mixiユーザー(id:6769408)

2024年11月25日23:42

26 view

バイロイト音楽祭2024『トリスタンとイゾルデ』

プレミアムシアターの録画を何回かに分けて鑑賞。はじめに断っておきますが、みっちは『トリスタンとイゾルデ』のよい聞き手ではありません。正直好きじゃない。この作品はワーグナーの亡命先スイスで、支援者の妻だったマティルデ・ヴェーゼンドンクとの不倫関係と同時進行で書かれていったことは周知の事実です。内容もワーグナーの自己弁護・正当化の演説を聴くようでなんとも居心地が悪い。しかも、不倫カップルをこれだけ理想化しておきながら、ワーグナーはその後別の女性とまた不倫関係になり、子どもまで作って結婚に至っています。「愛の死」どこ行った(爆)。もうひとつは、とにかく長い、長すぎる。4時間近くもかけて、ストーリーだけでいえば数行程度の中身しかない。視覚的にも動きに乏しい。第1幕への前奏曲に末尾の「愛の死」を接続した編曲がオーケストラ版で演奏されますが、だれが考えたのかグッジョブ! これだけで十分ではないかとf^^;。以下は、そんなリスナーが悪名高いバイロイト演出にどれだけ耐えられたかというお話(違)。

舞台は全体に暗く、「夜」を意識したものかと。この作品では昼と夜が対立的に解釈されており、夜は当然ワーグナーのやりたい放題の世界です。第1幕は天井からロープが何本もぶら下がっているのが特徴。帆を扱うアイテムとして船の甲板を象徴させているのでしょう。第2幕では、雑多なガラクタがそこら中に配置されます。コーンウォールの城中ですが、第1幕との対比を図ってこうなっている模様。第3幕はブルターニュの城で、ガラクタが中央にまとめられ、その周囲にロープを垂らすという、第1幕と第2幕の統合のような印象。場面としては、城だけどあとからイゾルデやマルケ王が船でやってくるからええやん、という感じでf^^;、経費節減に貢献していることは間違いなし。

衣装は幕ごとに若干変わりますが、主役の二人のどちらかが文字(意味不明)が書かれたドレスもしくはシャツを着ています。ヒーロー・ヒロインが薄汚れた格好をするのは、もはやバイロイトの新たな伝統といっていい(爆)。他の登場人物たちもダークな色調ですが、ただひとり輝かしい姿で目立っていたのが第3幕の羊飼いです。彼だけは白く、長い羊の毛のケープ状のものを羽織っており、天使みたいだけどその実態は羊の皮をかぶった羊飼いという。なぜこんなに浮き立たせる必要があったのかはわかりません。

演出は、今回わりとソフトというか、受け入れやすいものでした。少なくともこれまでの『神々の黄昏』や『パルジファル』のようなキテレツさはありませんでした。毎年バイロイト詣でしているような人なら、なんじゃこりゃ!という刺激が足りないと逆に不満が出そうf^^;。とはいえ、なにもないわけではもちろんなく、第1幕でトリスタンとイゾルデは薬を飲まないし、第2幕では、ト書きではトリスタンがメロートの剣に自ら貫かれるところ、武器ではなく薬を飲んで倒れます。ここで飲むんかい! これに呼応するように、第3幕ではイゾルデが薬を飲んで倒れます。つまり、二人は惚れ薬で愛し合うようになったのではなく、毒薬で死んだというわけです。ト書きや歌っている内容とは違う展開に、初心者ならどういうことなのか頭の中が???で埋め尽くされるかも。そういう「一見さんお断り」的な演出にはなっています。また、クルヴェナールの立ち回りもなく、彼はただステージ前方で座り込むだけ。もともと少なかったアクションシーンが削られてしまい、ここまでくるともう本当に演奏会形式でやれば?と思ってしまいます。

歌手陣はみなさんよかった。ニールントのイゾルデはとくに立派でした。見た目はイゾルデというよりブリュンヒルデみたいですが、声の威力だけでなく柔らかい表情も見せて、納得の歌唱。シャーガーのトリスタンもさすが。昨年パルジファルだった人ですが、安定感があります。クルヴェナールを歌ったジグルダーソンは、小柄で忠実な従者を好演しており、観客受けもよかった。マルケ王役のグロイスベック、この人は歌いながら口を左右にひん曲げられる特技の持ち主で、こういうのって左右どちらかに偏るものではないかと思いますが、どっち側にも同じくらい曲がるのがすごい! もしかしてこれも練習してるのか? でも悪役には効果的かもしれないけど、マルケ王にはちょっと違うかもf^^;。

指揮はビシュコフ。よかったと思います。とくに後半盛り上がりました。終演後は、声楽陣には歓呼、演出その他にはお約束?のブーイングが浴びせられましたが、応援と半ばしていたように思います。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年11月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930