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【エヴァ】二人の瞬間コミュのエピローグ

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春の風が吹いていた。
うららかな日差しと暖かな空気に、花が薫っていた。
それはあまりに落ちついた日だった。

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直上最終決戦のあと… 2度目の春、3月のある暖かい日。
今日は、再建された第3新東京市立第1中学校の卒業式当日だった。
街には少し早い桜が咲いていて、なんだか気分がうきうきしてくる日だった。

部屋では卒業式に出るため、レイが登校の準備をしていた。
冬服に身を包み、リボンを結び終わったレイは、
部屋を仕切るブラインドの向こうに声をかけた。

レイ  「もういいわよ、シンジさん。」
シンジ 「ごめんね、着替えの最中にいきなり入って来ちゃって」
レイ  「うん、ちょっと恥ずかしかった…。でも許してあげる…
     今日は嬉しい日だもの…。」

そう言うとレイは、テーブルの上の写真立てに目を移し、
いとおしそうに見つめていた。

レイ  「おぼえてる?これ。」
シンジ 「ああ、もちろん。」
レイ  「懐かしいわ」
シンジ 「懐かしいね」
レイ  「私、忘れない… あの校庭での事は…。」
シンジ 「うん…。」

レイ  「卒業したら、みんなともなかなか逢えなくなるわね…」
シンジ 「レイ…」

シンジは意を決したように、のどから声を振り絞るようにして言った。

シンジ 「レイ…ボ、ボクがいるよ。これからもずっと…。
     き、君を…幸せにしたいんだ」

レイが驚きの表情をした。少し時間を置いて、それは別の表情に変わった。
レイの頬を大粒の涙がつたった。

しかし、それは昔のような悲しい表情ではなかった。  

レイ  「きっとよ………。しあわせに…してね。」
シンジ 「レイ…あ、愛してる。」
レイ  「わ、わたしも…。」

言いたくても言えなかった言葉… でも、一番言いたかった言葉…
二人はついに、それを口にした。

レイのふるえる声は、幸福に満たされた少女の胸のときめきをあらわし、
大粒の涙も、彼女の輝くばかりの笑顔の前にはアクセサリーにすら見えた。
シンジはその表情を満足そうに見つめていたが、やがて思い出したように言った。

シンジ 「じゃ…行こうか。みんなが待ってる。」
レイ  「ええ…。」

うきうきした気分を抑えきれずに駆け出していった二人を、
テーブルの上の写真が見送っていた。

それは、シンジがいつか夢に見た光景…
去年、一足早く2年A組のみんなで撮った卒業写真だった。
シンジ、レイ、アスカ、トウジ、ケンスケ、ヒカリ。
そしてクラスメートのみんなが嬉しそうな笑顔に輝いている。



あの悲しい日々もシンジは忘れない…。でも、シンジとレイの人生はこれからだ。
『二人の瞬間』は… 今、流れはじめたばかりだった。

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【完】
                           (初出 96/03/27)

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