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2026年05月03日05:09

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「帝王切開のあとは必ず帝王切開」

‥ということについて日記を何度か書いている。
もちろん「子宮破裂」(分娩時の負担で子宮筋が裂ける)があるからだ。
もし起きれば、子の未来は絶望的だ。
母親はほぼ助かるので、その後の人生を
「あのとき帝王切開していたら」という長い後悔の下に送ることになる。
そういう日記のひとつに自分が自分で書いたコメントが以下。
(以下引用)

このあと他のみなさんにお願いします。
自分は帝王切開のあとの自然分娩でうまくいった、という自慢話を書かないでください。
万が一何か起きた人たちは「手術を頼まなかった自分が悪い」と自分を責め続け、
絶対に人に言いません。
津波で亡くなった人たちが「あそこは危ないから家を建てないで」といえないのと同じ。
生き残った人間が考えなくてはならないことです。
分娩の安全性も、お産を無事にし終わった人の話だけを聞いてはいけない。
これから産む人たちのことを考えなくてはならないのです。
(以上)

このコメントのまえに「自分は帝王切開後の経膣分娩がうまくいった」コメントがあった。
「自慢話」と言われてちょっと反発心を持ったかもしれないが、
そのお方はコメントを削除した。

つい先日の「助産院分娩の素晴らしさ」を書きたがった人たちを思い出した。
助産院もいろいろだが、そもそもは「自宅分娩の危険性」を書いた日記だったけど、
「自分のお産を否定」された、人生を否定されたように思ったのかな。

何にせよ、失敗率100%も成功率100%もない。
それが人間、それが生き物、それが人生だから。
大きな災害にいつどこで遭遇してしまうかは予想できないが、
もしこうなったらどうするか、はあらかじめ考えておくこともできる。
少しでも楽に過ごせるように、少しでも不自由なく復旧を待てるように準備できる。

帝王切開後の経膣分娩での子宮破裂はおおよそ1000例に1から3例。
「自分は997のほうに入る自信がある」と言い切ることができるか?
ましてや、もし入れないとき、失われるのは我が子の命、我が子の人生だ。
子の人生を賭け事のテーブルに乗せて「絶対に自分が勝つ」と言い、
もし負けたら「仕方なかったねー」で済ませられるか?

まあいい、自分の人生は好きにしたらいい。
困るのは自分、失われるのは我が子、一生後悔と懺悔の日々を送ればいい。
‥それでもワシは子供が気の毒で仕方ないけどね。

大事なのは未来だ。
誰かが危険な賭けに勝ったという話を聞いて「じゃあ自分も」と思う
そういう人を作ってはいけない。
そういう方向に人を誘導するのは医者の仕事でない。
患者を脅して「分娩方法選択の自由」を奪うのが目的でない。
何が危険でどうすれば安全か、医学的な確率論で理解し、納得してほしい。
納得の上ならこちらもその方向で引き受けることもあるだろう。
‥何枚どんな同意書書いても訴えられるときは訴えられることを知ってるけどね。

今もまだネットのどこかにあるのではないかな。
福島県立医大勤務の看護師が帝王切開後の経膣分娩を希望し、
夜中に子宮破裂を起こし、15分(信じられないほどの早さ)で手術室に入ったが
子は植物状態となった。
看護師の夫は弁護士で、医大相手に訴訟を起こした。
いかに医大がわがまずいことをやったか、を延々と書いたブログを読んだが
「だってあんたの奥さんが希望してあんたも同意したんでしょ」と思う。
医者も植物状態の子を作りたかったわけではない。

大事なのは未来だ。
これから生まれる子の安全を用意することが産婦人科医の職務だ。
帝王切開後の経膣分娩は絶対に反対。
最初から計画しての自宅分娩も絶対に反対。
これが自分の産婦人科医としての安全確保の第一歩である。


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