが知りたい」と聞いて回る。
派遣先の上司、マンションの隣人で派遣会社の同僚の女、
アサミを情婦にしていたヤクザ、借金のカタにアサミをヤクザに売った母親、
アサミの事件担当の刑事、事件担当の弁護士。
ケンヤも含めて全員に共通しているのは「アサミのことをよく知らない」こと。
ケンヤは「アサミをよく知らない上に知りたくもない」人間に次々に会っては
どんなことでもいいから「アサミのこと」を知りたがる。
インタビューして見えてくるのは「アサミのこと」でなく
アサミの周囲の人間たちのこと。
その人間たちに囲まれてアサミがどんな生活をしていたのかということ。
ケンヤが知りたいことは最後までわからないままになる。
なぜケンヤはアサミのことを知りたがるのか?
ケンヤ自身はどういう人間なのか?
そして、アサミはなぜ、誰に殺されたのか?
…この三つが読者にとって知りたいこと。
物語の終わりまでに謎は解けるのか、そのままか。
本を読めばわかるかもしれない。
わからないかもしれない。
ログインしてコメントを確認・投稿する