ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

古今東西 キツネの話コミュの権現谷のキツネ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
昔々の話である。

保久良山の近くに権現谷というところが今でもあるのだが、
その谷の奥に六甲山から降りてきたイタズラ好きの狐が
住んでいたそうだ。里に降りて来ては村人にイタズラを
してたいへん困らせていたようだ。

ある日、村の若者が歩いていると、川のたもとにキツネがいる。
若者はこらしめてやろうと思い、落ちている石を拾ってキツネ
めがけて力一杯投げつけた。石はキツネに当たり、キツネは
驚いたのと痛いので「ケンケンケーン!」と泣きながら、どこかへ
逃げて行った。

若者は誰かに自慢してやろうと、得意げに家に帰っていった。

数日後、その若者が町まで荷物を運んで夕方に帰ってきた。
すると橋のたもとで若い娘が泣いている。どうしたのかと
聞くと、明石の先まで行かねばならないが、疲れて歩けな
くなったというんだ。日も暮れるし身寄りもないし心細く
なって泣けてきたのだという。

若者は気の毒になって、今夜はうちに泊まってゆっくりと
休んでいきなさい、疲れて歩けないなら荷車に乗っていけ、
と親切に声を掛けてやった。

娘は好意に甘えて泊めてもらうことにした。 ところが、
荷車にちょこんと乗るときに、着物の裾からチラリと尻尾
が見えた。
若者はすっかり気付かない振りをして娘を家へ連れてった。

昔の話である。若者は家に着くと娘を囲炉裏端に寄せて
火を起こしてから、鍋でもって食べ物の用意を始めた。

炭の火がまわると素知らぬ顔で、先が真っ赤に焼けた火箸を
娘の尻にジュっと焼き付けた。よっぽどビックリしたんだろう。
娘は「ケーン!」とひと鳴きして飛び上がり、クルッと舞うと
キツネの姿に戻ってしまった。そして家を飛び出しどこかへ
逃げていってしまった。

その次の日、落合橋の近くで、尻を川面に浸けながら
悲しげに歌うキツネの声を、何人もの村人が聞いたそうな。

コメント(10)

この話には続きがある。

ある日のこと。若者がいつものように町から仕事の帰り道、急に雲行きが悪くなった。
そして、辺りが一面暗くなったかと思うと、物凄い大雨が降出した。
これは大変だ急いで帰らねばと思い、道を急いだが、雨は強くなるばかりで、
やっと住吉川までたどり着いたのだけれども、川が大雨で増水していて、
目の前で橋が今にも崩れそうになっていたという。

どうせ頭の先っぽから雨で濡れていることだし、若者は覚悟を決めて
フンドシ一丁になった。フンドシっていうのは昔のパンツのことだよ。
お相撲さんが着けているのはマワシだから間違えないでね。

そして脱いだ衣類と荷物をひとまとめにして頭の上にくくり付けて、
川に入って渡ることにしたんだ。とっても勇気がいったんだよ。

大雨のせいで川の流れは激しくて、今にも流されてしまいそうなんだ。
そう簡単には川を渡ることができない。
若者は両手で掻き分けるようにしながら、どうやら川の真ん中ぐらいまで来ることができた。
もうちょっと、がんばらなきゃってね。

すると、どこからか若者を呼ぶ声が聞こえる。

「おーい、そこの若いの。そんなところで何をしよるんやー」ってね。
「何をしよるって、見りゃわかるやろ。川を渡っておるんじゃー」
若者は答えるだけでも必死の形相だった。

それが声の主にも一層滑稽に見えたのか、笑い声が聞こえてくる。
「何して川を渡りよる? 新しい踊りかと思うたぞ」
「何してって・・・」

若者が我に帰って声の方を振り向くと、橋の欄干から大勢の人が
若者を見て、指を刺して笑っている。
その背景には夕暮れ時の青空が広がっていて、足元を見ると、
ひざ下までの川面が穏やかに 流れている。
若者は思いっきり恥ずかしくなって、急いで川を渡り切ると、
着る物を身につけて、逃げるように家に帰ったんだそうだ。
この話には後日談がある。

そんなことがあって、しばらくたったある日、若者が町に向かってると、
峠のふもとに見慣れない茶屋があった。
店の女が、道を往くひとに休んでいけと声をかけている。

若者は不審に思ってしばらく眺めていたが、ちょっと考えがあって、
通りすがりに声をかけられるままに、お茶を呼ばれることにした。

店の女は「すぐにお茶をお持ちします。お団子の用意もありますんで」
と言って、奥へ下がっていった。

若者はすぐさま茶屋の裏にまわって、小屋の壁に節穴を見つけると
そこから小屋の中を覗き込んだんだ。

すると思った通り 小屋の中ではキツネが、馬の小便でお茶を、
そして馬の糞で団子をせっせと作っているところだった。

若者は、しめしめ今度は騙されんぞ、どうやって懲らしめてやろうと、
そう思ったところで背後から人の声がするのに気付いた。

「おい若いの、馬の尻の穴を覗いて、そっから何が見えるんじゃ?」

若者が声のする方を慌てて振り返り、事情を説明しようと、壁の節穴を指差すと
そこには、馬の大きな尻があった。
七兵衛山の麓の原っぱに化け物が出るという。通る人を坊主頭にしてしまう
というので、近くの村の者は恐がって誰もここを通らなくなった。

若い男がいて「そんな化け物なんか恐くない。俺が行って退治してやる」と
言って、出かけて行った。
ヤブの陰に隠れて、化け物が出てくるのを待っていた。
すると山の方から一匹のキツネが出てきた。
キツネはまわりを見渡すと、その場でくるりと回って可愛い娘に化けた。
そして地面に落ちていた小枝を拾って背中に負うと、
それがまた赤ん坊になった。
キツネの娘は「婆さんのところに連れていってやるで」と言うと、
背中の赤ん坊をあやしながらすたすたと歩いていった。

若者はいいところを見かけたと思い、後をこっそりつけて行った。

娘は、隣り村のはずれにある小さな家へ入っていった。
そして「今帰ってきたで、婆さ」と言うと、中から婆さんが出てきて、
「ああ、帰ってきたか。さあさあ上がりなさい」という。
そこで若者は家の外から「婆さん、今来た女はキツネやで!」と言った。
婆さんが出てきて「そんなことがあるものか」と言っていっこうに
取り合わない。「俺は今、ちゃんと見てきたんや」と若者は言うが、
婆さんは承知しない。

「それなら俺が尻尾を出させてみせようか」と言うと、
婆さんは「やってみなされ」と言った。
若者は藁を焼いてさっきの娘をいぶした。ところがいくらいぶしても
なかなか尻尾を出さない。
とうとう若者は娘を焼き殺してしまった。

これを見て婆さんは大層怒って「娘を殺したがどうしてくれる」というので、
若者はすっかり困り果ててしまった。
「確かにキツネと思うたが、どうにも取り返しのつかんことをした」といって
さんざん詫びた。

そこへ寺のお坊さんが来て「お前さんたちどうなさった?」と聞くので、
若者が一部始終を話すと、お坊さんは「お前さんは人を殺したんだから、
坊さんになって弔ってやればよかろう」と言う。
若者もいたしかたないので、坊主になることを決心して、その場でお坊さんに
頭を剃ってもらうことにした。
その剃り方が乱暴で痛くてたまらんもので「痛いっ!」と言って首を
持ち上げると、そこには家もなければ婆さんもお坊さんも居なかった。
若者はキツネに騙されたうえに頭の毛を掻きむしられて、ほうほうの
ていで村に帰っていったそうだ。
権現谷の東に峰がある。その峰に沿って浜から有馬に続く道がある。
それを魚屋道(ととやみち)という。そこに悪いキツネが出るというのだ。
たいていの者はキツネにばかされていたが、浜に住む若い者で
魚の荷を山越えで有馬に運ぶたびにいつも小魚を投げ与えていた者が、
すっかりキツネと友達になった気になり
自分だけはキツネに化かされんと仲間たちに自慢していた。

ある日この男が峠に向かうと、路傍に四、五匹のキツネが出てきて、
「旦那さま、ただ今わしらの倅が嫁を取るんで、ほんの真似事ばかりで
 手間は取らせぬから、ちょっと山かげまで来てはくださらぬか」と言う。

男はまんざらでもなく「そうか」と言って、すっかりその気になって、
魚の荷を降ろし、積み馬を放して草を食ませ、キツネたちに呼ばれるまま
山かげの方へついて行った。

婿らしいのや、嫁らしく頭に赤いテガラをつけた者がいる。仲人、お客など、
ずらりと並んだキツネの、まずは上座に案内され「旦那さま、旦那さま」と
持ち上げられる。いくら相手がキツネだというものの、男は良い気分だった。
「旦那さまの荷物はみんな沼の柱にああして吊るしてあるから安心なされ」
キツネが言うので見ると、いかにも荷はちゃんと柱に吊るされていた。

安心して食ったり酒を飲んだりしていると
「旦那さま、湯がいい加減なのでお入りなされ」と風呂をすすめる。
いかにも風呂場から湯気が立ち昇っているのが見える。言われるままに
風呂に入ると、女キツネが来て流してくれる。男はいい気分になって、
じゃぶじゃぶと湯を使っていた。

ところが俄かで大きな怒鳴り声がする。おかしいなと思って振り返ると、
「お前は何をしている!」と怒っている。どうもその声が知り合いの爺に
似ているので、我に返ってよく見ると、風呂だと思っていたものは近所の
野の糞壺で、頭から糞を浴び、畑にも撒き散らしている。
魚の荷なども山に置いてきて、すっかり無くなっていたということだ。
ある寺に檀家の帰りに酒を飲んで帰ってくると、途中でいつも
キツネにだまされるという和尚がいて、小僧はいまいましくて
仕方がなかった。

ある日、小僧は「野原に行って、和尚さまをだますキツネを捕
まえて参ります」というと、カマスを持って寺を出て行った。

草むらに着くと、大きな声で「和尚さま、和尚さま、お帰りが
遅いのでお迎えに参りました」と言うと、遠くの草むらの方で
「ホゥ」っと返事をする者があった。もう一度声を掛けると、
草むらをかき分けて「おお、小僧か」と言って、キツネが和尚
に化けて出てきた。

小僧は「お帰りが遅いので心配しました。酒に酔うた帰りには
このカマスに入りなさるというので、カマスを持ってきました。
早く入ってござれ。」とカマスを開けると、和尚に化けたキツネ
は、するりとカマスの中に入ってしまった。
小僧はカマスに縄をかけ、それを背負うて寺に帰った。

小僧は「和尚さま、キツネを捕まえたから早く寺を閉めてくだ
され」と言って、お寺の戸をすっかり閉めてしまうと、カマス
を本堂に持って行き、キツネを出し、和尚と捕まえようとした。

するとキツネは本堂の中を逃げ回り、二人はそれを追い回した
が、いつの間にか見えなくなってしまった。

はてなと思ってよく見ると、本尊のお釈迦さまがふたつになって
いて、どちらが本物かわからない。

そこで小僧はトンチを利かせ「お寺のご本尊さまは、和尚さま
がお経をあげると首をキタキタとお振るいなさる。さあ、和尚
さま、早くお経をあげてくだされ」と言うので、和尚がお経を
あげると、お釈迦さまに化けたキツネはだまされて、キタキタ
と首を振った。

そこで二人はキツネを捕まえて、うんと懲らしめてやったが、
そこはお寺のことなので、命だけは助けてやったそうだ。
gb10さんの 昔話の話し方 とても お上手ですよねわーい(嬉しい顔)

以前に初めて読んだ時も 楽しんだのですが また改めて読んでも とても感心しますムード

古今東西 狐にまつわる話を これからも いろいろ聞かせて下さいねわーい(嬉しい顔)

読んでて風景が浮かんで来ますわーい(嬉しい顔)

あと鳥獣人物戯画に出てくる 数少ない狐も 好きですよ私犬
更新をずいぶんサボっていました。

きつねさんも面白いと思う話がありましたなら、
是非にトピックスを立てて下さいね。



これからも狐の面白い話 楽しみにしてますねわーい(嬉しい顔)

私も何かあれば 是非 皆さまにご紹介したいなぁと思ってますよ 古今東西キツネの話ムード

ムード犬ムード
もし、たにっちさんとタッグを組めるなら、ルーカスとスピルバーグが組んで作った壮大な宇宙の物語よりデカイ話が出来るンとちゃうかなーって思っています。たにっちさんには構成と絵をお願いしたいと思ってます。 どうでしょう? たにっちさん、読んでくださいましたか?

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

古今東西 キツネの話 更新情報

古今東西 キツネの話のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング