イギリス・ウェールズ、谷あいの小さな村。夫と二人暮らし、パートと親の介護だけの “何もない人生”を送っていた主婦ジャン。ジャンは馬主経験のあるハワードの話に触発されて競走馬を育てることを思いつき、村のみんなに共同で馬主となることを呼びかける。週10ポンドずつ出しあって約20人の馬主組合となった彼らの夢と希望を乗せ、「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けられた馬は、奇跡的にレースに勝ち進み、彼らの人生をも変えていく。
小さなコミュニティで実際に起きたこのドラマティックな物語は、ピークを迎えた2009年当時、大きな感動を呼び注目を集めた。2015年にはドキュメンタリー映画が制作され、サンダンス映画祭で観客賞を受賞。そして、満を持しての長編映画化となった。(映画 公式ウェブサイトより)
<2023年1月9日 劇場鑑賞>
一般的な情報では(↑も)、実話であることは強調されていますが、主人公の主婦ジャンに、それなりの素地があったことはあまり書かれていません。もちろん、映画の中ではちゃんと言及されますが、ジャンは元々動物好きで、子供の頃から(父親と一緒に)精魂込めて育てた犬をドッグショーで入賞させたり、ハトのコンテストで優勝(!)したこともあるのです。特に子供の頃のドッグショーの入賞は、父親にも「誇りに思う」と言ってもらえたこともあり、美しい成功体験として心に残っているわけです。
そんなジャンは、確かに退屈な人生を送っていますが、子供ふたりはちゃんと独立し、ジャンは仕事をしながら近所に住む高齢の両親の介護に通っています。夫ブライアンは関節炎のため働いていないようで、ジャン一人でいくつも仕事を掛け持ちしているようです。そこは苦労だと思いますが、夫もそれは認識していて、妻に声を荒げるようなことは決してありません。両親も介護こそ必要で、時たまブライアンに対する不満を言うこともありますが、認知や暴力などには縁がなく、普通にしていて、考えようによっては、平穏で幸せな人生だと言えると思います。そんなジャンが、やっぱり動物に対する本能みたいなものがうずき始めたのでしょうか、今度は「競走馬」に目を付けるわけです。
でも、馬は高額で、普通馬主なんて言うのは金持ちの道楽ですから、貧乏人にはできません。そこで村を挙げての共同作業としてしまうのです。このへんは、アイデアもさることながら、ジャンの行動力に目を見張りました。次から次へと、夢を実現させるための作業を厭わず、ネットでの情報収集・間違いのない情報の取捨選択・それとわかった時の機敏な行動力、そして最終的な判断力と大物相手でもひるまない交渉の力。すべてどれをとってもかなりの女性だと思いました。才能です。そしてもう一つ。個人的には、霊感みたいな特殊能力があったのかも、と少し思いました。「ここぞ」という勝負時には、ただならぬ目力でじっと対象を見つめ、願を懸けます。すると、本当に勝つのです。これは、映画だけの演出かもしれませんが、そんなシーンがいくつか挿入されていました。
個人的には、2時間に収めるという映画の宿命もあってか、物事がわりとトントン拍子に進んでいくので、実は冷めてました。こんなにうまくは、いかないわ・・・ってね。ま、しかし、実話ですし、個性的な村の人々も、とても「いそうな感じ」で魅力的、ジャンには動物を育てる素地があったことを加味すれば、そんなことも可能だったのでしょうね。運も実力のうちですし。
トニ・コレットがうまいです。私の中ではいまだに「ミュリエル」ですが、好きな女優さんです。
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