日曜は「有人潜水船 しんかい6500 就航20周年記念シンポジウム」に行ってきました
http://www.jamstec.go.jp/j/pr/event/6k_20th_sympo/
会場の東京海洋大学品川キャンパスはウチから比較的近く、聴講中は座ってるので体も頭にも丁度良いリハビリです
真ん中に見える白い建物が会場の白鷹館。
受付で「写真撮影は出来ますか?」と質問したところ、対応が決まって無かったらしく、スタッフ数人で話し合って「撮影は禁止の方向で行きたいと思います」と歯切れの悪い返事。
しかし、開演前の会場内通知では携帯の使用禁止だけが通達されたので、多くの方がスクリーンに向かってフラッシュ焚く事に
さて、最初は「しんかい6500」のプロモーションVTRの上映から。
この日の講演者全ての口から出た共通する強い主張は「有人深海潜水艇の必要性と存在意義」でした。
科学者が実際現場に行く意義は、学問を理解する人間の共通認識だと思います。
因みに日本の講演者の内容は、上記URLから見る事が出来ます。
最初は小掠徹也氏により、「しんかい2000」から「6500」に至る深海潜水艇の製造に関する技術について
質疑応答の際は二人だけ許されましたが、どちらも「あなた何しに来てるんだ?」ってな内容。
美術館や講演会を埋め尽くす暇潰し老人の群れには、来るのは悪いとは言いませんが、興味無いのに興味の有る人間を排除するのに一役買うのは止めて欲しいですね。
因みに私は「新造代替船計画が無い以上、現在の6500を近代改装しなくては成らない筈。この際、例えばメインプロペラを廃止してマルチプルスラスター化するのか?・垂直尾翼は廃止するのか?」と聞こうと思ったんですが、叶わず。
次は、しんかい6500を運行している日本海洋事業�蠅�ら、運用責任者の櫻井利明氏
http://www.nmeweb.jp/index.html
これまでの運用実績、および技術的改修を分かり易く解説。
米製のマニュピレーターに換装してからいかに作業の柔軟性が広がったか、世界に先駆けてリチウムイオン電池を採用した結果、ペイロード増加や2000引退後の浅海でも行動出来るように成った画期的優位性の話など。
さらに、私の知りたかった今後の改修は、やはりメインプロペラは廃止して、DCモーターによるマルチプルスラスター化がされるそうです。垂直尾翼は6500のシンボルとも言うべき部分なので、これは政治的配慮で残される模様。
三番目は、これからパイロットを目指す、現コパイロットの池田瞳氏
科学者には当然女性もおり、しんかい6500にも乗り組む訳ですが、その際、パイロットも女性なら色々と有利な事もあるのは容易に想像が付きます。
これから直任パイロットを目指す抱負を語っていただきました。
将来、クルーが全員女性のミッションは、必ず実現するし、その必要は有ると私は思います。
ここで一旦昼休み
大学の学食は日曜なんで営業してません
隣に座った方が、タカラ「世界の艦船」シリーズを全て買って下さってるディープなファンである事が判明
撮影の件を再び受付に問い合わせると「フラッシュを焚かなければ可」と、もはやグダグダな感じ。
さて、午後の部は海外のゲストから
最初はウッズホール海洋研究所から、Susan Humphris博士。
そう、ロバート・D・バラード博士が館長を務めてたあの研究所です。
http://www.whoi.edu/page.do?pid=51855
「アルヴィン」の代替船建造が予定の2倍ものコストがかかる為にキャンセルされ、現在のものをさらに二段階に分けてアップデートし、6500m対応するという話をされました。
アルヴィンは海軍籍なので借りてる形ですが、実質的には研究所所有なので、予算も当然用意せねば成りません。
現在のものと、アップデート後の予想図。
一見、あまり変わらないようですが、耐圧球の直径増大に合わせて、一回りボリュームが大きく成ってます
二段階アップデート計画はこんな感じ。
新型マニュピレータの動きのアニメーションや、改装作業は上記サイトで見れますので、合わせてご覧ください。
チタン合金製の耐圧球を圧延して作ります
作業車が「クラブロッガー」ソックリで格好イイ
左は旧来のもの、右が新型です。
最大の特徴は、正面に窓を増設して、側面合わせて5窓化された事ですね
これによって、パイロットと科学者のリアルタイムな意思共有をはかる事が出来ます。
耐圧球内での居住状態はこんな感じ。
実寸代模型で、実際の使い心地をみながらデザインを決定して行きます。
最新の改装状況写真
母船「アトランティス」も、アルヴィンの重量増加に伴い、Aアームの改装に入りました。
今年9〜10月にアップデート版のテストに入るスケジュールだそうです。
いやぁ、もうこの話だけでも私はお腹一杯って感じです
次は、中国大洋鉱産資源研究開発協会(COMRA)から、刈峰(リュー・フェイ)博士。
http://www.comra.org/
現在世界最新鋭かつ最大耐用深度を誇る深海潜水艇「蛟竜(ヂャオロン)号」についてお話して下さいました。
http://english.cntv.cn/program/newsupdate/20100828/100961.shtml
http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2010-08/27/c_13465142.htm
http://english.cri.cn/6909/2010/08/27/189s591491.htm
ロシアのミールに似てますが、設計建造が同じノルウェーの企業による姉妹船だからです。
まずはCOMRAの他の装備の一端を。
フラグシップの研究船「大洋号」
ROVだって、ちゃんとあります
「シードラゴン」
マンガン掘削機
右は30mクラスの吸い上げ装置です。
ここからが本題。
「蛟竜号」の基本スペック
最後は蛟竜の名の由来ですね。
’09年に完成、まずはプールから初めて、次は実海域で少づつ深度を下げる訓練を行います。
母船は改造船なので騒音が酷く、蛟竜の活動中は少なくとも一基のエンジンを停止せねば成らないそうです。
すいません、船名読めません
昨年は3000m級まで潜行訓練を。
全体主義国家ではお約束の旗
左が船内で記録されたもの。
右は水中通信で母船で記録されたものです
前年度の遺留品も海底で発見
実際の作業訓練として熱海水のサンプルも回収
側面ソナーの画像。
母船でのモニタリング画面
尺度関係が漢字なのが面白いですね
一方、船内での操縦席。
無事帰還
オレ達も遂にヤッタぞ〜、って嬉しそうな感じがアリアリと伝わって来ますね
そして今後の計画。
無理せず7000mを目指します。
因みに研究段階の耐抗試験では、8200mでも降伏(耐圧部の変形)は無かったそうです
ここからはTV報道画面から
有人宇宙飛行と同等の扱いが為されて国威発揚に一役買ってるようです
それとは裏腹に、刈先生が繰り返し強調されていたのは、国際間協力の重要性を自分達は充分理解しており、積極的に貢献して行きたいとの話でした。
蛟竜が7000mに到達すれば、改装アルヴィンと合わせて6500mクラスの潜水艇が世界に3隻揃います。
これに6000mが3隻(他1隻は米純軍用なので除外)の計6隻が有人深海潜水艇として可動出来る事にに成り、研究や事故救難などにこれまで以上に持ち回り国際協調が進むと思われます。
とかく中国は排他的だと日本人は自己暗示に進んでかかりたい傾向にありますが、そうでは無い中国人も多い事をここに強調しておきたいと思います
続いて、再び国内に。
富山大学大学院の竹内章教授からは、深海底での地殻変動の話を。
海嶺にズレが生じてる火山性トランスフォーム地形の話など、興味深かったです。
皆が強調されてますが、無人探査船ではわからない発見が有人船であるので、住み分けは出来ても、ロボットが生身に取って代わる事は出来ないという話でした。
でも金勘定にしか興味が無い仕分け人が聞いたら、愚か者の戯言と切って捨てられちゃうんでしょうね
次は、海上保安庁海洋情報部の小原泰彦上席研究官から。
これまでの深海研究の実績をまとめて頂きました。
また、日本では海洋研究は法的に義務が有るんだと強調。
流石保安官の視点ですね
お次はJAMSTEC名物?高井研PDの登場
著作多数で知ってる方も多いと思います。
イキナリ最初は「痛深海潜水艇計画」
本気ですよ、この人
勿論、偉い先生ですから誰も止められないと思われます。
掴みで皆の眠気を覚ました所で、研究成果について真面目な話をこれまた早口で多数。
これは、太陽光に頼らない生物圏の存在環境の科学組成予想。
因みにショックは人名です。
海底に人間が実際に行った時の臨場感の話を皆されるので、高井氏はその具体例として「白いスケイリーフット」
http://pics.livedoor.com/u/aai_meg/2617784/large
が発見された時の音声記録を流してくださいました。
http://www.youtube.com/watch?v=EXn-JP5eb7M
リンクの映像ではわかりませんが、艇内阿鼻叫喚、人間が発するとは思えない叫び声であふれてます。
最後は科学ジャーナリストの山根一眞氏。
記念すべき、しんかい6500の1000回潜水に搭乗された方です。
市場で買ったタラを食べる前に解剖したら、マトリューシカ人形みたいに胃の中から魚が出てきて、さらのその魚の胃の中にはエビが詰まってたって話を写真入りでされてたのは面白かったです。
これはJAMSTECの論文数が急増している様子。
山根氏は理由を述べてはいませんでしたが、合併とか廃止とか民営化とか、そうした話が出ると独立行政法人の論文が急増するのはどこも同じです。
最後には「しんかい11000」への夢を語っていただきました。
写真は、搭乗者が独立したコンパーメントに入ってプライバシーが守られるタイプ。
潜水艇に乗り込むと、アドレナリンが全開に成ってトイレも何も忘れてしまうと搭乗体験者の方達は語りますが、リハビリ中の私も痛みを感じる事も無く、あっという間に一日の長丁場を過ごしました。
しかもたまたま知り合ったお隣さんと駅のカフェでさらに興奮状態のまま長話を

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