アメリカのトランプ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認め、
在イスラエル・アメリカ大使館をテルアビブから移転する意向を示しました。
アメリカ議会は1995年、
エルサレムを首都とするイスラエルの主張をアメリカは尊重すべきだとして、
テルアビブからエルサレムへの米大使館の移転を義務付ける法案を可決しています。
しかし、歴代大統領は例外なく法律の執行を凍結し、移転を認めずに来ました。
アラブの同盟国がアメリカに背を向け、中東全体で反米機運が高まり、
イスラエルとパレスチナの和平合意の進展を妨げるのを懸念したからです。
今回の意向表明に対し、アラブ諸国は一斉に反発していますし、
ヨーロッパや国連も、アメリカの一方的な行動だとして
懸念を強めていると報じられています。
エルサレムは厄介な都市だと思っています。
ユダヤ教とキリスト教とイスラム教の3つの宗教の聖地があります。
ユダヤ教では、エルサレム神殿が置かれていた聖地であり、有名な嘆きの壁など、
現在でも幾つかの神聖とされる場所が残っています。
キリスト教にとっては、エルサレムはイエス・キリストが教えを述べ、
そして処刑され、埋葬され、復活したとされる場所です。
イスラム教では、ムハンマドが一夜のうちに昇天する旅を体験した場所とされ、
岩のドームや=アクサー・モスクが建設され、聖なる場所と見なされています。
エルサレムは、経済的には必ずしも重要な位置を占めてきたわけではなく、
そのためエルサレムを領土に収めた代々の国家のうち、
エルサレムを首都としてきた国は、
古代のユダ王国や、十字軍国家であるエルサレム王国を除いて、ほとんどありません。
しかし、第一次中東戦争の休戦協定により、エルサレムが東西に分断されました。
ちなみに、東エルサレムは旧市街を含み、多くの聖地があります。
西エルサレムを占領したイスラエルは1950年に議会でエルサレムを首都と宣言して、
テルアビブの首都機能を西エルサレムに移転し、
1967年の第三次中東戦争でイスラエルが東西ともに占領し、
1980年には、改めてイスラエル議会により、
統一エルサレムはイスラエルの永遠の首都であるとしました。
これに対して、1980年に国連総会は東エルサレムの占領を非難し、
その決定の無効を
143対1(反対はイスラエルのみ、棄権はアメリカなど4)で決議しています。
今に至るまで、多くの国は首都として認めず、
国連などではテルアビブを事実上の首都とみなしています。
日本の在イスラエル大使館もテルアビブにあります。
パレスチナ自治政府に対しては、ラマッラに出張駐在官事務所を置いています。
現在の中東問題を解決するためには、
パレスチナ自治政府とイスラエルの2国家共存以外ないと思っています。
そして、エルサレムの東西分割統治は中東和平実現のための大前提の1つだと思います。
しかし、トランプ大統領は、娘婿でユダヤ人のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問を
中東和平交渉のトップに任命し、2国家共存には必ずしもこだわらないと発言するなど、
親イスラエルの姿勢を鮮明にしています。
今回の意向表明もその一環なのでしょうが、本当に大丈夫なのでしょうか?
日本の株式市場も敏感に反応して、今日は一時500円以上値を下げました。
トランプ大統領は、世界各地で禍をまき散らしているような気がします。
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