前にも何度か書いたが、医学部3年生のとき解剖学の授業がはじまって
人体解剖ももちろんやるんだが、これと並行して
「骨学」(こつがく)
の授業がある。
骨はれっきとした人体の一部だけどカラダを支えるものなので、
これはこれで系統的につながりを見なくちゃならないし、
骨の中の穴を通って大事な血管や神経がつながっていることもあるんで、
骨にある「へこみ」「穴」「ちょっとしたささくれ」(筋肉付着部位)などを
なめるようにして学ばねばならん。
この実習のために、ひとり一体ずつ人骨が貸し出された。
年代を見るとかなり古いもので、自主的に骨まで提供を受けたか
いわゆる「身元不明人」のお方のお骨をお借りして(家族みつかったら返す)
(でもたぶん見つからない)いるものと思われた。
この骨はちょっと黄色くなっていて今回のニュース映像で見た骨に似ているけど、
骨学授業のとき先生が大事に研究室からもってくる人体骨標本は、
全身がきちんと針金で組み立てられているんだが、
それはそれはきれいな真っ白で、細い骨のとげまできちんとついていて
見事なものだった。
解剖学教授はこれをとても大事にしていて
「インドから買いました、とても高価ですが」と言っていた。
その後、病院実習に入ったとき、脳外科の手術のときに
「これは人工硬膜だよ」と見せてもらった。
脳手術のとき硬膜という一番外側の膜を破るのだが、
手術の最後にこれをかぶせておくと、周囲から自分の硬膜組織ができてうまくふさがる、と。
「人工って言っても、インドから輸入したヒト硬膜なんだけどね」と先生は言った。
またインドか、と思った。
今みたいなIT先進国ではなく、当時のインドは多産多死の発展途上国だった。
道端で人がごろごろ死んでいて、無表情のお役人が回収する姿をテレビで見た。
そういう人たちが屋根のあるところで安らかに死を迎えるように、と
マザーテレサが作ったのが「死にゆく人たちのための家」という施設だ、と
このとき学んだ。
それはともかく、そういう、お役所に引き取られた遺体が当時は
硬膜だの骨だの、高価な輸出品として使われていたのだろうと思う。
今はどうだか知らないが。
住宅から500人分人骨の理由
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5509909
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