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【読書ノ会】コミュの『ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)

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ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)のこと(その1)
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我が人生の来し方を顧みて此の本は私の人生観に決定的な影響を及ぼした本の一つといえる。以下は此の本についての感想である。
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この本を読了したのは、S.60/12/29。この本の最後に、そう、鉛筆書きしてある。
もう、20年前になる。今でも、時々、パラパラと頁をめくって、気に入っている箇所を読んだりしている。この本で特におもしろかったのは、プロローグと、第13,14章だ。
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まず、プロローグについて。

他の生物に比し人類という種の著しい特徴として、著者は人類の狂気について語っている。彼は言う。

『文明の進んだ惑星から公平な観察者がやってきて、クロマニヨン人からアウシュヴィッツまでの人間の歴史を一望すれば、人類はいくつかの点では優れてはいるが、概してひどく病的な生物で、それが生き残れるかどうかを考えるとき、その病のもつ意味は、文化的成果など比べものにならないほど重大である、と結論するに違いない。』

その人類の「病」の原因として、彼は、以下を挙げて説明している。

(1)ワニとウマとヒトとが、同居する人間の脳の矛盾
(2)人間の悲劇を生む過剰な献身
(3)もっとも恐るべき兵器「言語」
(4)死の発見と死の拒絶

例えば、アラン・レネの記録映画『夜と霧』などを観たとき、上記の著者の、これらの人間の病に対する指摘は大変説得力がある。

(1)については、脳科学の進展により、現在は、いくつかの訂正を要する記述があるかも知れないが,私には衝撃的な指摘だった。しかし本質的には(1)の指摘はおそらく現在も未来も妥当だと思われる。人類という生物種が果たして今世紀まで存在しえるのかどうか?、これは決して笑止な問いではない。

(2)については意外に思う人がいるかも知れない。人間は「正義」のためには己の身を焼くことさえする。この例一つとっても(2)は説得力がある。しかも厄介なことに「正義」というイデオロギーは国の数ほど有ると云ってよい。
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実際、キューバ危機は53年前に起きた。私はその時を実体験している一人である。
まかり間違えば人類というより此の地球そのものの破滅は現実になった。
『核の冬』という言葉が流行ったのも其の数年後である。

この53年の間、恐らく、表面化しない『人類の存亡の危機』は何度となくあつたに違いない。

人類の滅亡は遅かれ早かれ必ず到来する。その原因が著者の言うような意味での、言わば『自殺』か、あるいは、もろもろの自然災害に拠る『他殺』かは別にして。

ここでも我々は2011/3/11を体験している。

しかし我々凡人は、結局のところ、そんなことは無い『かのように』生きなければならない。

私は著者の指摘する人類の脳の致命的欠陥を思うとき、オリンピックも憲法云々も結構だが、我々人類の実態は、畢竟『世の中は地獄の上の花見』であると思わざるを得ない。
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『ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)のこと(その2)
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もう一つ、この本で面白かったのは、第14章。

人間の、もろもろの感覚の限界は、要するに、『そういう現象を想像できないのは、それがありえないことだからではない。人間の脳が、そして神経系がそれに対応できるようにプログラムされていないからである。』(455頁)

このプログラムという表現が新鮮で、分かりやすかった。

事実、4次元空間を知覚できる生物は、この地球上に存在するかも知れない。ここで言う4次元空間とは、縦・横・幅以外の空間次元を指す。人間が3次元空間しか知覚できないのは、人間の脳が、そのようにはプログラムされていないだけのことかも知れないのだ。
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また著者はテレパシーの存在を否定しない。
『テレパシーよりも神秘的なユングの同時性』(419頁)についも詳述している。
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この本の第13章の「大数の法則」の紹介も面白かった。

・大数の法則の不思議1

統計とか確率とかは、小生は全く門外漢だが、面白い学問だと思う。

『ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)という、これ又とても面白い本がある。この本の終わりのほうの章で、大数の法則の不思議について書かれている。

この本によると、以下の事実があるという。

・ニューヨーク保険局の統計によると、人に咬みついた犬の数の一日平均値は、
1955年は、75.3匹
1956年は、73.6匹
1957年は、73.5匹
1958年は、74.5匹
1959年は、72.4匹

・19世紀のドイツ陸軍で、兵隊を蹴って殺した騎兵隊の馬の数についても、同様な統計的信頼度みられたという。
この二つの例は、ポアソンの式と呼ばれる確率理論式に従っているそうだ。

また、イングランドとウェールズの殺人犯の数も、同様な統計の法則に従っているそうだ。

さらに又、第一次世界大戦以後の、各10年間の殺人犯の数は、人口100万につき、以下のとおりとなるとのこと。
1920〜1929年は、3.84人
1930〜1939年は、3.27人
1940〜1949年は、3.92人
1950〜1959年は、3.3人
1960〜1969年は、約3.5人

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『ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)のこと(その3)
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・大数の法則の不思議2

「大数の法則の不思議」の典型例として、この本に、放射性物質の崩壊についての記述がある。

『一個一個は予測不可能な放射性原子が、全体としては完全に予測可能な結果を産む』という事実が、それだ。

一個の放射性原子が突如崩壊をはじめる時間点は、理論的にも実験的にも、全く予測不可能なそうだ。それは、温度とか圧力とかいった化学的、物理的な要因にも影響はされてはいない、とのこと。

つまり、それが崩壊する時間点は、その原子の過去の履歴にも、現在の環境にも依存していない。そこには、一切の因果関係は存在せず、まったく「気まぐれに」崩壊が始まる。

しかし、しかしだ、放射性原子の全体をみてみると、そこには、ある規則が存在する!!半減期がそれだ。半減期というのは、物体中の全原子のうち半分の原子が崩壊するのに要する時間のこと。

そして不思議なことは、この半減期は、完全に予測可能だ、ということ!!

一個一個の原子の崩壊は、他の原子がどうなっているかには全く影響されていないというのに、なぜ、原子全体となると、完全に予測可能な性質が生ずるのか?

個々と、その全体との、この奇妙な関係は、なにゆえに生じるのか?

統計として、あるいは確率として、そうなるんだよ、という回答は、それこそ、ミもフタもない回答だ、小生は思う。

こうした奇妙な例は、確率が有しているパラドックス的性格を、よく示している、とのこと。

すなわち、個々の出来事自体は、独立(無関係)なはずなのに、全体(統計)としてみると、ある統計の法則に従っている!!!
いったい、これは、なぜなのか?
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数学者:フォン・ノイマンは、この確率が有しているパラドックス的性格を、「ブラック・マジック」と呼んだそうだ。

このパラドックスとは、以下の事実とのこと。
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『確率の理論を使えば、きわめて多くの出来事について、その全体的な結果がうす気味悪いほど正確に予測できるのに、個々の出来事は予測不可能なのである。言い換えれば、われわれは「ひとつの確定を生みだす、きわめて多くの不確定性」あるいは、法則性をもった全体的結果を生み出だす、幾多の無秩序な出来事、とあい対しているのである。』
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しかし、問題は、これがパラドックスであろうとなかろうと、大数の法則は、現実に確かに働いているのだ!!
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科学は、この世の現象に対して、HOWを説明するだけであって、WHYに対しては説明しない、というコトを耳にするときがある。

そうかも知れない。リンゴは何故落ちるのか? それは、ニュートンの力学の法則故さ。それは、そのとおりだろう。 しかし、それでも、なぜリンゴは落ちるのか? という疑問は消えない。ちょうど、2枚の鏡の中間にあるモノが永遠に反射していくように、いつまでも疑問は消えない・・・。疑問の永遠の連鎖。

WHY? WHY? WHY? ・・・・・・・・

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アーサー・ケストラーは1993年2月、夫人と共に自殺してしまった。巷間では『安楽心中』と話題になったそうだ。

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上図は本文と関係ない。私の絵遊びのものの一つである。

コメント(3)

ホロンの考え方とケストラーに興味があって、以前、僕も古本屋さんで買いました。
78910さん
できましたら感想をおきかせください。
今、トランスパーソナル心理学の理論家、ケン・ウィルバーの『統合心理学への道』を読んでいますが、彼は「ホロン」の考え方を受け継ぎつつ、より包括的な世界像を描き出しています。

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