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2021年05月28日16:54

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ファーザー(The Father)

 名優アンソニー・ホプキンスが認知症の父親役を演じ、「羊たちの沈黙」以来、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞した人間ドラマ。日本を含め世界30カ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を基に、老いによる喪失と親子の揺れる絆を、記憶と時間が混迷していく父親の視点から描き出す。ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは認知症により記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。そんな折、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。しかしアンソニーの自宅には、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が現れ、ここは自分とアンの家だと主張。そしてアンソニーにはもう1人の娘ルーシーがいたはずだが、その姿はない。現実と幻想の境界が曖昧になっていく中、アンソニーはある真実にたどり着く。アン役に「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマン。原作者フロリアン・ゼレールが自らメガホンをとり、「危険な関係」の脚本家クリストファー・ハンプトンとゼレール監督が共同脚本を手がけた。第93回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、助演女優賞など計6部門にノミネート。ホプキンスの主演男優賞のほか、脚色賞を受賞した。(映画.comより)







<2021年5月23日 劇場鑑賞>

<ネタバレあり>





 認知症って、物を盗まれたと言いだす、とか、怒りっぽくなるとか、自分の息子の顔もわからなくなる、とかいろいろ言うし、自分の周りでも(義母とか)そんな症状は見てきたけれど、これほど(見える)世界が錯綜しているとは想像していなかった。すごいですねぇ、こんなに何もかもが入り乱れて現れたら、混乱どころかおかしくなりますよね。身体は元気だから、この先何年生きるかわからない。こんな状態のまま生きるのは辛すぎるから、そこはもっと症状が進んでむしろ何もわからなくなって、少し楽になれるのでしょうか。神様はそれくらいの安泰は与えてくれるのでしょうか。

 長生きって残酷ですね。誰も病気になりたい人なんて、いない。この映画だって、悪い人は誰も出て来ないのです。どんなに理不尽なことを言われても、娘のオリビア・コールマンは優しいし、施設のスタッフも、仕事だとは言えとても優しい。イモージェン・プーツ演じる幻の世話係(ヘルパー)も、若いのによくできていました。こんど来てくれたヘルパーが若くてかわいいと見て取るや、はしゃぎまくるアンソニーに男の本能を感じましたけどね。ここは残るのですね。

 ともかく、今までの映画と違い、認知症本人の視点から描かれた映画で、見ているこちらも何が真実なのか釈然とせず、とても怖い思いをします。ちょっとしたホラー映画のようです。下の娘は亡くなっているのにそれがわからず、「長く会えていないのは、画家として世界中を旅しているから」と、それだけならまだよかったのですが、「妹のほうがいい子だった」という意味のことをオリビア・コールマンに言い放ってしまうところは辛かった。こんなことが本音だなんて、辛すぎる。本人(姉)も薄々感じていただろうから、余計に辛すぎる。

 そして最後は幼児返り。老人アンソニーが背を丸めて「ママを呼んで。ママに迎えに来てもらって」・・・ここに至って、私は涙が出ました。最後はママなんだなぁって。もちろん、人によるでしょうけど。

 キツい映画でした。もっと心して見るのだったと、反省しました。
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