「笑う相続人」Lachende Erben。1933・独ufa・白黒35�弌4董Д泪奪�ス・オフュルス。原:トルーデ・ヘルカ。脚:フェリックス・ジャクソン。撮:エドゥアルト・ホーシュ。編:ハーバート・B・フレダースドルフ。美:ベンノ・フォン・アレン。音:クレメンス・シュマルスティッチ。
出:ハインツ・リューマン、イダ・ヴースト、リーン・ダイヤーズ、マックス・アダルベルト、リッツィ・ヴァルドミュラー、ユリウス・ファルケンシュタイン、ヴァルター・ヤンセン、フリードリヒ・エッテル、エルフリーデ・イェラ、ハインリヒ・ゴト、フリードル・ハーリン、ウォルター・スタインベック。
本作公開が1933年3月、ヒトラー首相拝命が同年1月、総統就任が翌年8月という時勢にあって、オフュルス監督が祖国ドイツ(ワイマール共和国)での最後の作品。この後、ユダヤ人迫害から西欧を点々の逃れる事に。後の名物セット内を動き回るカメラはまだありませんが、反面ライン川沿いのロケ風景が素晴らしい。
コメディーとして愉快爽快な演出と脚本テンコ盛りで、30年後の邦画『社長シリーズ』や『クレイジーキャッツ映画』への影響を感じさせられます。とにかくワイマール時代のドイツ人達の幸せそうな顔また顔。ドイツの科学は世界イチ的なシーンも多数あり、鉄道の車内電話とかオフィス用品とか超先進国を感じます。
鉄道での注目は食堂車で『ミトロパ』社(現ミトローパ)が運営。日本で例えれば国鉄の『日本食堂(現NRE)』と『キヨスク(キオスク)』が合体したような、鉄道会社とは別の独立した国際企業で国境を跨ぐ長距離列車にも自社の食堂車や寝台車を連結、車体横に『MITROPA』の文字があり目立ちます。
先進とは逆にワインメーカーの葡萄畑や蔵は職人制度の伝統を感じさて古風なドイツも見物。合衆国の『禁酒法』を風刺したシーンと台詞もあって楽し過ぎます。主人公の車はバイエルン発動機(所謂BMW)『3/15 DA-3ヴァルトブルク・スパイダー』だと思います。ピカピカなのでメーカータイアップかも知れません。
会社のトラックはファウンとビュッシングNAGと推測。河川遊覧船は『ラインラント号(字幕ではライン号)』。新造船の設定ですが実際の就役は1926年で1965年までローレライ航路(ライン下り)で使われました。河川船なので浅喫水を確保する為と、観光の見た目演出での外輪船です。
「マイエルリンクからサラエヴォへ」De Mayerling à Sarajevo。1940・仏BUPフランセーズ・白黒35�弌�BD)。監:マックス・オフュルス。脚:カール・ズックマイヤー、マルセル・モーレット、カート・アレクサンダー、アンドレ=ポール・アントワーヌ、
ジャック・ナタンソン。撮:クルト・クーラン、オットー・ヘラー。編:ミリアム・ボルサウツキー、ジャン・オーザー。音:オスカー・ストラウス。出:エドウィジュ・フィエール、ジョン・ロッジ、ガブリエル・ドルジア、エイメ・クラリオン、ジャン・ドビュクール、レイモン・エイムス、アンリ・ボスク、コレット・レジ。
公開が1940年5月1日、十日後に第三帝国が仏侵攻(二次大戦は前年9月から)、6月14日パリ占領という緊迫した状況で、ユダヤ人であるオフュルス監督は亡命先のフランスから合衆国に脱出しました。なので撮影は完全ではなく、逆にラストの戦意高揚部は急遽付け加えられた脚本&映像だと推測されます。
にも関わらず『評論家』による本作の酷評は、全く以って狭視眼的な神称視点だけで世界を切って捨て、自身への称賛だけを受け付ける選民意識剥き出しのナチ的思考に感じます。お話そのものはオフュルス監督が最も愛する1900年前後のオーストリア・ハンガリー帝国で、主人公は皇太子フランツ・フェルディナント大公と、
差別対象のチェコ出身、妃ホーエンベルク公爵夫人ゾフィーです。フェルディナント大公の帝国改編・ドナウ連邦構想は実際よりさらに開明的な民主的思想として演出され、映画での理想主義者そのままのフェルディナント大公が帝位に就けば世界史は全く違ったものに成っていたに違いありません。
オフュルス監督がオーストリア・ハンガリー帝国に寄せる愛を具現化したのが作中のフェルディナント大公とゾフィーなのではないでしょうか。クライマックスはロケによる映像で、得意の長廻しはドキュメンタリー、或いは報道映像かと思うリアル感と緊張感が伝わってきます。ロケ地はイゼール川を挟んだ
ロマン・シュル・イゼールとブール・ド・ペアージュだそうで、パレードシーンはおそらくショパン通り。印象的な橋は『マレシャル・ド・ラトル・ド・タシニー橋(6月20日に独軍の侵攻を阻止する為に仏工兵隊が爆破)』に間違いありません。送電用の鉄塔の上に火見櫓?が追加されてるのが気に成ります。
皇太子殿下夫妻が乗っていた車は1911年式グラーフ&シュティフト(現MAN AG)『28/32PS ボワ・ド・ブローニュ』ドッペルフェートンですが、撮影は同車種の運転席キャビン付きデュアルカウルフェートンを調達した模様です。
暗殺者達が狂信的先鋭化して手段そのものが目的と成ってしまい、実行によって返って自身の目標とは正反対の方向に事態が動いてしまう事が儘ありますが『サラエヴォ事件』はその典型例に思えます。本作は監督の愛が強過ぎて、墺洪帝国マニアは涙無しには観られません。
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