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教育基本法改悪反対!コミュのNHKーTV「クローズアップ現代」より

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1月31日(木曜日)夜7時30分放送の「クローズアップ現代」で、
学校教育問題が取り上げられました。その時の放送内容をコメント
抜きで、全文紹介いたします。


     ・・・・・・・・・・・・・・・・


            NHK「クローズアップ現代」 No2530

          2008.1.31放送ーヨーロッパからの「新しい風」?


             「教育で国の未来を切り開け」より全記録


国谷(以下K):ロンドン市内の小学校に来ています。社会に出た後も生き抜く力を持った子供達を育てるのはどうしたらいいか、急速な技術の進歩で、これまでの知識は時代遅れになりやすく、インドや中国など新興国に従来の仕事が移っていく、変化の非常に激しい時代の中で、いまの子供達は育っています。また、新しい技術に仕事が生まれてもそれに適応できる能力を持った人材、生涯にわたって仕事を得ることのできる人材を育てていくことが、日本だけでなく各国にとって重要な教育の課題です。

特に先進国では、競争力を保ち、持続的な発展を可能にしていくためには、技術の進歩を生み出す人材が大きな鍵とされています。学力の低下、学力格差の広がり、さらには国際的な学力調査で、自分で考える力が身についていないと指摘される日本ですけれども、ここEUでは8年前の2000年に、知識を基盤とした経済の構築ビジョンを掲げいま各国ではそれに向けた教育改革が行われています。

競争力の導入を20年前に行ったイギリスの現状からごらんいただきましょう。


ーナレーション(以下N)ー

N:ロンドン市内にある公立の小学校です。給食の時間、食堂に特別のテーブルが用意されます。

子供:僕がここに座れるのは、成績がよかったからだよ

N:この学校では成績や学習態度がよかった子供だけにケーキやジュースが与えられます。

子供:このケーキ最高だよ

N:イギリスでは子供達を競争させることによって学習意欲を持たせて学力の向上を図ろうとしています。1988年、当時のサッチャー政権は経済の低迷から抜け出すためには人材育成が欠かせないとして、教育改革に乗り出しました。

教育に競争原理を導入、全国共通の学力テスト(全国統一テスト)を行い、その結果を公表しました。子供達が行きたい学校を自由に選べる「学校選択性」も始まり、成績のいい学校にはより多くの生徒が集まるようになりました。補助金の配分は子供の数によっって決められ、競争にいっそうの拍車がかかりました。

社会に活力が戻り、90年代半ばには最高4%の経済性成長を記録しました。

しかし競争原理の導入は、新たな課題を生みました。1996年、国が11歳を対象に行った調査で半数の子供が国が求める学力水準に達していないことが明らかになったのです。


ロンドン大学のJ.ウィッティー教授の話:

競争原理の導入によって成績のいい学校には成績のいい生徒がますます集まるようになりました。それによって成績のいい学校と成績の悪い学校の格差がさらに拡大していったのです。


イギリス議会ブレア首相演説:

私が真っ先に取り組みたいことは、「教育・教育・教育」だ。


N:1997年に発足したブレア政権の課題は、競争の導入によって得られた成果を維持しながらも、学力の低い子供達の底上げをいかに図るか、と言うことでした。読み、書き、計算の能力を高める「基礎学力向上戦略」を打ち出したのです。

教育予算を2倍に増やし、教員の数を20万人近く増員して成績の悪い学校に重点的に配置しました。


N:ロンドン市内のサウスウォールド小学校です。

映像:太鼓のリズムに乗って掛け算の練習・・

N:小学6年生の授業です。低学年で学んだ九九を太鼓のリズムに合わせて勉強しなおしています。一クラス20人の子供に対して、教師は5人。

映像:Pではじまる単語を絵を使って勉強・・・

N:基礎学力が充分身についていない子には(1対1の)特別授業を行います。単語のつづりなどをマンツーマンで丁寧に教えます。

子供:分からないことはいつでも先生に聞けるよ
子供:いろいろなことを教えてもらえるから面白いわ

N:核力格差で生じる学力格差の問題をどう乗り越えていくのか、イギリスの模索が続いています。

イギリス教育省「資格・カリキュラム担当」S・ホーナー指導官:

国の役割は一人ひとりの基礎学力のレベルを的確に見極めその子の学力を伸ばすことです。そのためには学校や教師を手厚く支援しなければなりませんが、私達はこうして国全体の教育の質を向上させたいと考えています。


K:ここはパリにあるOECD、経済開発協力機構の本部です。先進国30カ国が加盟し、経済成長を続けていく上での課題を探っているOECD、いま最も力を入れているもののひとつが教育です。

変化の激しい現代社会の中で、生涯にわたって知識を学び、そしてまた、それを活用していく力が大事だとしています。そして2000年からはPISA(学習到達度調査)を行い、その結果は各国の教育政策に大きな影響を与えてきました。

去年12月に発表された3回目の調査で、日本の子供達の学力低下、学習意欲の低下が明らかになりました。世界で求められている学力・能力とはどういったものなのか、このPISAの統括責任者アンドレア・シュライヒャー(A.S)さんにうかがいました。


K:いまイギリスを始め多くの国々が教育の格差の問題を抱えています。学力格差を埋める秘訣は何でしょうか?格差を是正するために学校にはどのようなことが求められているのでしょうか?

A.S:まずはすべての子供が学ぶ意欲を持てる環境を整えることが大切です。そして、どこでつまずいているかを見極め適切にフォローを行う必要があります。日本では塾などがそうした役割を担っているようですが、本来は学校の教師の仕事です。学校の教師が一人ひとりの理解度に合わせて支援し、学力格差の是正に取り組むことが必要です。

K:PISAの問題を見ましたが、正解がひとつ、と言う問題がひとつもありませんでした。PISAはどのような学力を測ろうとしているのでしょうか?

A.S:科学です。元素の周期律表を暗記しているかどうか、クモには足が何本あるか、こうした知識を身につけているかを確かめるのは簡単です。しかし、私達が必要として求めているのはそうした知識ではなく、問題を科学的に考える能力です。考えて見てください。実際の人生では答えはひとつではなく状況によって複数あるものです。知識をつなぎ合わせて科学的に導いてくる能力、PISAはそうした能力を測ろうとしているのです。

K:しかし、学校の教育ではそうした能力を身につけさせることには慣れていないのではありませんか?先ほどおっしゃったように、簡単に教えられ、簡単にテストができる知識教育に時間を割いてきたのではないでしょうか?

A.S:教科書で学んだ知識はすぐに時代遅れになります。一生懸命暗記しても大人になったら一向に役に立たないかもしれません。必要なのは状況を分析し、他人に論理的に説明して、情報を批判的に捕らえる能力です。さまざまな分野の知識をつなぎ合わせて問題を解決に導いていく能力です。

これからの社会は簡単に暗記できたり、簡単にテストで計れる能力はどんどん必要ではなくなってきています。そういった能力はコンピュータの方が人間よりも優れているからです。若い世代は状況に応じて臨機応変に対応しなければなりません。大人になって求められるのは幅広い事柄に適応できる能力です。

さまざまな人々と協調しあいながら一緒に働く必要があります。非常に厳しい労働市場で生き抜かなければなりません。状況に応じて問題を解決していく能力こそがもっとも大切なのです。



N:OECDの「学習到達度調査」PISAで毎回好成績を収めているのが北欧の国フィンランドです。学力世界1と評される教育とはどのようなものなのでしょうか。首都ヘルシンキ郊外にある、ティックリラ小学校です。

この日、4年生は身近な自然環境を学ぶ授業を受けていました。子供達は森の中を自由に観察し発見したさまざまなことをノートにまとめて行きます。

映像・・

N:この女の子は日のあたらない植物の特徴について気がついたことを書き留めていました。

女の子:茎は細くて曲がりやすいけど、根はしっかりしている

教師:いい発見ね

女の子:この植物の根がこんなにしっかりしているなんて知らなかったわ

N:教師は知識を教えるのではなく、子供達が自ら発見し考えるのを手助けします。

引率教師:子供達が自ら学び考えることをもっとも大切に考えています。自分で行動し、自分で発見していくことが大事なんです。

1974年・・

N:かつてフィンランドの教育は知識を身につけさせることに重点が置かれていました。転機となったのは1991年、ソビエト連邦の崩壊でした。ソビエトに経済的に依存してきたフィンランドは深刻な不況に落ち入り、失業率はおよそ20%にも達しました。

国家の危機を救うため、大胆な教育改革に乗り出したのが、当時教育相だったオリペッカ・ヘイノネンさん(O.H)でした。子供が一人ひとり自分で考える教育へと政策を転換しました。情報通信など新たな産業を起こす人材を育成し、自律した国を目指そうとしたのです。


O.H:教育は投資です。これは国の競争力に関わる問題です。教育大臣になった当時、フィンランドは不況の只中でしたが、私はそこから抜け出るには、人と言う資本に投資するのが一番よい方法だと考えたのです。


N:フィンランドではそれまで、国が教材の選定や指導内容、カリキュラムなどを細かく定めていました。その権限を地方自治体や学校に委譲し、現場の裁量で決められるようにしたのです。

O.H:学ぶということは、本来とても繊細で個人的でまた非常に複雑なことなのです。私達は、子供達にそうした本来の教育を受けさせるために多くの権限を現場にゆだねました。子供達、教師、そして校長に任せたのです。国が決して阻害してはならないのです。


N:教育の権限を現場に移すことのできた背景には、質の高い教師の存在があります。フィンランドでは教師の社会的地位が高く、憧れの職業です。大学の教育学部に入学できるのは志願者の10人に一人。さらに実際に教師になるためには
大学院の修士課程を修了しなければなりません。教壇に立つには延べ半年間の教育実習が必要です。

大学4年生のエリナさんです。この日の実習は小学校低学年の国語の授業です。担任の教師に加え、エリナさんの指導官も立ち会います。一人ひとりの子供に目を配り、考える力を引き出せているか厳しくチェックします。

映像、授業風景・・・

N:質問しようと手を上げる子供が多すぎて、エリナさんはすべてに手が回りませんでした。

子供:これでいいかわからないから、ずっと手を上げていたのに・・・

N:実習の後、エリナさんは指導官から、もっと教室全体に目を行き届かせるように指摘されました。

エリナさんの指導官:子供はみんな先生に面倒を見てもらいたいと思っています。誰か一人だけを長く待たせてはいけません。

エリナ:すぐに対応できていたらあの子はもっと先に進めたはずです。反省しています。

N:厳しい指導に耐え切れず、教師への道を諦める学生も少なくありません。考える力を養うための教育は、子供が入学する前からすでに始まっています。すべての子供を対象にした「就学前教育」です。


就学前教育の映像・・


教師:今日は実験をします。

N:この日はリンゴやさいころなどさまざまなものを使って、水に浮かぶものと浮かばないものがあることを学ばせました。

教師:まずは考えて、浮くかな、沈むかな?

N:子ども自身に結果を予想させてから実験にうつります。

映像・・(子供達が予想を絵図のような表に予想をしるしで書き込む)

教師:あなたやってみて・・・さあどうなった?

子供達:浮いた〜、浮いた!

N:フィンランドでは子供達に考えることを身につけさせることで国の未来を切り開こうとしているのです。

O.H元教育相:自律した国になるには、国民一人ひとりが新しい出来事に対処する能力、将来思わぬ問題が起きたときに解決する能力を身につけなければならないと考えています。


K:3回目のPISAの結果で日本の子供はフィンランドの子供達と比べると、基礎知識と考える力の両方とも劣っているという結果が出ました。日本の教育に何がかけていると思いますか?

A.S:フィンランドの子供達は、科学に対して非常に前向きに向き合おうとしています。科学は生活に直結するものだと考えています。科学で学ぶべきことに強い興味や関心を示します。一方日本では科学離れが進んでいます。科学が個人の将来や仕事にとって重要だと考えていないようです。大変憂慮すべき事態です。

K:子供達が科学に興味を持つようになるには、フィンランドのように小学校に入る前も教育が重要なのでしょうか。

A.S:必ずしもそうではありません。教育プロセスの全体の問題です。科学の知識を覚えさせるだけでは科学的思考力を身につきません。身の回りに楽しいことがあふれているいまの子たちに科学に興味を持たせるには、魅力的な学習環境が必要です。これは教師にとって難しい仕事です。かつては決めたれた知識を子供達に伝えるだけでしたが、いまは一人ひとりの子供の能力とやる気を把握し、その子に合った教育を行うことが教師に何よりも求められているのです。

K:多くの国々が教育改革に取り組んでいますが、成功させるために何が重要なのでしょうか。

A.S:教育システムがうまく機能している国では、生徒にどのような能力を身につけさせたらいいのか、ビジョンや目標が明確に定まっています。そして教師はどんな知識を教えるかではなく、子供達の人生をどう導くかを大切にしています。さらに、教師だけに任せるのではなく、行政が支援していく体制ができているのです。

A.S:2点目は教育に関する権限や責任が学校現場に移されていることです。学校は教育に関するたくさんの責任を担っています、その結果を引き受けます。行政が介入するのは教育の現場でなにか、大きな問題が起こったときだけです。
基本的には学校の自主性を尊重し、支援していくスタンスが大切です。

A.S:3つ目は子供達が進みたい将来に対し門戸が広く開けていることです。そして一人ひとりに合わせた支援体制が整っていることです。PISAの調査でよい成績を収めた国は、いずれもいま申し上げた3つの要素を満たしているのが特徴です。

K:常に新しい知識を習得し、そして常に状況に合わせて使う能力を磨く必要がある、子供達には大変な時代になりましたね。

A.S:そうですね、世界の明日が見えないとか、子供達を取り巻く環境はいっそう厳しくなっています。子供達は自分の能力を知り、見極める力が求められています。でも、見方を変えれば今の世界は逆に面白いかもしれませんよ。適切な能力を身に着ければ、自分に合った仕事や職場を見つけられる可能性は大きく広がっています。より充実した人生を送れるチャンスは増えているのです。そのためには能力を身に着ける必要があります。ですから教育はかつて無いほど重要な役割を担っているのです。



K:気候変動の脅威と、グローバル化のもたらす激しい変化にさらされている先進国は、持続可能な新しい社会システム作りと言う先に見えない大きな課題に直面しています。インタビューに答えてくれたシュライヤヒャーさんは、予測できない事態が起きても、さまざまな人々と協調しながら、創造的な解決策を見出していく人材を育てることが大事だ、としていました。

今回ヨーロッパで繰り返し耳にしたのが「コラボレーション(協調)」と「イノベーション(革新・刷新)」と言う言葉です。新しい社会システムを作っていくために国や自治体、企業そして個人の能力を幾重にも組み合わせた試みを積み重ねていくことができるのか、27カ国の統合と言う壮大な実験を続けているEUは、その経験や知恵を活かしながら、コラボレーションの可能性を探る大きなうねりを作り出そうとしているように、今回のシリーズを通して感じました

         ー了ー

コメント(5)

要するに日本の文部科学省は、すでに失敗が明らかになっているかつての英国の教育制度を、これから真似ようとしている訳ですね。

大笑いですが、日本の公共事業を見れば分かる通り、日本の官僚は、不要になった事業でも。一度決めたら機動隊を導入してでも強行し、弊害が明らかになっても決して税金投入をやめようとしません。利権が絡んでいるので。

教育指導要領も。一つの利権だろうと思いますので、今のうちから見直しの運動を盛り上げる必要があると思います。
教育が利権、なるほどなあ・・・。
そういう点から見ても分かることがありますね。

教育で、「批判精神」を持たせないように
それなりに科学を教えなくちゃならない教育行政も
たいへんだなあ、などと同情さえしちゃいます。
あと、日本の場合で問題なのは、「学力テスト」で成績の良い上位校には予算を集中的に配分して、一方の下位校の生徒に対しては「道徳」や「徳育」で押さえつけちゃおう(例えば犯罪を起こさないようにという狙い?)っていうところなんですよね。
与党(特に自民党)内で頭の良い人達は、考える力,とりわけリテラシーを養う教育を推し進めると(少なくとも今よりは、国民の政治参画意識が大幅に高まるでしょう)、自分達の権益がどうなるか分かっているから、あえてPISAの言う学力強化につながるような政策を避けている・・・のかな?
 教育改革が、過去の個人的な判断に基づいたり、経済界からの圧力が強すぎるように思われます。今の教育改革は、反省なしに新しい目先のものにに取り組んでおり、不易と流行が混在した改革です。
 歴史認識をもっと科学的に捉え、現状認識を的確に捉え、腰をしっかりすえた長期展望に立った国づくりを目指して、教育目標をしっかり樹立すべきときと考えます。
 

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