「宇宙の戦士」ロバート・A・ハインライン著、1959年。
若い頃に読んで、タイトル以外はすっかり忘れていた作品。
ここには、1950年代のアメリカの「正義と良心」に基づいた、ハインラインの考えが集約されている。
そして、現代日本が抱えている問題について、ハインラインはすでに答えを出している。
・平和主義よりも暴力のほうが多くの問題に決着をつけている、という現実
・若者が罪を犯したのなら、厳罰に処すことが再犯を防ぐ
・軍というものがどういうものか
私はそれらを完全に受け入れるものではないが、冷戦真っ最中の、そして実際に戦争で戦ったことのあるアメリカ人の意見として、真っ当なものだと思う。
ハインラインの言い分は今の日本での「議論」のいくつかを簡単に一蹴している。
現実に、中国はフィリッピン、インドネシア、ベトナムなどと領土問題をかかえている場所で軍事基地をつくり、空母や戦闘機を自慢している。ついでに尖閣諸島の領有まで主張し、石垣島などの魚業者が仕事と安全を奪われている。北朝鮮による拉致問題は平和的手段では完全に膠着状態。韓国は日韓基本条約を忘れ去っていちゃもんをつけてきている。2国はいまだに戦争を終結できずにいる。現代のアメリカは国連安保理決議を無視して空爆を行っている。そしてNATO諸国も同調している。独裁だろうがなんだろうが、それなりに暮らしていたアラブ社会は民主化を押し付けられて大混乱に陥っている。
それらの日本をとりまく問題に対して、日本国は「日本国憲法第9条」などに縛られていながら「自分たちだけが安全で平和」だと思い込んではいないだろうか。
中国やアメリカ、韓国や北朝鮮は日本の「言い分」をちゃんと聞いて、理解し、対処してくれているだろうか?(この問いの答えは明確な「否」である)
自衛隊は「暴力装置」などではない。彼らの役目は「日本国民の安全を守る」ことであって、それ以外のものではない。日本国が自衛隊を維持している目的も「自衛(自らを衛る)」だ。
だが、話し合いに応じない国がまわり中にいる現在、日本が平和と安全を維持するためには「必要とあれば暴力も使うことができる」状態であったほうがいい。もちろん「必要」などないほうがいい。
今になって、本当に考えさせられる1冊であった。
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