先日つい買ってしまったLPレコードや、どういうわけか手元に存在するSPレコードを再生しようとターンテーブル(レコードプレーヤー)のことを考えてたわけですが・・・
昔のレコードプレーヤーは回転数チェックのためのストロボスコープというのがありまして、電源の50/60Hzでネオン管(オレンジ色に光る放電管の一種)を光らせ、ターンテーブルの縁などにつけた模様の動きで回転数を合わせてたのですが・・・
・・・それって正確なのか?と思って電源周波数を調べてみたわけです。
うちは関西電力圏の集合住宅なので、電源品質がよいとは言いませんが、周波数については基本的に発電機の回転数で決まる以上、変動はあります。が、電力会社も周波数は監視していて電力需要量の検出などにも使っていますし、電力事業法令の規定もあって「正確さ」もあります。
このへんは「電力事業法 周波数」でぐぐれば出てきます。
実測値としては±0.3%程度の変動がありますが、法令上は60Hz圏内では±0.2Hz(単位が違うのに注意!)となっていて「だいたい遵守されている」ことがわかりました。
・・・昔はそんなことはわからんので、電源周波数を信用して「正しい回転数」と言ってたんだな、と・・・
さて、ここで時計の正確さについて考えてみましょう。時間軸の正確さを求めるなら、いちばんわかりやすいと思います。
正確な時計とは何か?何年たってもまったく狂わない時計、それでいいのでしょうか?
たとえば、今年の1月1日午前零時に時計をあわせて、10年後の1月1日午前零時に病身までぴったり「午前零時」を示していたらその時計は正確でしょうか?
極端な話、その時計が一切動かず、ずっと止まっていたら「10年後に午前零時ぴったり」を示しています。また、じわじわと進み続けて、ちょうど1日分進んでしまったためにぴったり合っているように見えたり、遅れたり進んだりしながら「たまたまあっていた」ということも考えられます。
それらを「正確な時計」とは呼びません。
現在、1秒という時間の定義はセシウム133という元素による発振周波数で規定されていますが、その周波数は9 192 631 770Hzという値です。
日本で最も正確な時計は情報通信研究機構にありますが、セシウム原子時計ではなく光格子時計となっています。
https://www.nict.go.jp/press/2018/03/15-1.html
一時期オーディオの世界でリクロックやら「正確な周波数」が話題となったことがありますが・・・計測屋さんから見れば???な話でした。
というのはルビジウム発振器にしてもセシウム原子時計にしても、周波数が「半端」なので計測機器などで使う「標準の10.000MHz」と合わせこむためにはPLL技術が必要であり、どうしたって位相誤差が出るからです。
PLL(位相ロックループ制御)では「標準」となる周波数(ルビジウムやセシウムから得る)を分周して、水晶発振回路から得られる10MHzと比較して、長時間にわたって位相が合っていれば周波数は正しい、というものです。が、9 192 631 770という数字と10 000 000(10MHz)の最大公約数は10です。つまり、周波数を比較できるタイミングは1秒に10回だけ、ということになります。
ここで「時計の正確さ」問題が発生します。見に行くタイミングは10年ではなく10分の1秒ですが「その時計がずっと同じタイミングで動いていたかどうか」は別の話だ、ということです。
PLL回路ではセシウム側が919263177回、水晶側が1000000回、振動していたことはまちがいないと考えてもいいのですが「両方がそれぞれずっと同じ周期だった」ことの証明にはならないのです。
言い換えるとPLL回路は「出力する周波数を作る発振器」の周波数を「標準周波数」を基準にして変動させる回路でもあるからです。
オーディオ用クロックの場合だとちょうど10.000MHzを使うことはなく、再生機器側でもう一度PLLを使って必要な周波数を作ることになります。
そうなるとPLLによる変動=位相雑音が積み重なるだけで減ることはありません。入ってしまった雑音は取り除けない、これはどんな計測でも回路でも言えることです。
位相雑音の少ない発振器として考えられるのは「環境条件を一定に保ち、適切な回路を用いた水晶発振器」が一番現実的でしょう。
普通の水晶発振回路であれば10.000MHzの水晶振動子を使っても周波数の「短時間変化量」は±0.1Hz程度にできますし、負荷容量や温度の制御で±1Hz程度の確度に追い込むことも可能です。ただし、水晶振動子そのものが経時変化を起こす(数ppm/年)こともわかっているので、確度がほしいなら必要に応じて調整すればよいことになります。
そしてLPレコードでは中心穴のサイズが0.286インチと規定されています。メートル法では7.2644mmです。が、実際にノギス(ミツトヨ、0.01mmまで計測可能)で測定してみると7.40mmありました。音溝の位置(半径)やらなにやらは正確な測定が定盤や大型ノギス等がないのでできませんが「それなりの精度」と考えてもよさそうでした。
となると・・・レコードプレーヤーの回転数や回転むらをあれこれ気に病むよりも、単純に楽しめればそれでOK、というぐらいで作り、聞くのがよさそうです。
もともと音楽の基準周波数(A=440Hz)も演奏者(楽器・オーケストラなど)によって数Hz違ってるしな・・・
そもそも聞く場所は主に「電車の中」だし・・・
おもしろいから作ってみる、それぐらいがいいのかもしれんな。
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