最初にひとこと、「お勧めです」
実話に基づいた黒人と白人のロードムービーと聞いて「最強のふたり」を思い出したけど、
扱っている話題はこっちのほうが深刻かもしれない。
おもろい映画をとる監督さんなので笑い要素も満載なんですが、
深刻だからこそ笑いの要素がないと映画にならなかったかもしれない。
主人公はヴィゴ・モーテンセン演じるイタリア系のトニー・リップ。
リップは愛称、口がうまくてだれでもまるめこむ。
バーの用心棒だけど、暴力使う前に口で解決することもできるので重宝されている。
実は、バーの支配人しているときにスカウトさえて「ゴッド・ファーザー」に出ているのね。
実際のフランク・シナトラなんかとも知り合い。
映画の終わりに実際の写真でますが、すごみあります。
バーが改装で2か月閉店、その日暮らしに近いトニーは仕事を探す。
きた仕事が「ドクターの運転手」というから診療所勤務かと思えば
ピアノ演奏者でいろんな学位ももっているから「ドクター」と呼ばれているお方でした。
2歳でピアノをはじめて9歳でレニングラード音楽学院留学ってんだから
そりゃ天才だわ。
このドクターが1962年(ワシの生まれた年)に南部にコンサートツアーに行く。
そのための運転手に選ばれたトニー。
実はドクターはトニーのことをよく調べていて「トラブル解決能力が高い」ことを評価してた。
この当時、ニューヨーク含め北部では裕福な学歴ある黒人も増えてたが、
南部ではまだ奴隷とほとんど変わらない扱いを受け、
専用酒場に専用トイレ、専用ホテルでないと利用できず、
黒人は夜間外出禁止の場所すらあった。
題名になってるグリーンブックとは、こういうことを知らない北部の黒人が
南部を旅行するときになるべくいやな思いをしないように、利用できる場所を書いたリスト。
北部の黒人であるグリーンさんが書いた、緑色の表紙のパンフレット。
これを片手にトニーはドクターと旅に出る。
もちろんいろんなことが起きる。
それは映画を見てね。
そしてもともと「黒人嫌いなイタ公」だったトニーはドクターとの友情を育てて
ついでに家族との絆も強める。
実際にトニーとドクターは死ぬまで友人どうしで、同じ年に3か月あけて亡くなった。
この脚本のもとになったのは、トニーの息子が書いたものだ。
ドクターが音楽家で演奏ツアーの話なので、音楽映画の部分も大きい。
音楽映画いいよなー音楽聞いていると幸せになれる。
「ボヘミアンラプソディ」のときもそう思ったけどね。
ヴィゴ・モーテンセンは「ロードオブザリング」のときも最後半でちょっと太り始めていたので、
この映画のはじめに「見る影もなくでぶ」になったのを見て「やはり」と思ったが、
実は役作りで20キロがんばって太ったんだって。
撮影途中でも「少しやせて見えるからがんばって食べて」と言われてけっこう大変だったらしい。
もとの顔はどう考えてもイタリア系に見えないんだけど、
太って輪郭と体形かわって言葉を変えたらもうぜんぜん「イタ公」にしか見えません。
さすが演技上手。
イタリア系らしく狭い家でも親類一同(知り合いも)ぎゅうぎゅうに集まって食事しているが、
親類役は実際のトニーの親類たちを使っているそうで、すごくホンモノくさい。
「トニー・リップ」というレストランを実際に経営していて、
ヴィゴはさいしょにその店に連れていかれて山のように食わされたんだって。
最初がんばって食べたけどだんだんおなかいっぱいになって残そうとしたら
周囲が「ほらやっぱり、この料理は火を通しすぎちゃだめって言っただろ」とか言い出したので、
食べざるを得なかったとか。パンフレットおもしろいです。
DVDになったときそういうエピソードのインタビューが入るといいな。
トニーがツアーを終えて帰宅するのはクリスマスイブ。
当然また親戚一同集まって食ったり飲んだりしゃべったりしているんだけど、
流れる音楽はビング・クロスビーのクリスマスソングでした。
去年の冬に中古のCD見つけて買って聴いたの思い出して
少し泣けました。
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