3月といえば、そろそろあさりが旬となる季節。スーパーの鮮魚コーナーにも、ぷっくりしたあさりが並び始める。
私はそれを見るたびに、「あさりバター食べたいな…」という欲がむくむく湧いてくる。
あの香り、あの旨み、あれは春のごちそうだ。
しかし、そこで思い出す。
妻は一度あさりでお腹を壊して以来、二度と食べなくなったという事実を。
あれ以来、我が家の食卓にあさりが登場したことは一度もない。
私は好きなのに、完全に“出禁”状態である。
スーパーで、私があさりのパックを手に取ろうとしているのを見た瞬間に妻は眉をひそめる。
「それ買うん?またお腹壊したらどうするん。」
妻は“一度ダメだった食材は永久追放派”。一方の私は“好きならまた挑戦してもええやろ派”。
この違いが、春先のスーパーで小さな温度差を生む。
私は「いや、あさりバター食べたいだけなんよ…俺だけでも食べるし」と小声で返すが、
妻は明らかに“危険食材を買おうとする夫”として扱ってくる。
どうやら夫婦の平和のためには、
“食のトラウマライン”も妻の基準に合わせるのが正解らしい。
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