2階でTVを見ていたら、腰が「ピキッ」と鳴った。
あかん、1階の薬箱にある「湿布」を貼っとかな明日の朝には体が固まってまう。
気合を入れて階段を下り始めたが、事件は「踊り場」で起きた。
私の足が、ピタッと止まる。
「……あれ? 何しに降りてるんやったっけ?」
脳内の検索エンジンは「該当なし」を連発。
トイレか、炭酸水か、郵便か……。
結局、思い出せずにすごすごと2階の寝室へ戻り、ベッドに腰を下ろした。
その瞬間、腰に激痛が走る。「イタタッ!……あ、湿布や!!」
……ふっ、お見通しや。これは物忘れやない。
あえて一度「目的」を忘れることで、腰の痛みを再確認し、湿布のありがたみを心に刻む。これこそ、還暦を過ぎてたどり着いた「精神統一の儀式」というやつや。
おかげで1階に辿り着いた時は、湿布への感謝で涙が出そうやったわ。
ボディーソープでキシキシになった頭を撫でながら、湿布の冷たさに酔いしれる。
これぞ、熟練の物忘れセルフケアテクニックやな。
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