アフガニスタンを舞台に、異なる社会背景を持つ3人の女性が人生の試練に直面する姿を描き、2019年・第76回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品されたヒューマンドラマ。アフガニスタンの首都カブール。妊娠中のハヴァは、認知症の義母の世話をしながら家事に追われる毎日を送っている。ニュースキャスターのミリアムは7年間浮気し続けた夫との別離を決意した矢先、自分が妊娠していることに気づく。一方、結納の日を迎えたアイーシャには家族に言えない秘密があったが、問題を解決するためには多額のお金が必要だった。それぞれ人生の岐路に立たされた彼女たちは、時を同じくしてある場所へと向かう。アフガニスタン映画機構で初の女性会長を務めるサハラ・カリミの長編監督デビュー作。(映画.comより)
<2022年5月5日 劇場鑑賞>
つらかった。この映画には3人の女性が出て来るんだけれど、特に最初に登場するハヴァの話がつらかった。彼女はもう臨月。大きなおなかで動くのも一苦労なのに、舅は嫁に悪態をつきながら、自分の飼う小鳥をかごから出しては撫でまわし(これは鳥も迷惑だろうと思った)、猫が小鳥を襲うからと罠をあちこち仕掛ける。姑はボケてしまってなんにもわからなくなっていて、黙って座っているだけ。家に入れたり、寝かしたりするのも嫁の仕事。大きなおなかで料理をしていると、夫から電話。「今日も複数の客を招いているから、充分な料理をきちんとそろえて出すように」。また客。買い物にいけないので、近所の男の子にお使いを頼む。「いつもごめんね」。彼の母親も「仕方がないね。そんなに客を呼ぶんだったら自分で買い物してくればいいものを」と言って息子をお使いにやってくれます。
やっとのことで料理をこさえても、「客を連れて来たから、お前は顔を出さないように。早く料理を出すんだ」。舅は舅で「親に先に食事を出さんか!」親の用意をしていると、今度は夫が「何をしている。先に客だろ!客に何と思われる?」。そしてピシャリと戸を閉め、自分たちだけで盛り上がっているのです。姑は、自分で食事ができないので、食べさせてあげないといけません。ハァハァ言いながらもなんとかこなし、食器を洗うため(寒いのに)中庭に出ます。そして洗った食器の片づけに向かうところで猫の罠にかかり転倒。まともにお腹から転倒したうえ、食器は粉々になってしまいます。それでも、物音を聞いてやって来た夫は「何を泣いている。さっさと立て。騒がしい。客になんと思われる!」またこれです。しかも、舅は「猫の罠が台無しだ」といって、再び罠を置いて回るのです。
なんとか片づけをすましたハヴァですが、おなかの赤ちゃんが動かなくなったことにハッと気づきます。「あなた、病院へ連れて行って。赤ちゃんが動かないの」と訴えるも「客を送って行くのが先だろう。わがままな女だ。皆になんと思われる?」こればっかり。赤ちゃんが動かなくなったんですよ!臨月で。あまりのことに私は気分が悪くなってきて、劇場を出ようかと思うほどでした。こんなに客を招待しては顔色ばかりうかがってる男、仕事もできなくて自分に自信もないんでしょうね。せめて同じ思いをしてきた姑が元気であれば、と切に思いました。
ここで場面は切り替わって2番目の女性、ミリアムです。彼女は成功したニュースキャスター。でも、所詮は女。上司からはセクハラまがいのことばかりうけます。そんな彼女は、7年も一番大切な年月を過ごした男性がいました。しかし、彼は不誠実で若い女と遊んでばかり。とうとう彼を捨てたミリアムに、今度はしつこく電話を掛けたり花束を贈って来たりするのです。男は女に捨てられるようなことはない、とタカをくくっていたのでしょうか。今になって未練がましい。
そして最後の女性アイーシャ。彼女が一番若かったです。自分の意志と関係ない結婚を強いられた母親を見て育った若い世代の彼女は、恋愛結婚がしたかったのです。そのつもりで彼氏もいました。でも、現実にはそうはいきませんでした。諸々の理由により、親及び親族が勧める従兄弟と結婚することになりました。彼は決して悪い人ではありませんが、彼女にはその前に解決しなければならない問題があったのです。
<ここからネタバレ>
結論から言うと、関係のない3人の女性が一堂に会するのは、不法な堕胎院。ハヴァ、やっぱりダメだったのですね。悲しすぎます。もう少しで生まれるのだったのに。しかも、ちゃんとした医院でなくて、闇で?舅と夫のせいなのに。なんて国なんでしょう。そして「子供を産めなかった女」などと女のせいにするのでしょうね。個人的には、堕胎できる初期に自分の意志で堕胎する二人より、もう大きくなってしまった子供を取り出さなければならないハヴァが一番心配でした。その後、大丈夫だったのか知りたいです。もちろんみんなと言うわけではないでしょうが、アフガニスタンの女性たちのあまりな環境に、少ししんどくなった私でした。
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