・メンデルスゾーン:『夏の夜の夢』 作品61よりスケルツォ、夜想曲
・メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番ト短調 作品25
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 作品120(1841年原典版)
ピアノ独奏:務川慧悟
鈴木秀美指揮、九州交響楽団
2025年5月11日(日)、J:COM北九州芸術劇場大ホール
プログラムの前半・後半ともに、オケの団員が入場する前に指揮者の鈴木秀美がステージに出てトークするという演奏会でした。前半は、モーツァルトやメンデルスゾーンは30代半ばで死んでいるが、当時の平均寿命は40歳ぐらいだったことからすれば、ちょっと早かったくらいになると。とはいえ二人とも早熟だった上にたくさんの音楽を残していて、このピアノ協奏曲の音の多さはまた格別というようなことでした。後半は、メンデルスゾーンに比べるとシューマンの音楽はわかりにくいところがある。交響曲第4番は1841年に作曲されたが、1853年の改訂版が一般的に演奏されている。しかし妻のクララとブラームスは改訂前の原典版の方がよかったと評価しており、自分もこちらがいいと思うので聴いてもらいたい、ということでした。
オケは、ヴァイオリンが左右に展開する対向配置で、チェロとコンバス、ホルンが向かって左側に陣取りました。指揮の鈴木秀美はガチのピリオド系だと聞いていたので、弦楽器はガット弦か?などと予想しましたが、楽器そのものはモダンでチェロはエンドピン付けてました。とはいえ、ノンヴィブラートは統一されており、19世紀の音楽はこのスタイルでという判断なのでしょう。あと、ティンパニのパンパンという乾いた響きが特徴的で、これも指揮者の指示だったのではないかと。リバーウォークの大ホールは残響少なめで分離がよいため、こういった違いはかなり際立っていました。
『夏の夜の夢』はみっちも弾いたことがありますが、スケルツォは難曲で、とくにヴァイオリンは大変らしい。九響の演奏はピシッと決まってました。さすがです。ピアノ協奏曲の務川慧悟は初めて聴きました。叙情的なタイプ? 協奏曲になってもヴァイオリンが5プルトのまま変わらずオケの編成が大きいので、ギャン弾きしてよさそうな場面でしたが、曲の性格もあってかしっとりした感じの演奏でした。アンコールに無言歌から2曲弾いてくれました。
メインのシューマン。クララもブラームスも鈴木秀美もこっちがいいと言う原典版!? 原典版は以前、アーノンクールの指揮でCDを持っていました。たしかクレーメル独奏によるヴァイオリン協奏曲とのカップリングでした。ついでに言えば、ヴァイオリン協奏曲は再録音で、フィナーレ楽章の異常なまでの遅さが最大の特徴でした。クレーメルはこのテンポを見つけて再録音する気になったらしいですが、やめてほしかったf^^;。一方のアーノンクールの4番は、わざとやってる?と思うようなギクシャク強調感があり、私はこれでアーノンクールを見放しましたf^^;。鈴木秀美に対抗して前置き長くなる(爆)。
今回の原典版演奏でまず感じたのは、改訂版と比べると室内楽的ともいえるようなオーケストレーションです。ホールの響きもあってのことですが、声部がくっきり明瞭で、ソロや管楽器もよく聴こえます。その反面、全般に薄手な印象で、もう少し手を入れたくなる気持ちもわかる。それと、第1楽章と第4楽章のそれぞれ序奏から主部への推移でやってることが違う。ここはアーノンクールほどではないにしろ、改訂版との比較ではやはり突拍子もないというかスムーズさに欠けると思います。鈴木秀美の指揮はテンポが速く、第2楽章や第3楽章も快速でずんずん飛ばしていきました。このドライブ感は、原典版には合っているでしょうね。今後いろいろな演奏が聴ければ意見が変わるかもしれませんが、現時点ではシューマン自身が改訂したという意思を尊重したいかな。
アンコールで演奏されたのが、『マンフレッド』の間奏曲。これは驚いた。序曲以外聴いたことがありませんでした。全曲盤の録音もあるようで探したこともあるのですが、入手できませんでした。穏やかな曲でチェロのテーマが素晴らしく、ドレスデン時代のシューマンの充実ぶりを示しています。今回最大の収穫でした。
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