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2023年03月23日16:55

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エンドロールのつづき(Last Film Show)

 インドのチャイ売りの少年が映画監督の夢へ向かって走り出す姿を、同国出身のパン・ナリン監督自身の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。

インドの田舎町で暮らす9歳の少年サマイは、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものと考えているが、信仰するカーリー女神の映画だけは特別だと言い、家族で映画を見に行くことに。初めて経験する映画の世界にすっかり心を奪われたサマイは再び映画館に忍び込むが、チケット代を払えず追い出されてしまう。それを見た映写技師ファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を見せると提案。サマイは映写窓から見る様々な映画に圧倒され、自分も映画を作りたいと思うようになる。

主人公サマイ役には、約3000人の中から選ばれた新人バビン・ラバリを抜てき。(映画.comより)





<2023年3月19日 劇場鑑賞>

 ちいさな男の子ががんばる映画が好きです。気になりながらも、見に行けなかった映画がついに田舎にもやって来ました。見れてよかった。よくぞ降りて来てくれました。

 主人公の少年サマイは、高貴なバラモンの家柄ですが、父親はローカル駅構内で細々とチャイ売りとして身を立てているおうちで、サマイも手伝っていますが、決して裕福ではありません。話の途中で明らかになるのですが、昔は牛を500頭も飼うほどの家だったようですが、兄弟に騙されて文無しになったとか。え〜と思いました。インドでは通常、日本よりも血のつながりが濃く、兄弟に裏切られるような内容の映画はほとんどないからです。まぁしかし、そんなこともあるってことですね。通常、カースト制度の最上位に位置するバラモンには僧侶が多く、他には弁護士などそれなりの仕事に就く人が多いようです。チャイ売りは珍しいでしょうね。でも、とってもおいしそうなチャイでした。私、前を通ったら絶対買います。

 冒頭、家族で映画に出掛けるシーンがあるのですが、父親は「俺たちはバラモンなんだから、映画なんて品のないものは見ない。今回はカーリー女神を称える映画だから、例外だ。でも、これが最初で最後だぞ」とサマイに言い聞かせます。しかし、そのたった一回で、サマイは心臓を撃ち抜かれてしまうのですね。夢のような世界。虜になってしまったサマイは、ありとあらゆる方法を使って映画を見ようとします。そのうち映写技師と親しくなって、母親が作る超おいしいお弁当と引き換えに映写室に入れてもらい、いろんな映画を見るところは夢のようです(しかしその間、学校に行かないのは感心しませんでしたが)。もちろん、そのうちバレて放り出されるわけですが。

 サマイのママが作るお弁当のおいしそうだったこと!貧乏だとか言いながらも、いろんな材料やスパイスなどが、きれいに瓶に入れて並べられていて(それもたくさん!)、お料理するシーンも何度も映るのですが、本当においしそうなんです。バリエーションに富んでて。お母さんも、若いのに手際よく、ちっとも面倒くさそうじゃなくて、楽しそうに作るのです。こんなにお料理ができる人って、魅力的!少年が映画監督になるのもいいけれど、その前にお母さん、お店出したら?と思いました。

 子供たちが、廃品を回収して改造し、ありとあらゆる工夫でこっそり映画を上映(?)するところは感心するばかりでした。しかし、フィルムを結構盗むんですね。これはいけないと思いました。いくら子供でも犯罪です。まぁインドでは映画は大衆娯楽で、フィルムが一部ないなんてことは普通だった、のかもしれませんが。

 「俺たちはバラモンなんだから、映画なんかに手を出すんじゃない」などと言っていた父親も、子供たちのあまりの熱心さに、そしてその素朴な才能に、だんだんと心動かされ、やがて息子を認め、応援するようになります。生業としているチャイも、高速鉄道がこの駅をすっ飛ばして走ることを知り、ここにいても希望がないことも後押ししたのでしょう。サマイと仲良しだった映写技師も、映画のデジタル化に伴い、仕事を失います。彼は「俺は、すでに妻も娘たちもいる。もうどうしようもない。でも、お前はこの村を出るんだ」と言ってくれます。そして、サマイはこの村を飛び出すのです。

 スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」と、公開時期が重なったのは偶然でしょうか。偶然でしょうね。でも、あちらの映画の主人公は、裕福でした。個人的には、子供たちが、どこで何をするにも必死で自転車を漕いで回ってる、こちらの映画の方が、好みかな。こちらも実話なので、監督自身のお話です。私たちにはなじみのうすい監督ですが。
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