20年の時を経て祖国アフガニスタンからの脱出を語る青年アミンの姿をとらえたドキュメンタリー。主人公をはじめ、周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作され、アカデミー賞で史上初めて国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門ノミネートを果たした。また、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞している。父がタリバンに連行されたまま戻ることがなかったアミンは、残された家族とともに生まれ育ったアフガニスタンから脱出した。やがて家族とも離れ離れとなったアミンは、数年後たった1人でデンマークへと亡命する。30代半ばとなり、研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていたアミンだったが、彼には恋人にも話していない20年以上も心に抱え続けていた秘密があった。親友である映画監督の前で、アミンは自身の過酷な半生を静かに語り始める。監督は自身も迫害から逃れるためにロシアを離れたユダヤ系移民であるヨナス・ポヘール・ラスムセン。(映画.comより)
<2022年5月12日 劇場鑑賞>
アカデミー賞を賑わわせてましたね。当時、「なんなんだろう、このアニメは」と興味を持ったのを覚えています。そして日本での公開は、今なんですね。
内戦が勃発し、身の危険を感じたことから、母国アフガニスタンから逃げた主人公アミンと家族(父親はすでに行方不明)。逃亡先はモスクワ。なぜモスクワかと言うと、かの国しかビザを発行してくれなかったからです。しかし、当然ながら、隠れての生活・物のない街・歩いているだけで警察に詰問され、有り金を巻き上げられる・若い女性は辱めを受ける・・・そんな毎日が負担にならないわけはなく、なんとかしてマシな国へ密航できないか、模索する日々が始まります。長兄はスウェーデンにいて手を尽くしてくれるのですが、何をするにもお金が物を言う上に、悪徳業者ばかりの業界。そして、なんとか密航できたところで、そこからも大変です。暗闇で逃げる・長距離を歩く、など。それでも闇で移動してきたのですから、何も言えません。そんな過酷な描写が延々と続きます。
もちろん映画ですから、あまりに悲惨な場面は挿入されません。本当は、むごい死に方をした人もいたのでしょうね。そしてもう一つ。”同性愛者は存在しない”と言われたアフガニスタンで、アミンは早い時期から”男性に惹かれる”自分を認識していたのです。でも、絶対にバレてはいけない秘密。これも、自分を語らない人生になってしまった一因となったのでしょう。
そんなことが、アニメーションで淡々と描写されていきます。個人的にはアニメにして正解だと思いました。もちろん、主人公を守るという意図のためだと思いますが、あんまりリアルに描くよりも見やすかったのだろうと思います。自分のアイデンティティを偽り、家族のことなど一切話さずに、ウソで固めて外国で生きてきた過酷な人生。想像を絶すると思いました。
ラストは希望の光が見えたかもしれない展開。主人公は、すべてを話すことで、前向きになれたのでしょうか。あるいは、人を根っこから信じるということ、これができるようになったのでしょうか。私にはわかりません。今までのことが、根が深すぎて、そう単純なものではないような気がしたからです。でも、わかりません。心の中では、これからは人を信じて、幸せになって欲しいと切に思っていますが、それ以上のことはわかりません。
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