2020年10月27日に発表されたANAホールディングスの事業構造改革のなかで、片野坂真哉社長はANAグループの約4万6000人の社員の雇用を維持し、将来の成長のための雇用維持施策を発表しました。
大きな点としては「外注業務の内製化」 「ANAグループ内における人員配置の変更」 「ANAグループ外企業への出向」「賃金・雇用に関する施策」をあげていますが、記者会見で注目したのがANAグループ外企業への出向でした。
雇用を維持しながら、一部の社員が航空会社の業務とは異なる異業種へ出向することで、出向先からANAグループへ労働の対価が支払われるという仕組みです。出向した社員の給与はANA側から従来からの給与体系にもとづいて支払われることになります。
結果的に一時的にANAグループ以外の業務をすることにはなりますが、人件費をおさえることができるとともに、出向から戻った段階で再びANAグループでの業務が保証されることになります。航空会社側にとってはグループ外企業での就労経験を通じて得た知見を、再度航空会社に戻った際に持ち帰ることも期待した取り組みです。
実際は異業種の企業側から出向する航空会社社員の高い接客のサービススキルやホスピタリティを吸収し、企業の活性化に役立てたいという声も多く耳にしました。ANAホールディングスでは2020年12月までに約10社100名程度、2021年春までには400名以上を見込んでいました。
2020年10月の発表以降、ANA側へ新たに出向受け入れを申し出る企業が増えており、さらに多くの人数が出向しているようです。出向者は客室乗務員とグランドスタッフが中心で、ANAホールディングスでは家電量販店のノジマやスーパーの成城石井をはじめ、さまざまな企業への出向を行っています。出向先は企業にかぎりません。
ANAグループでは地方公共団体からの要請を受け、グループ社員を地方公共団体へ出向させているケースが複数あります。地方公共団体と航空会社社員が手を組むことで、地方創生や観光促進の強化が期待できます。JALでも外部企業への出向が行われました。
2021年2月以降、地方公共団体、物流、コールセンター、教育機関、ホテルなど、合計約40団体にJALグループ全体で一日あたり最大約1000名の社員が出向しました。一日単位(暦日出向)~二年程度まで、期間はさまざまです。
ANAでは基本的に出向中は出向先での業務のみになる一方、JALでは出向先での業務だけのケースにくわえて、出向者のなかには同一月でフライトなど航空会社の通常業務をする日と出向先で勤務をする日が混在するケースもあるといいます。
このことから、JALの方が人数的には多くなっているようです。JALでも出向による業務経験を通し、知識・経験を得ることで、将来の業務に活かすことを目標に、今後もJALグループ社員が活躍できる機会の拡大を検討しているとのことです。
また、2022年2月27日に毎日新聞がWEB配信した記事によると、成田空港で勤務するJALグループのグランドスタッフがトヨタ自動車の最高級ブランドであるレクサス販売店のスタッフとして、接客などの業務を行っているほか、成田空港から近いヒルトン成田の直営レストランでも業務しているといいます。
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