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2023年11月26日17:41

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パラレル・マザーズ(Madres paralelas)

 スペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督が、「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール 帰郷」など数々の作品でタッグを組んできたペネロペ・クルスを主演に迎え、同じ日に出産を迎えた2人の母親の物語を描いた人間ドラマ。

写真家として成功しているジャニスと17歳の少女アナは、同じ病院の産科病棟で偶然出会い、同じ日に女の子を出産。ともにシングルマザーとして生きていくことを決意していた2人は、再会を誓って退院する。ところが、ジャニスがセシリアと名付けた娘は、父親であるはずの元恋人から「自分の子どもとは思えない」と言われてしまう。それをきっかけにジャニスがDNA検査をしたところ、セシリアが実の子でないことが判明。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑うジャニスは、悩んだ末にこの事実を封印し、アナとも連絡を絶つ。しかし1年後、偶然アナと再会し、アナの娘が亡くなったことを知る。

ジャニス役を演じたペネロペ・クルスが、2021年・第78回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。2022年・第94回アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた。アナ役はこれが長編映画出演2作目のミレナ・スミット。(映画.comより)





<2023年10月31日 録画鑑賞>

 あんまり書かれてないことが不思議なのですが、この物語には政治的な背景があります。スペインでは、第二次世界大戦に先立つ1936年から1939年にかけて、内戦が勃発していました。民主的な共和国政府と陸軍のフランコ将軍が率いる右派反乱軍との戦いです。結論から言うと、フランコ将軍が勝利し、スペインは、この後40年以上に渡って独裁体制が敷かれることになります。この辺を描いた映画も今までいくつかあったと思います。個人的には「ロルカ 暗殺の丘」が印象に残っています。独裁政権はいつの世もそうですが、文化人を厳しく管理します。詩人だったロルカも自由を謳っていたため、その対象でした。友人たちが再三逃げるように勧告したにもかかわらず、ロルカは踏みとどまり、殺されてしまうのです。

 さて、この映画では、主演のペネロペ・クルスが、考古学者に曾祖父の遺骨の発掘を依頼するところから始まります。彼女の曾祖父を始めその一家は、フランコ政権に殺され、他の人々と共に集団墓地に埋められてしまったために、どこに埋められているかの調査が難しく、お参りすることも、きちんと埋め直すこともできずにここまで来たのでした。

 そして、成功したカメラマンであるペネロペは、文字通りその考古学者(既婚)と恋に落ち、妊娠するのです。病弱な妻がいる考古学者は出産を望みませんでしたが、最後のチャンスと思ったペネロペは一人で出産します。

 ところで、入院した産婦人科で同室だったのはティーンエージャーの若すぎる母親でした。アナと言う名のこの女性もワケアリの妊娠で、母親が時々見舞いには来るのですが、母はどうやら父親ともうまく行ってないし、自分もまだまだ”夢見る女優”なのでした。ここは難しいと思いました。ティーンエージャーの子を持つ母親なんて、まだ若い。こんなことが起きるとは思ってなかっただろうし、キャリアの追及も当然だと思う。まだまだ子育てだけで終わる人生なんかじゃ納得できないだろうし。しかしながら、不運なハプニングで(荒れてた本人にも原因の一端はあるのかもしれないが、そこはまだ子供だし)予期せぬ妊娠をしてしまったアナは、本当に心身ともに彷徨っている。母親に近い年齢のペネロペは、自分のキャリアが安定していることもあり、アナとすっかり仲良くなります。

 そしてこの二人は、同じ日に産気づき同じ日に出産したのです。再会を誓って退院した二人。しかし、ペネロペは恋人に「いかにも似ていない」と言われてしまい、あらぬ疑いをかけられます。そう、結論から言うと、入れ替わっていたのですね。そして不幸なことに、アナが連れて帰った赤ちゃん(要するにペネロペの子)は、突然死していたのです。

 最初に入れ替わりの事実を知ってしまうのはペネロペ。でも、彼女もとても悩んだであろうことはわかるはずなのに、遅くに知ったアナは彼女を責め、子供を抱いてさっさと出て行ってしまいます。ここは、若くない私は「そんな言い方しなくても。”あなたも悩んだでしょう”って察するべき」と思ってしまいましたが、これこそ若さなのでしょうね。

 そうこうしているうちに、無事に発掘が始まることになり、妻と正式に別れて彼女の元にやって来た恋人と共に、発掘に立ち会うペネロペはじめ親族一同。この頃はアナとも和解し、アナもペネロペを気遣っています。立ち合いにはなぜかアナも一緒です。そして、例の赤ん坊はペネロペがしっかりと抱いているのでした(写真3枚目)。

 個人的には、この二つの話を並行させる必要はあったのかな、と少し疑問に思いました。スペインの人々にとって、フランコ独裁時代は特別な意味を持つでしょうから、ここを描きたかった意図はわかりますが、それに赤ちゃん入れ替わりを絡める必要が?どちらか一方の話だけでよかったような気もします。でも、映画は終始ドキドキ、見応えがありましたし、アナ役の新人女優さんはとてもかわいかった。ミレナ・スミットさん、覚えておきます。
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