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2024年01月04日21:40

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クレンペラーとヴィト:ドイツ・レクイエムの聴き比べ

・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団、フィルハーモニア合唱団。ソプラノ独唱:エリーザベト・シュヴァルツコップ、バリトン独唱:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ。1961年録音 Warner Classics 4 04338 2

・アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団。ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団。ソプラノ独唱:クリスティアーネ・リボル、バリトン独唱:トーマス・E・バウアー。2012年録音 NAXOS 8.573061

元旦から連日の災害・事故で、おめでたがっている場合なのか悩むほどですが、2024年もよろしくお願い申し上げます。

歳の初めになにを聴こうか、これも考えました。音楽を聴いたからって、戦争が止まるわけでも災害が消えるわけでもありませんが、家でできるせめてもの行為ということで。そうして決めたのがブラームスのドイツ・レクイエムです。

ドイツ・レクイエムは、ブラームスの最大と言える作品で、もちろん代表作なのですが、交響曲と比べて聴く機会は少い。オケに合唱・独唱付きという編成上の理由もありますが、ベートーヴェンの「第九」のような例もあるから、それだけではない。おそらく規模の割に演奏効果が地味なことと、若書きということがありそう。ブラームスの場合、若いからといって未熟な作品というわけでは決してないんですけどね。

ヴィト盤はもともと持っており、クレンペラー盤は昨年購入したクレンペラーのブラームス・ボックス(EMI音源)に収録されているものです。まず収録時間ですが、クレンペラーが69:07、ヴィトが75:15。なんとヴィトが6分も長い。各曲の比較でも、すべてヴィトがクレンペラーより長いという結果です。総じてのテンポ感覚としては、速いところは両者同じくらいだが、基本的なテンポでヴィトが遅い。ちなみに、実はもう1枚、レクイエムを10枚集めた激安ボックスにこの曲が入っていて、その演奏時間は65分ほどで、ヴィト盤と10分違うという。ちなみにこちらは無名楽団のライヴで、水準的に同列とは言い難い(これだけ聴けば一応鑑賞には耐えるけど)ので、今回は比較に取り上げません。結局、一日で同じ曲を違う演奏で3回聴きましたf^^;。

クレンペラー盤のテンポは「適正」と感じるもので、この人ベト7とかマラ7とか、ずっこける(死語)くらいにおそおそな演奏もあるだけに、ブラームスではなぜそれをやらないのかが逆に謎f^^;。オケは、この時期のフィルハーモニア管に特徴的なオーボエの懐かしさのある音色が聴けます。あと例えば第2曲でクレッシェンドしていくときの金管の不穏な響きなど、要所でイングリッシュ・ブラスの片鱗を覗かせているのが頼もしい。独唱はビッグネームをそろえています。とくにフィッシャー=ディースカウは最盛期なのか、声の張りも素晴らしく凛々しい。シュワルツコップは細かいヴィブラートが時代を感じさせますが、上品ともいえる。コーラスも立派です。録音は、ヴィト盤と50年以上の差がありますが、鮮度は高く定位はむしろ優れているほど。第1曲の強音がやや歪っぽいのが年代を感じさせますが、2曲目以降は問題ありません。なお、ワーナーから出ているEMI音源の再発ものは、リマスタリング良好なものが多く、お手元の音盤がARTや国内盤HS2088などの場合、買い直す価値があります。

ヴィト盤については、7年前にエントリhttp://yuhinomado.jugem.jp/?eid=1380
したときと印象は変わらないのですが、クレンペラー盤との比較でいえば、柔和で静謐ともいえる演奏です。出だしや終曲などの和声の繊細な移り変わり、木管の美しい和音などアンサンブルの精度が高いのは、ポーランド指揮者の伝統かと。コーラスと弦楽はいい勝負か。バリトン独唱のバウアーは、フィッシャー=ディースカウほどの無双ぶりではないにしても、真摯で立派な歌唱だし、ソプラノ独唱のリボルは表現力ではシュワルツコップを上回っています。録音も昔のナクソスの銭湯のようなわんわん残響ではなく自然なプレゼンスです。

というわけで、総合的には、美しく傷の少ないヴィト盤を推します。テンポ的にゆったりしているので、どちらかというと浸りたい人向け。もっと構築性を求める人はクレンペラーでしょう。

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