観閲式に付帯して、他のイベントも開催されます
音楽演奏(ブラスバンドだけでなく、和太鼓なども)と、装備品展示です。
装備品展示場では、後方活動コーナーでお汁粉の配布、小火器展示などがありましたが、私は車両コーナーと陣地構築コーナーに集中します。
まずは米陸軍展示。
ワシントン州から空輸で来日したストライカー旅団の車両です。
文字通り、戦闘部隊はストライカー装甲車で構成されており、基本形の「M1126」が来日しました。
車体前面の真ん中に、ウインチのワイヤーのループが装備されてる点に注目
ターレットの火器は装備されてません。
ヘミット(重高機動トラック)の回収車仕様「M984A4」
車体各部の隙間に所狭しと工作機材がはめられてて、動く町工場といった体裁です
続いて陸上自衛隊。
「10式戦車」。
定期的に各部を動かしてデモンストレーションしてました
砲塔の四隅に装備されている光学センサー。
レーザーなどの光線で測距、照準されるのに備えます。
ヘリコプターや戦闘機に装備されてる物と理屈は同じです。
将来的にはカメラと連動して、ドップラーレーダーと同じ理屈で画像内の動く物体を察知する動体探知機の機能も備えると予想されます。
「96式装輪装甲車」。
全体写真撮ってません
形状は前回の日記参照。
前2軸のサスペンションは、ダブルウイッシューボーンで、アッパーアーム軸にトーションバーがバネとして直結されてます。
当然、トーションバーは首尾線方向と平行に。
一方、オイルダンパーとタイロッドは常識的配置に成ってます。
後2軸は、スイングアームサスペンション(鉄道でいうところの軸梁式)で、戦車と同様、トーションバーが首尾線方向と直角に車内に刺さってると思われます。
「NBC偵察車」
前の日記にも書きましたが、この何ともダンゴムシの様な形状が味わい深いです。
道交法に縛られる為、幅を抑えてるので余計にアンバランスに見えますね。
一見、96式を上方にボリュームを増して車内容積を稼いだファミリー車両に見えますが、実際は独立した設計が為されてる単独車種です。
サスのコンセプトは96式を踏襲しているものの、ご覧の通り全くの別設計である事が分かりますね。
タイロッドやアー類の下部にはアンダーガードが付きます。
最低地上高も96式より低く見え、この車両の走行能力はオフロードよりも汚染区域での対抗性を重視した物であって、実は96式とは別のコンセプトである事が理解出来ますね。
タイヤ前方には、除染薬液をタイヤに噴射するノズルがあるのにも注目
よく軍事著述者やミリオタが「専用設計は無駄だ。シャーシ兼用すればコストダウンに?がり、補給の面でも有利だ。自衛隊もそうするべき」という話を聞きますが、果たしてその主張は現実に則したものでしょうか?
論拠を聞いても「他国がそうしてる」「何々先生がそう言っていた」「何処其処にそう書いてあった」と言うばかりで、私の感覚ではそれは受け売りといって、論拠とは言えません。
考察や検証がどこにも無いじゃありませんか。
製造業を知らない世間知らずが「自分は専門家で詳しいんだ」と、幼稚な知ったかぶりをしているというのが私の印象です。
ライトやタイヤといった規格部品を共用するのは調達の面でも補給の面でも当然の話であり、それらが共通するのは同じ設計の範疇には入りません(念のため)
まずはシャーシ共用(ファミリー化)のメリットを考えてみましょう。
予算獲得に際し「同じ物」という建前で有利です。
工場のラインを一本化出来ます。さらに同じラインを増設するのも容易です。
設計図の一部を転用出来ます。
何千、何万という生産数を賄う材料や部品の調達の際に発注の手間が楽に成り、調達費用を抑えるのにも寄与します。
メーカーが顧客に売る時に、説明が楽で売り易い、また買う国も消耗品のl調達を一本化出来て購入の心理的悩みが少ない。
教育水準(識字率)の低い労働者や兵士でも、製造や整備で覚えねば成らない点数を減らす事が出来る。
つまりこのメリットとは、大量調達が必要な米軍や、武器輸出を外貨獲得の手段としている国、輸入兵器に頼る国での利点です。
この理屈を何の考えも無く日本にそのまま当てはめようとするのは余りに無茶というものです。
製造業において、何十、何百というのは量産の範疇に入りません。なので大量発注の効果は適用されません。
製造も今時紙の設計図を描いて、出来れば手間を惜しんでコピーを転用したいような事は無く、設計は3D・CAD、部品工作はCAMと自動工作機がで行われており、基本形を様々な用途に使う為にそれぞれ部品の追加、加工など行うより、専用設計と製造とした方が単純明快で有利に成ります。
同じ物を別用途に色々展開しようとすると、結局は要求される性能を満たす為に専用部品の追加、基本形の改修設計とラインの変更、増した構造重量を支える為に本体の設計を変更、そしてまた増えた重量で性能を満足させる為の部品追加と、悪循環に陥るのは珍しい例では無いのです。
日本では、製造や整備に携わる工員や整備要員の教育水準や練度は高く、同じ形の部品構成でないと扱う人間は理解出来ないような環境にもありません。
繰り返すようですが、消耗品、規格品を共通とするのは当然の事で、だからといってそれ以外の基本的な機械的構成も同じにするのが良い事だとするのは、産業について全く理解していないか、理解しようとする概念そのものが無い人間の浅はかな主張と言わざるを得ませんね。
「16式機動戦闘車」
今回の展示の目玉ですね。
今の所4両あり、2号車が来場展示されてました。
向こうに見えるのは「89式装甲戦闘車」です。
車体後部のプーリーとその下の出っ張りはウインチですね。
ウインチに接続されるワイヤーを車体前方に導く為のプーリーや引き込み部品が見えます(赤矢印)
ストライカーがワイヤー引き込み部が車体真ん中だったのに対し、16式は車体右側に寄ってます。
運用的に大丈夫なんでしょうか
10式戦車と同じセンサー(赤矢印)
ただし、砲塔前方側にしかありません。
10式では車体各部に有った(裏側にも)TVカメラが16式にはありません。
機動戦闘車と言いながら、高機動には制約が多い車両に感じます。
他にも、コストダウンが目的と思われる割り切りがそこかしこに見られます。
裏腹に操縦主ハッチは少し持ち上がって左にスライドするという複雑な構造。
砲口の消炎器のアップ
ライフリングが穴部を除いて先端まで続いているのが興味深いです。
勿論、消炎器部のライフリングは砲弾と噛み合ってはいない筈であり、その流体力学的コンセプトが気に成ります。
単純に消炎効果だけでなく、音波を干渉させて減音効果も狙ってるのではないでしょうか?
一方で必要と思われるマズルブレーキの効果は考えて無さそうで、興味深いです
来週の防衛装備庁シンポジウムで質問してみようかしら。
サスペンションや操舵装置、動力伝達装置はそれまでの装輪装甲車達とは全く異なってます。
駆動系はエンクローズされていません。
開発中だからなのか、少しでも軽量化したいからなのか、はたまた冷却に問題を抱えてるからなのか謎です。
最低地上高もオフロード使用には低い印象です。
また、どうやら後ろ2軸に操舵機構はなく、操縦用カメラが見当たらないのと合わせて、この種の装甲車の生存性を高める前後方向が同じ走行能力は備えてない(移動は必ず回れ右が必要)ようですね
「遠隔操縦観測システム」無人機と運搬車。
日本版ヘミット「重装輪回収車」のシャーシを転用した「03式中距離地対空誘導弾」の発射装置車。
駆動系は全輪駆動、コイルスプリングサスペンションで、普通のトラックとは一見違うようですが・・・
ラダーフレーム構成など、やはりオフロードトラックの形態であって装甲車とは随分異なります。
一見リフトのようですが、実はブラストデフレクター
隊員がエンジンを機動して・・・
発射姿勢へ。
「96式多目的誘導弾システム」発射機。
む〜さんと一緒に細部「だけ」撮りまくります
車両用ジャッキマニアの、む〜さん狂喜。
行き場を失った通信アンテナがバンパー兼ジャッキ架台上に有るのが面白い。
と、カマド社長に遭遇。
「くろがね四起」動体復元でTVでも紹介され最近は有名人ですね。
VIPの黄色リボン付けて(来賓客)ました。
陣地防御コーナー(掩体壕)
「74式戦車」は「機動戦闘車」と並べて展示も面白かったのではないかと思います(同じ105mm主砲)
「120mm迫撃砲」。
「155mmりゅう弾砲FH70」。
手前は「コリメーター(視準器)」。
砲兵とは土木なのです。
会場入り口に居た「90式戦車回収車」
一見、展示車両に見えますが、実は開場時間前から終了まで隣のトラックに乗車して微動だにしない隊員と共に臨戦態勢。
車両観閲行進中に動けなく成った車両が出た場合、即座にリカバリー出来るように待機しているのです。
前の日記でも、観閲台正面観客席の裏側に同車が居る事を書きました。
おそらくパレード終点にも同様に待機していた一隊が居たのではないでしょうか。
目立たず、でも重要で大変なお役目、ご苦労様でした。
そして、私にとって本当の目玉は展示場ではなく、密かに来賓客用駐車場に居ました
最新の戦車回収車「11式装軌車回収車」です。
ベースは勿論「10式戦車」です。
名称が戦車回収車ではなく、装軌車回収車なのは予算調達都合上の政治的配慮だと思われます。
まだ2両しか存在しないレア車両なのです。
展示車両ではなく、来賓者の駐車場なので一般人は近寄れません。
その為、この車両の存在に気が付いてるマニアも居ないようです。
某む〜さんに「新型回収車が居るよ」と言ったら、何を思ったのか来賓の方々の後ろについていって、ちゃっかり間近で撮影しているし
その来賓の方にも11式に接近する老人が居り、同行の老人方や孫?に何やら説明始めました。
身振り手振りから察すると、元「78式戦車回収車」乗りではなかったかと想像されます。
10式戦車がベースだけあって、90式戦車がベースの90式戦車回収車より一回りコンパクトな印象です。
管理課の赤腕章付けた隊員が常に側で警戒してました。
が、何故この車両が展示車でもなく、でも展示場横の微妙に見える場所に駐車されてたか謎です。
もしかして、表立って展示は出来ないけど気が付く人は気が付くからって配慮でしょうか
おしまい。
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