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伊東の雑情報(^^♪コミュの金融と世界情勢

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金融崩壊し構造変化、直撃受けぬ日本も大打撃
2009年01月29日


【藤原帰一・東大教授=司会】

 お忙しい中をお集まりいただきありがとうございました。今回の金融危機、100年に一度とか、日本は虫に刺されたようなものだとか、あるいは刺した虫によっては大きいものもあるだとか、どうも何だかわからない、あいまいな言葉が横行しています。この危機がどのようなものなのか、それが日本、さらにアジアにどういう関わりがあるのか、これを考えるのが本日のテーマです。この危機を説明される上で一番適任なお二人においでいただくことができました。さっそくお話をいただきたいと思います。




【榊原英資・早稲田大教授、元大蔵省財務官】  今の金融危機を、私は「21世紀型金融恐慌」と呼んでいます。日本は先進国の中で非常に珍しく金融危機の直撃を受けていないものですから、この恐慌に近い金融危機のインパクトをもう一つ評価できていない。この危機の発生源はアメリカですから、まさに世界経済の中心がメルトダウンしたと考えたらいいと思います。1990年代の半ばから2007年ぐらいまでずっと金融バブルが大きく膨れ上がり、それが崩壊した。あるいは金融バブルと同時並行的に膨らんできた消費バブルが崩壊したと考えています。

 1995年にロバート・ルービンがアメリカの財務長官になって、議会証言で「強いドルはアメリカの国益だ」と有名な言葉を吐きました。これは為替についてのステートメントですが、実はルービンの前は、ミッキー・カンターら米通商代表部(USTR)など、むしろドルを弱くして経常収支の赤字を減らそうとしていた。ルービンの「強いドルはアメリカの国益である」というのはアメリカの大きな政策転換だった。つまり経常収支の赤字を減らすのではなくて、経常収支をファイナンスできればいいというのがルービンの意図だったんですね。ゴールドマン・サックスのCEOですから、ゴールドマンを使って要するにアメリカのインベストメントバンク(投資銀行)を使ってファイナンスすればいいんだということなんですね。

 実はこれは短期的には成功するんです。成功するんですけれども、1995年とたとえば2006年――2006年というのはサブプライム問題が起こる前の年ですね――それを比べますと、1995年のアメリカの経常収支の赤字が1,137億ドル。2006年のアメリカの経常収支の赤字は8,115億ドルですから、経常収支の赤字は7倍になります。この間アメリカの対外債務は3.9兆ドルから16.3兆ドルへ大体4倍近くに膨れ上がっている。この10年ほどの間に、大体金融資産が100兆ドルぐらい膨らんだと言われているわけです。まさに短期的にはお金がアメリカに返ってきた。成功したわけですね。そういうふうに考えてくると東アジア金融危機なんていうのは、アメリカにお金が返ったことによって起こったんじゃないのかと、つまりこれはルービン政策のデリバティブじゃないかというふうに考えられないこともないんですけれども、大量にお金がアメリカに戻っていったということです。


 そのことによって実はアメリカは成長率を上げる。90年代の半ばぐらいから住宅価格が急速に上がっていく、あるいは株価が急速に上がっていくということで資産市場が膨れ上がるわけです。いわゆるインベストメントバンクと言われる金融機関、あるいはヘッジファンド、エクイティファンドが中心になって、レバレッジをかけて資産をどんどん買っていった。レバレッジというのは要するに借金をすることですね。商業銀行の場合には資産の一定割合を資本金で(8%以上)持っていなきゃいけないとされていますけれども、インベストメントバンクにはそれはありませんし、ヘッジファンドにもありません。ですから資本の40倍、50倍の借金をして、それで資産を買うということが可能だった。実際にそれをやったわけです。ですから1995年ぐらいから2006年までの世界の金融の主役はインベストメントバンクだった。ゴールドマン・サックスであり、モルガン・スタンレー、メリルリンチ・・・そういう世界だったわけなんです。

 そういう中で例えば証券化が進んだ。CDO(Collateralized Debt Obligation)。これはサブプライムローンで有名になりましたけど、例えば住宅債権なんかをまとめて証券化してそれをうまく売りに出す、住宅債権だけじゃなくてほかの債権も一緒にして売るわけです、それをCDOという形で出していった。それからいろいろなCDOをまぜて売るということをやるわけですね。これはどういうことかというと、かつて20年前の商業銀行であれば住宅ローン融資を行えば、そのままバランスシートに残るわけです。バランスシートに債権として残るのですけれども、これを証券化するということはバランスシートに残さないでそれをマーケットに出すということですから、その分だけお金が返ってくるわけです。理論的にはこれを続ければいくらでも金融拡大できる。特に資本の制約がなければいくらでも拡大できるということで、実際に拡大したんです、CDOがどんどんどんどん膨らんでいった。シティグループは事実上破綻していますけれども、シティバンクの事実上の破綻はCDOを買い過ぎたということが直接の原因なんです。

 CDOだけじゃなくて、CDS(Credit Default Swap)――Cで始まるのが多いんですけど――これは一種の保険です。CDOみたいなものを買ったときに、万一その会社が破綻した場合には元本を払います、あるいは元本の相当部分を払いますよというのがCDSです。これもどんどんCDOと一緒に拡大していって、今の想定元本の残高は60兆ドル弱ですから、世界のGDPの額に匹敵する。CDO、CDSがガンガン、ガンガン膨らんでいったのが、この金融バブルが拡大していったときのアメリカだと思います。これは短期的には成功する。

 ところが2007年になって、いよいよ住宅価格がこれ以上上昇できないというところまでいってしまって、住宅価格の下落が起こり始めたわけです。これでサブプライム問題が起こるわけです。サブプライム問題というのは、滅茶苦茶な貸し出しをしたんじゃないかと言われていますが、住宅価格が上がっているうちは貸し手にも借り手にも合理的な行動だったわけです。借り手のほうも、所得の半分を元利払いで払わなきゃいけないというような人もいたんですけれども、住宅価格が上がっている間は借りて買えば資産が増えるわけですから、その資産を担保に借金ができるということですから、住宅価格が上がっているうちは問題なかったわけです。ところがそれが下がってサブプライムが問題になっていった。


 サブプライムが問題になると、CDO全体が問題になるわけですね。その中にサブプライムが入っていますから。それで一挙に証券化した債権が不良債権化した。CDSのほうも、これは大体インベストメントバンクなんかが売っていたんですけども、不透明で相対取引で行われていましたし、CDOがおかしくなるのと並行して事実上不良債権化する。ということで、アメリカの金融機関はほとんど破綻状況に入ったわけです。リーマンブラザースの破綻が言われていますけれども、インベストメントバンクのうちもう三つは消えているわけですね。ベア・スターンズ、リーマンブラザース。メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買われたが、バンク・オブ・アメリカが買ってみたらすごく不良債権が多くて、ジョン・セインというメリルリンチのトップで私が個人的に非常によく知っている人がいて、それが今激しくメディアに攻撃されているということでございます。

 それからゴールドマン・サックスもモルガン・スタンレーも残ってはいますけれども、大きな赤字を出していて、インベストメントバンク業務から撤退するという方向で、事実上アメリカではインベストメントバンクという業務がなくなる。まあ5年前、6年前は日本の一流大学のベストアンドブライテストがゴールドマンに行きたいと言っていた。まさにそれに象徴されるように一世を風靡していた。 

 投資銀行だけじゃなくてヘッジファンドもエクイティファンドも同じような状況になっていて、ヘッジファンドもエクイティファンドも今までは借金をして資産を買っていたんですけども、今はその逆の現象、デレバレッジ(deleverage)ということが始まりまして、要するに資産を処分してそれで借金を返さなきゃいけない。ということで、もうヘッジファンドのおそらく20%ぐらいは消滅している。大体ヘッジファンドの資産の総額が1.6兆ドルとか1.7兆ドルといわれていますが、いずれその50%から75%は消えるだろうといわれています。エクイティファンドについても同じで、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドなんか日本の会社を買収するとか何とか言っていましたけれども、買った株を全部売って借りた金を返さなくてはいけない。まさに「インベストメントバンク・ヘッジファンド資本主義」と言われていたものが、実は崩壊したということでありまして、アメリカの大金融機関はほとんど例外なく資本注入を受けています。これもアメリカの金融システムが崩壊したということなんです。インベストメントバンクだけじゃなくてコマーシャルバンクも同様で、シティバンクもワコビアもみな資本注入を受けている。

 イギリスもそれに近いということなんです、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドに資本注入したほか、ほかにも幾つかあるんです。そういうことでイギリスも事実上の崩壊状態、ヨーロッパも半ば崩壊状況。スイスのUBS金融グループ、あるいはフランスのBNPパリバグループ・・・そういうところがみんなおかしくなった。まさに世界的な金融恐慌が起こっているということです。


 日本だけ例外だということをちょっと念頭に置いておいてください。日本だけ、資本注入はまだ一つもない、1行もないわけですね。おそらく予防的に、札幌北洋銀行、それから南日本銀行ですか、そう遠くない時期に投入して、まあ地銀を中心に20から30行、予防的な注入があるだろうと思いますけれども、メガバンクがおかしくなるというようにはなっていない。欧米ではもう完全にそれが崩壊していて、銀行が銀行を信用できないとしたら金融システムも機能しないわけです。金融システムの中核にあるのはインターバンク市場ですが、いろいろな形の取引があって、最終的にはインターバンクで資金を取って、それでその日の帳尻を合わせる、あるいはその週の帳尻を合わせるんですけれども、銀行が銀行を信用できませんからインターバンクマーケットが機能しない。それにかわって中央銀行側が資金を提供している。ですから、各国とも中央銀行が資金を出すことによって金融システムが何とか回っているという状況です。

 日本でも例えば日本銀行はドルの提供をしています。円は回っていますけれども、ドルは世界的にもう回っていないから、日本銀行がドルを提供しないと外銀はドルのファンディングができないというような状況になっている。日本は例外的でありますけれども、世界の金融システムは崩壊していると言っていいんだと思います。しかも恐慌状態です。

 その結果として一体何が起こっているかというと、巨大な金融収縮が起こっている。まずさっきのデレバレッジングというのは、要するに資産を売って借金を返すわけですから、資産を売るということは世界同時株安、世界同時不動産価格下落ということになるわけで、今まさにそれが起こっている。日本で株がこれだけ下がったのも、ヘッジファンドなどが株を売ったからです。これは企業のファンダメンタルズとは直接関係ありません。借金を返すために売らなきゃならないという状況ですから。しかも、これが世界的に起こっている。これはまだ終わっていません。そういうことがヘッジファンドだけではなくエクイティファンドでも起こっている。買収されかかった企業にとってはいいのですが、株式市場全体にとってみれば株価が下がるということですね。


 そういうことが今まさに起こっていて、それが去年の10−12月ぐらいから実体経済を巻き込んで悪循環が始まっているということで、今晩おそらく10−12月のアメリカのGDPの発表がありますけれども、今朝のフィナンシャルタイムズによるとマイナス6%だとか。まあマイナス6と書いてありましたから、おそらく何らかの情報をつかんだと思うんですね。正確ではないかもしれませんけれどもマイナスがかなり大きい。アメリカの7−9月がマイナス0.5%ですから、かなりの急落です。

 11月にニューヨークに行きましたけれどもクリスマス商戦が全くだめで、ニューヨークのメーンストリートでも70%オフとか80%オフとか、要するに売れない。普通20%オフとか30%オフというのはセールでありますが、70、80というのはないです。ですから今その商品がディスカウントショップに行っていたり、先日、日本の新聞で読んだんですが、アラスカに行っているということですね。そんなことでアメリカの消費が一気に崩れている。これは当然のことで、今まで借金して消費していたわけですから、金融バブルの崩壊は消費バブルの崩壊でもある。つまり住宅ローンが厳しくなった、オートローンが厳しくなった、クレジットカードの上限が低くなってきたり、クレジットカードの審査が厳しくなったりということが起こっているわけですから、まさに金融収縮の結果として消費バブルの崩壊が起こっています。世界的に消費が急落しています。

 ですからIMF(国際通貨基金)の予測を見ても、世界は軒並みマイナス成長ですね。大体マイナス2%前後で、日本が一番大きいところに入っています。マイナス2.6。イギリスがマイナス2.8でアメリカはマイナス1.6。まあこの辺は誤差の範囲ですから、ともかくこの予測は先進諸国がすべてマイナス2%程度の減速だということ。おそらくこれは楽観的な見通しで、私はマイナス2からマイナス5ぐらい、悪ければマイナス4からマイナス5のマイナス成長になると思っています。これは戦後最悪です。金融危機と連動して起こっていますから、場合によると1930年代の大恐慌のようなことになる可能性が極めて高い。ただ1930年代と若干違うのは、各国がそこそこ協調できていること、各国の中央銀行は協調しています。各国政府もお互いに為替の切り下げ競争なんかやっていない。新興市場国で保護貿易に走っている国もありますが、少なくとも先進国はまだ保護貿易に走っていないということがある。

 もう一つ1930年代と違うのは、1930年代はまだ社会主義の夢があり、「資本主義がだめなら社会主義」と言って国家社会主義に走ったわけですね。日本もそうですし、ドイツもそうですし、イタリアもそうだったんですが、今は何だかんだいってももう社会主義には行けませんから、まあ資本主義市場経済にスティックするしかない、これをどう直していくかということが課題になっているということですから、1930年代と違った要素があります。1930年代は大恐慌の後に結局は世界大戦になるわけですけれども、そういう要素はない。しかし危機の深刻さ、深さは、あるいはおそらく相当長い間の不況が続くでしょうから、それからいうと1930年代に匹敵する、あるいはそれよりも大きいかもしれない。非常に悲観的なことを言って申しわけありませんけれども、今のところ出口は見えない。少なくとも2年間かなり激しいマイナス成長が続くだろうということで、場合によったら4、5年続くだろうということでございます。


 それに対してオバマ米大統領なんかが非常に強烈な財政刺激策を打とうと8,250億ドルですか、そのうちの70%は前倒ししようという。そういうものが効くかどうかということですね。私はなかなか効かないだろうと思っています。つまり金融はもとに戻らない、これは循環的なものではなく、構造変化です。構造変化ですから、おそらくこれが終わったとき金融システムは大きく変わっているだろう。今は金融の規制強化ということが言われているわけです。サマーズ(国家経済会議委員長)、ガイトナー(財務長官)らはおそらく相当の強化を念頭に置いている。もともとヨーロッパは強化しろと言っていますから、今度G20があるんですけれども、G20でもその強化策が問題になっている。たまたま今日財務省、金融庁からG20に行く人と話をしていたのですけれども、どうもアメリカがヨーロッパと同調しちゃいそうだ、大変だといっていました。景気が悪くなっているときに一気にヘッジファンドのディスクローズをしろとか規制を強めるということになると、どんどん悪くなるという状況にきますから、プロシクリカル(pro-cyclical)な規制の強化ということになると、これはまたえらいことになるよというようなことを彼は言っていました。そんな可能性も出てきているということで、かなり深刻な事態だと思います。

 日本は直撃を受けてはいないんですけれども、二つの面でやっぱり大きな影響を受けている。一つは資産市場です。これはもう世界中の資産市場は下がっているわけですから、株式市場が一気に下がっている。むしろ日本の株式市場の下がり方のほうがニューヨークより大きいですね。これは持ち合いの構造があったり外国人の取引の比率が60%だったり、そういう日本の株式市場の特殊性に由来していますけれども、株が大きく落ちているということ。それから日本の輸出が一気におかしくなっている。この5年ぐらいの景気の拡大は輸出が主導してきましたから、輸出が一気に落ちているということで、おそらく今構造変化だと申し上げたのは、物がこれから売れなくなると思うんですね。つまり金融が変わるだけじゃなくて、金融が拡大することによって物があふれていたわけですね。考えてみれば自動車を二、三年に1回買う必要はないんです、5年に1回で十分なんです、非常に今性能がいいですから。テレビも別に薄くする必要はないんです、今の幅でいいということであれば新しいものを買う必要がない。つまり余計なものをつくっていたところが製造業にたくさんあって、おそらくそこが変わってくるだろう。ですからこの危機をくぐり抜けていく中で消費のパターンが相当変わってくる、今既にそれが日本でも起こっているわけです。ブランド物が売れない、外食産業がだめだということですから、余計なことはしないということにだんだんなってきている。世界中がそうなっていますから、日本の製造業が受けるダメージは非常に大きい。物が売れなくなる。金融がだめになって物づくりという世界ではないんですね、金融がだめになって物づくりもだめになるという世界ですから。やっぱりある種のパラダイムシフト、大きな枠組みの変化がこれから起こってくるんだと思います。

 時間になりましたので、まだまだ話すことがありますけれどもこれで終わりにしておきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

コメント(2)

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リチウム電池・・・

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この男できる?!!

大上 二三雄(おおうえ・ふみお)

エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社 代表取締役

1981年東京大学工学部卒業、アクセンチュア入社。92年9月統括パートナー就任。

ハイテク、保険・金融、情報サービス産業などの分野において、経営戦略、企業

変革コンサルティング、アウトソーシング、ベンチャー投資および戦略的提携等

に従事。2003年10月エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社を創業、代

表取締役として、コンサルティングや事業開発、人材育成に取り組む。また、200

5年東京大学総長室アドバイザー就任。現在、東京大学EMP(エクゼクティブ・マ

ネジメント・プログラム)アドバイザーとして、プログラム推進の中核を担って

いる。他、ISL(Institute for Strategic Leadership)の経営者ゼミ・ファカル

ティ、九州アジア経営塾碧樹館プログラム・アドバイザー、立命館大学経営大学

院客員教授を務める。

主な著書に、『戦略アウトソージング』、『人材マネジメント革命』、『ハーバ

ード・ポケットブック・シリーズ』(エム・アイ・コンサルティンググループ

(株)監修)など。福岡県北九州市出身。

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