・『神々と戦士たち』シリーズ III 『ケフティウの呪文』
ミシェル・ペイヴァー著、中谷友紀子訳
あすなろ書房
『神々と戦士たち』シリーズ第3作。前作から7ヶ月後、タラクレアから船で逃れたヒュラスは、妹イシがいると思われるメッセニアをめざしたいのです、アカイアに上陸できないまま、南のケフティウに漂着します。
この物語でケフティウはクレタ島のことです。クレタはミノア文明の発祥地ですが、クレタの民が自分たちのことをなんと呼んでいたかはわかっていないらしい。タラクレアを沈めた火山の噴火と地震はケフティウに大量の降灰と大津波をもたらし、沿岸の村々のほとんどが破壊され、しかもその後に疫病が流行って、当時の大都会だった女神の館クニス(クノッソス)までも無人の廃墟となっていました。
ペリファスら船の乗員は不吉なこの島からすぐに発とうとしますが、ヒュラスは、大巫女の娘ピラと子ライオンのハボックをケフティウの船に乗せた責任を感じていて、ケフティウにひとり残るところから始まります。というわけで、この島でピラとハボックと再会するのはまあいいとして、テラモンまで伯父のクレオンとやってくるので、ひと悶着が起きないわけがありません。しかもアカストスまで。この4人、よくよく絡む運命にあるなあf^^;。
動物視点としては、ハボックに加えてハヤブサのエコーが登場。エコーはヒュラスではなくピラに懐くところが新しい。そして次の舞台はエジプトらしい。ヒュラスとピラ、ハボックとエコーは同行するだろうし、テラモンも呼ばれてないけどきっとまた来るよね(爆)。アカストスはさすがにないか。しかしこの調子では、イシに会えるのは最終巻?
ここからはお約束、名前考察コーナーf^^;。新たな登場人物の一人が、染め屋の女親方ゴルゴ。いわずとしれた殺し屋、じゃなくて蛇の頭と石化光線で知られた怪物ですが、ゴルゴーンとは種族というか姉妹グループ名で、メドゥーサなど固有の名前は別にあるんですよね。この物語のゴルゴは人間ですが、染物業のために顔が紫色に染まっている点は化け物じみているし、目玉がひとつしかないという点はゴルゴーンの姉妹とされるグライアイを思わせます。ギリシア神話にはこのほかにもゴルゲーとかゴルゴポネーとか似た名前の人物がいます。
ギリシア神話でクレオーンという同名異人は何人かいます。系譜の隙間を埋めるためにこの名が使われたらしい。コリントス王が一人または二人、テーバイ王あるいはテーバイの支配者も一人または二人、あと『イーリアス』に登場するリュコメーデースの父親。中では、ソポクレスの悲劇『オイディプス王』や『アンティゴネ』に登場するクレオンが有名かな。
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