「ぼくたちのムッシュ・ラザール」でアカデミー外国語映画賞にノミネートされたフィリップ・ファラルドー監督作品。1983年アフリカ大陸のスーダンで内戦が始まり、両親や家を奪われた10万人以上の子どもたち。10数年後、「ロストボーイズ」と呼ばれた彼らを全米各地へ移住させるという実際におこなわれた計画を元にしたヒューマンストーリー。スーダンから到着した難民マメールと2人の仲間を空港まで迎えに行くキャリー。カンザスシティーの職業紹介所で働く彼女に与えられた任務は彼らの就職の斡旋だった。電話を見るのも初めて、マクドナルドもピザも知らない彼らに最初はイラつくキャリーだったが、彼らの成長を見守る中、次第に友情が芽生え、彼女の生き方さえも変わっていく。主演のキャリーに「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」で、アカデミー主演女優賞を受賞したリース・ウィザースプーン。(映画.comより)
こんな映画があったんですね。実はギリギリまで知りませんでした。休日の予定を組む段になってから「え?この映画、なに?」って、目に止まったのです。よく見るとリース・ウィザースプーン。「wild」を見逃した私は、「あ!見なきゃ」って思いました。実はリースのことは「キューティ・ブロンド」のころから好き。あんなガールズ・ムービー、ってバカにする人も多かったけれど、私は誰とでも仲良くしようと真剣に取り組む、育ちが良くていざとなれば勉強にも踏ん張りが効く彼女が好きだった。次の「メラニーは行く!」でも、私の中では「金持ちだけれど性格の悪い奴か、貧乏だけど誠実か」という選択ではなく、「双方、いい人。金持ちでも性格もいい」という選択の走りの作品だったと思う。今時の女性はすべての中から選べるのね〜などと思ったものです(笑)。
ともかく、リースのことは好きだったので、この作品も見てみることにしました。お話は「ホテルルワンダ」のような始まり。同じ民族が何事もなく暮らしていたはずのスーダンで、内戦が勃発。詳しくは描かれませんが、どうせ欧米諸国の引き金なんでしょう。村に住む人々にとっては何のことかよくわからないうちに銃撃戦に巻き込まれます。ましてや子供たちにとっては。
一瞬で両親を失った子供たち。生前、父親が「エチオピアは安全な国だ」と言っていたのを思い出し、そちらだろうと思われる方角を目指して歩き始めます。自然と年長者が小さいものを率い、過酷な道のりを進みます。しかし、エチオピアから逃げて来る人々に遭遇し、そこからはケニアを目指したり、途中で兵隊に見つかって仲間が殺されてしまったり、年長者が「私ひとりだ」と兵隊に名乗り出て犠牲となったり、いよいよ小さな子供たちだけで、人数も減って来る中、危険な旅を続けます。
ケニアのカクマ難民キャンプに着いた頃には4人になっていました(正確には5人だが、1人は着いてすぐ亡くなってしまう)。そこには国連や赤十字のキャンプがあって、食事や医療などの保護が受けられますが、それだけです。もちろん、危険な母国にいるよりずっとましですが、なにかやることがないと生きているだけになってしまいます。
これは理想で非現実的なことかもしれませんが、あれだけの若者が避難して来てるんだから、ただアメリカへいつか渡る、とかじゃなくて、だだっ広い土地になにか植えて育ててみるとか、なんらか前向きな方策って、ダメなのかなぁと思ってしまいました。もちろん、土地は痩せてるだろうし、安全かどうかも保証はないだろうし、そんな理想論、叱られるだけかもしれないけれど。
ともかく、主人公の4人は13年経ったところでアメリカへと送られるメンバーに選ばれ、先進国へと旅立ちます。難民キャンプでかなりの英語を習得しているとは言え、アメリカに突然放り込まれた彼らにはわからないことだらけ。常に一緒にいた4人も、1人が女性だったがために分離させられてしまいます。
手取り足取り親切に教えないところが、「同等に扱う」「特別視しない」と言う意味ではいいのでしょう。でも、電話もシャワーも見たこともない彼らを突然アパートに放り込んで、次の日から就職を世話する、ってのもどうなんでしょうね。嘘ってわかっていても「彼らは経験もあるから大丈夫」なんて平気で言うんですから。世話する側のリース・ウィザースプーンも。
先進国の矛盾ももちろん描かれます。あれほど死ぬ思いで生き抜いた彼らには、「期限が切れた」だけの充分食せる食べ物を大量に捨てる文化が信じられません。単純作業を真面目にやっていると、白人の同僚から「手を抜けよ。おまえ、浮いているぞ」と言ってヤクを勧められます。それが危険なものだとの認識もできないまま、仲間と一緒におぼれることになっても「やめなければ」という認識すらできません。
つらい経験から悪夢にうなされる、家族が引き離されてるから姉になんとか会いたいとどこに訴えても「規則ですから」「今はどうにもできません」と皆が判で押したように答える・・・果たして先進国に移住出来た彼らは幸せだったのでしょうか。
それでも誠実に生きようとする彼らに、「仕事だ」と割り切っていたリースも、少しずつ心動かされて行くことになります。これは映画ですから、結末は甘いです。「現実はもっとすさまじいはず」とか「話が浅いんじゃないか」などと言い始めたらきりがないとは思います。
ただ、ラスト近くで主人公がつく、「小さな(?)ウソ」に、救われる人たちがいることも確かなのです。
いい映画でした。でも、同時に悲しかったです。こんな小さな子供たちを犠牲にして、人はどうして争うのでしょうか。いつも同じ問いかけになってしまうのですが、悲しいです。やっぱり。
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