消費者にとって、アマゾンはECの会社ですが、アマゾンがEC事業だけをやっていたならば今の繁栄はないと言えます。アマゾンは取り扱い量の拡大が規模の経済を実現し、収益の向上につながるという成長モデルを描き、発展してきました。
しかし、配送のコストは変動費ですし、販売量に応じて倉庫への投資も増大していきますので、EC事業の規模の経済には限界があり、収益性向上は頭打ちになります。このジレンマを救ったのが、AWSと呼ばれるクラウドサービス事業でした。
アマゾンの南アフリカの拠点で働く二人のエンジニアが提案したと言われる事業で、アマゾン保有のサーバーの空きスペースを自社でシステムを買うことができない多数の中小事業者に提供し、共同で利用してもらうというアイデアでした。
このアイデアは当初は世間の関心を集めるものではありませんでした。2008年12月10日の『ニューズ ウィーク日本版』にオラクルのCEOであったラリー・エリソン氏の発言が掲載されています。
エリソン氏はクラウドを一時的なブームであるとしたうえで「皆が何について語っているのか見当もつかない。それはいったい何なのだ?」としています。ジェフ・ベゾス氏は米国のTV番組に出演し、司会者からAWS成功の理由を聞かれたとき、「成功の理由は7年間競争企業が現れなかったこと」と言っています。
アマゾンは全国で活動する中小企業経営者の表現されないニーズ、コンピュータを使いたくても購入する資金がなく諦めている人々のニーズを想像し、ソリューションを提供したのです。潜在するニーズを捉え、需要を創造したという意味でAWSは文字通りのDXでした。AWSはアマゾンの利益の大半を稼ぐ、大黒柱になっています。
歴史的に見て、一つの時代に大成功した会社が次の時代でも大成功するということはありません。例えば、人間の移動手段の変遷を見れば、古代ローマから1700年代までの馬車、1800年代の鉄道、1900 年代の車、覇者は時代によって異なります。
石炭の時代の勝者で石油の時代も勝者になった会社はありません。ビル・ゲイツ氏は、マイクロソフトはパソコンの時代の寵児であり、インターネットの時代での成功を続けることは難しいと発言しています。
事実、2000年代を通じてマイクロソフトの業績は低迷していました。しかし、2014年にマイクロソフトのCEOになったサティア・ナデラ氏は、パソコンソフトの会社か社会課題を解決する会社に転換します。
その一環として、アマゾンには遅れましたが、 アジュールというクラウドサービス事業を急速に成長させています。そしてGAFAでなくマイクロソフトのMを加え、GAFAMと言われるようになっています。
マイクロソフトの2022年6月期の売上高は1983億ドル、営業利益は833億ドルです。2017 年の売上高は899億ドルでしたので、5年間で2倍の規模に成長しています。マイクロソフトはインター ネットの時代には少し出遅れましたが、社会課題の解決というこれからのステージでは時代の覇者になる可能性を秘めているのです。
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