結婚して間もないころ、私たちはエレベーターのない社宅に住んでいました。
最上階の5階、503号室。
毎日の上り下りはなかなかの運動でしたが、若かったこともあり、当時はそれすらも生活の一部として楽しんでいたように思います。
その頃の私はまだ煙草を吸っていて、いわゆる“蛍族”。
換気扇の下で吸うことも多く、今思えば家族に嫌な思いをさせていたなと反省しています。
独身時代は、気の合う先輩がひとりいて、週末になると必ず一緒にスナックへ行き、飲んで歌って、また飲んで…そんな日々を繰り返していました。
結婚してからは少し控えていたのですが、ある日、その先輩に誘われ久しぶりに飲みに行くことになりました。
気がつけば深夜3時。
先輩と別れ、ふらふらになりながら社宅の階段を登り始めました。
5階までの道のりが、いつもよりずっと長く感じたのを覚えています。
ようやく“家”にたどり着き、鍵を差し込み回そうとしたのですが──
回らない。
何度やっても回らない。
「妻は寝ているんだろう」と思い、ピンポンを押しました。
1回では出てこない。
2回、3回と押しても反応なし。
仕方なくドアをドンドン叩きました。
すると、ようやく「ガチャッ」と鍵の開く音が。
ほっとしてドアノブを引き、開けた瞬間──
見知らぬ男性の顔が。
「ん?間男か?」
「え?見たことあるぞ…」
「経理部の人…?」
頭が一瞬で覚醒しました。
慌ててドアの上の部屋番号を見ると、
403号。
私は503号に住んでいるのに、
酔った勢いでひとつ下の階にいたのです。
「す、すいませんでした!」
深々と頭を下げ、逃げるように階段を駆け上がりました。
あの経理の人は、私が謝った瞬間にすべてを理解してくれたのでしょう。
驚くでも怒るでもなく、苦笑いで済ませてくれました。
今でも感謝しています。
その後、子どもが生まれてからは、
個人的に外に飲みに出ることはほとんどなくなりました。
あの夜の出来事は、若さゆえの“うっかり”として、今では笑って話せる思い出のひとつです。
【教訓】
�� 鍵で回らない場合は頭をまわせ
�� 酔いすぎると家は少しずつ下がっていく。
この教訓�△鬚茲�噛み締めなかったことが、後の“駐車場での爆睡事件”につながったのかもしれない。
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