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2024年11月12日16:06

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チャイコフスキーの妻(Жена Чайковского)(Tchaikovsky's Wife)

 ロシアの天才作曲家ピョートル・チャイコフスキー。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかった彼は、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと、世間体から結婚する。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは、孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。(公式ウェブサイトより)





<2024年9月8日 劇場鑑賞>

 私は知らなかったのですが、アントニーナは「世紀の悪妻」と呼ばれているんですってね。ヒドい。夫婦の間のことなんて、当人にしかわからないのに、みんなでいろいろ言って。しかし、当時公的に許容されていたかどうかは別にして、ピョートルは本当に男色だったようですね。映画中でも、若い男性ばかりを取り巻きにしている様子や、美しい男を見かけるとすぐに声をかけたりする様子が描かれます。彼は権威も名誉も持っていただろうから、それで未来ある男性を援助したりもしていたのでしょうね。

 アントニーナは地方貴族の娘ということになっています。私は、地方貴族というのは元々どれくらいの人々を指すのかよく知らないのですが、わりとお金に余裕のない庶民でした。母親は常に怒っているし、太っているし、家もきれいではないし、”貴族”などというと聞こえはいいのですが、実際はどうなんでしょうね。

 ともかく、アントニーナは熱烈にピョートルを好きになるのです。そして自ら積極的に彼に働きかけます。当時の女性がここまで積極的だったのかどうか。とにかく、熱烈なアタックで彼をモノにするのです。ピョートルもピョートルで、世間体を整えるため、かなりな歳の差の女性を娶るのです。でも、彼は生粋のゲイ。女性に興味なんてないのです。そんなこと、わからないはずはないのに、アントニーナは「自分は振り向かせることができる」と思っていたのか、あるいは「そうはいってもそのうち興味を持ってくれるはず」とでも思っていたのか、彼に構い続けます。そして、伴侶として扱ってもらえないことに、どんどん孤独感を募らせます。そしてそのうち、彼の妻であることに固執し始めるのです。(「グッチ夫人と呼びなさい」を想起しますね(笑)。シチュエーションは全然違いますが。)

 この映画は歴史的史実を描いているはずなのに、なんかしら、見ていても終始うわ滑りするような感覚に襲われるのは、結局ピョートルがどういう人物だったのかを深く掘り下げて描いていないこと、それはアントニーナに対しても同様だったということだと思うのです。彼女が彼を深く崇拝していたとしても、本当に心から彼を愛していたのか、なぜそれほど固執し続けていたのか、その辺が上滑りしていてよくわからない感じでした。彼女が起こした行動をただ描いている感じで。実家の母親もなぜあんなに終始激しく怒りっぱなしだったのか、見ていて少し不快だったし(だって母親なのに。娘が悩んでいるときは話を聞くべきでは?)、この監督の作品は初めてなのですが、少し理解しづらい感じでした。自分は音楽に詳しくないのですが、もう少しチャイコフスキーを知りたかったなぁと思いました。

 それでも、こういう史実を知ったのは初めてなので、勉強になりました。やっぱり非凡な人って、難しいんですね。
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