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501stCGUプロジェクトコミュのアズールレーン:第501沿岸警備隊 臨時紫波出張所日誌 #68 第50話:【城西の魂、旧式ギガの咆哮】

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1. 邂逅の黄昏
​岩手県紫波町。北上川のせせらぎと奥羽山脈の稜線が夕闇に溶け始める頃、月ヶ岡ベースの片隅で、入江省造軍曹は更新が滞っている大型機材のやりくりに頭を抱えていた。
「……どうした? 入江の坊主。らしくない顔をしてるな」
​重く、だが温かみのある声が響いた。振り返ると、そこには使い込まれたハンティングジャケットにニット帽を被った老人が立っていた。元・警視庁城西署捜査一課長、黒岩頼臣。かつて「城西のボス」と恐れられた伝説の男は、今はこの紫波の地で、ベースの近隣農家兼猟師として静かに暮らしている。
​「黒岩さん……」
ジャケットの袖口は土で汚れ、その手には愛用の散弾銃ではなく、ステンレスの水筒が握られていた。しかし、深く刻まれた皺の奥にある瞳の鋭さは、刑事を辞めた今も全く衰えていない。
「悩みがあるなら吐き出せ。独りで抱え込むのは現場の人間の悪い癖だぞ」
軍曹は、旧知の仲である父・浩史の背中を追うように、今の苦境を静かに話した。大規模災害に対応するには、今の装備では限界があること。組織の壁に阻まれていること。
黒岩は黙って聞き終えると、フッと目を細めた。
「なるほどな……。わかった」
それだけ言い残すと、黒岩は一度も振り返ることなく、軽トラックの止めてある夜の帳へと消えていった。
​2. 深夜のダイヤル
​深夜、紫波の静まり返った通り沿い。黒岩はポケットから一枚のメモを取り出した。そこに記されていたのは、かつて管理官時代、自らが厳しく叩き上げた教え子の直通番号だった。ハンティングジャケットの汚れを無造作に払いながら、受話器を取る。
「……私だ。夜分にすまん、沖田」
​電話の向こうで、現職の参事官である沖田が息を呑む気配がした。引退し、今は紫波の土を耕す身で口を出すのは野暮だと分かっている。だが、あの雪の長野で自分たちを救ってくれた「地域課のプライド」の血筋が、今また現場で戦おうとしている。
「ダメ元で聞く。……機動隊で浮いている『盾』はないか」
黒岩の低い声が、本庁の冷徹な官僚機構の奥底を静かに、だが確実に揺さぶった。
​3. 沖田の決断
​電話を切った沖田は、即座に端末に向かった。彼女の頭の中には、警察組織の全備品データが叩き込まれている。
「……機動隊、大型重機積載車の更新……。一台、廃車予定の個体がある」
それは、いすゞ・ギガ。旧式ではあるが、その堅牢さは折り紙付きだ。
沖田は参事官としての仮面を被り、事務連絡の体裁を整え始めた。
「……黒岩先生の頼みだ。何としてでも通す」
彼女は、かつて黒岩に教え込まれた「現場第一」の精神を、今、官僚としての手腕で具現化しようとしていた。
​4. 組織を越えた「盾」
​沖田の動きは速かった。彼女は即座に海上自衛隊の室井慎次大佐へ連絡を入れる。
「海自大佐、室井慎次。……事務的に伝えます。警察庁と海自の協力体制に基づき、退役車両一台を第501沿岸警備隊へ特例譲渡します。異論はありませんね?」
受話器の向こう、室井は多くを語らなかった。ただ一言、「了解した」とだけ。
​同時に、沖田は警視庁特車二課の斯波さんへ極秘の依頼を飛ばしていた。
「旧式の心臓を、最新の『アリソン5AT』へ換装して。戦場へ送り出す準備をお願い」
こうして、紫波の山で生きる老猟師の執念が、官僚と軍人、技術者の手を経て、一つの形へと結実していった。
​5. 紫波SAの咆哮
​深夜2時。静まり返る東北自動車道・紫波サービスエリア(下り)。
入江軍曹のパッソが放つヘッドライトの光が、濃い霧を切り裂いていた。
突如、ハイウェイの奥から地響きのような重低音が近づいてくる。現れたのは、夜の闇よりも深いネイビーに塗り替えられた巨躯——いすゞ・ギガ。
​運転席から降りてきたのは、特車二課の斯波さんだった。
「……待たせたな。頼臣さんたちが繋いでくれた盾だ。中身は最新に化けさせてあるぜ。……使いこなせよ、入江」
軍曹はパッソをギガの荷台へと慎重に積み込み、ガッシリと固縛した。
手渡された重い鍵。軍曹が運転席に這い上がり、スターターを回す。V12エンジンが、かつての城西の魂と、今の黒岩の不屈の精神を宿したかのように咆哮を上げた。
​アクセルを踏み込む。アリソン5ATの滑らかな変速とともに、数トンの鋼鉄が軽やかに加速していく。
それは、第501沿岸警備隊に刻まれた、新たな、そして最強の「盾」の産声だった。​

​7.二枚の通行券
午前2時過ぎ。紫波ICの一般出口レーンに、パッソを背負ったギガが滑り込む。
軍曹は窓を開け、自らが花巻で受け取った通行券と、斯波さんから渡された本庁発の通行券、二枚を収受員へ差し出した。
「……この積載車は本庁からの回送、上のパッソは花巻から積載した。一括で公費精算を」。
二枚の券が処理され、ゲートが開く。
軍曹がアクセルを踏み込むと、V12エンジンとアリソン5ATが共鳴し、かつての城西の魂を宿した咆哮を上げた。
​6. 暁の誓い
加速するギガの車窓から、軍曹は遠くの山並みを見つめた。そこには、静かに山を歩く老猟師、黒岩の眼差しがある。
「……デカ長、確かに預かりました」。
第501分署・旧式大型重機積載車。新たな「盾」の産声が、紫波の夜明けに響き渡った。
人差し指(下)画像のリンクはコチラ人差し指(下)
https://drive.google.com/drive/folders/13cW5vA0opBcADprwqG0W-Pvr2UBb3XH7

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