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MAYDAY メーデー!ナショジオコミュのSEDOND THOUGHTS:LUXAIR 9642墜落事故

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2002年11月6日朝、LUXAIR 9642便(Fokker50型機)は乗員3名と乗客19名を乗せて、ドイツBerlin-Tempelhof空港からルクセンブルグFindel空港へ向かっていた。Claud Poekes機長は26歳だが同型機には長く乗務しており、John Arendt副操縦士は32歳で同型機への搭乗は数百時間であった。乗客の多くはドイツ人ビジネスマンであった。
午前10時前にLuxembourg空港付近へ到達したが、同空港は深い霧に覆われていて、3-4機が空港北方16NMのDiekirch上空9,000FtでHoldingしていた。視程はRVR=275mしかなく、同社が規定するFokker50の最低視程300mを切っていた。操縦士らは代替飛行場にFileしたドイツSaarbrücken空港への着陸地変更を検討したが、予備燃料20min分を加えると300kg足りないと分かった。そうこう話している時、Luxembourgアプローチ管制から”Luxair 9642, descend 30, turn left 130”と着陸への誘導が始まった。滑走路視程が低く、高度がまだ7,000Ft位あったため、機長らは着陸復行してHoldingの列に入ろうかと話し合っていたところ、アプローチ管制からRVRが300mに伸びたことが報告され、副操縦士は進入継続することを伝えた。それで”Luxair 9642, turn right 220, cleared to ILS approach Runway 24”が発せられた。同便は蛇行して距離を稼ぎながら高度を急速に下げて、Grideslopeへ乗せようと調整していた。管制塔より”Luxair 9642, cleared to land Runway 24, wind 180/5”と着陸許可が下り、1,500Ftで副操縦士がFLap10°展開。その後、機長がThrottoleを引いたところ、突然機体がボォ、ボォ、ボォと異音を立てながら激しく揺れ、着陸姿勢を維持出来なくなった。同便は滑走路手前の国道1号線を直行するように尾翼からHard Landingし、滑走路手前700mで機体はバラバラとなった。直後から出火して、機外へ飛ばされた乗客1名と機長は救出されたが、残り20名は死亡した。
ルクセンブルグ航空機事故調のThomas Friesacher調査官らは事故機の残骸を検分し、エンジン、燃料ポンプ、燃料パイプなど突然の出力低下につながる異常は認められなかった。管制官へ事故当時の様子を訊くと、終日異常なかったが、事故機はHolding Legへ入らなかったと証言した。生存した機長は昏睡状態で尋問は出来なかった。
調査官らはRadarとBlackboxのデータから事故機の航跡をジオラマに再現し、ILSとの会合点でGSより300Ftほど高かった事を確認した。CVRに残された音声からは、機長は同社のDispatcherと視程が悪いのでSaarbrücken空港へ目的地変更すべきかをやり取りしていたところ、アプローチ管制から進入指示が出されたため、着陸前Briefingやチェックリスト点呼もせず、確認もしていないNAVのDMEを頼りに急降下を図っていたことが分かった。滑走路端3.5NMで160KtありGSが2,500Ftであるところ、実際には3,000Ftを飛んでいた。管制塔から着陸許可が発出された後に異音が3回あり、調査官らは実機でその音源を確かめた。FDRのデータと照合すると1つ目はFlaps10°のスイッチ音、2つ目はGear-downのスイッチ音、そして3つ目はThrottoleを落としてGround Idle以上に引いてReverse(プロペラ逆転)に入った音であることを確認した。CVRではその直後から激しい異音が発生し、電波高度計が”Terrain, Terrain”と地上への接近を警報していた。実際その時機長はエンジン回転数を上げ下げしているうちに、Throttleをβ-modeに入れていた。
β-modeは本来、地上走行中に機体の滑走速度を調整するために使うもので、前輪のAnti-skid Control Systemに重量がかからない空中で作動しない設計となっている。事故調では同型機のシステム不調を調べたところ、本事故の14年前に同様な事例があったことを掴んだ。本来なら前輪が接地すると、電気的にThrottleがβ-modeに入らないようにする止め具が引っ込むことになっているが、ごく稀にGear-downしてから十数秒間だけ、電磁干渉で止め具が引っ込んでしまう不具合が判明した。それを知ったFokker社は4年後の1992年に、このシステムを改修するService Bulletinを発表した。SBは耐空性改善命令(AD)のような強制力を伴わないため、事故機のシステムは改修されていなかった。
事故調の指摘を受けて、Fokker社はこの不具合を無償で改修することを表明した。後年回復したPoekes機長は業務上過失致死傷で刑事訴追され、懲役3.5年の実刑判決を受けた。

コメント(3)

BerlinからLuxembourgの距離は322NMで、羽田空港から中部空港までの距離です。9642便は欧州域内の超近距離便で、目的地上空で暫くHoldingに入るなら出発地へ戻った方が良いくらいの近さです。目的地の濃霧は出発前から分かっていた筈で、機長とDispatcherが搭載燃料をギリギリに抑えていた事がそもそもの失敗でした。
超近距離便だと巡航時間が殆どないので、Cruise Check Listを確認後、直ぐにApproach Check Listに入らねば管制指示に間に合いません。出発前に対応策を擦り合わせておくべきでした。乗務員はどうしても目的地へ着陸して、お客を予定通り届けたいという気持ちが働くものです。ですから「Holdingに入らず、代替空港へ直行する」とか、「Holdingで15分待機して霧が晴れないときには出発地へ戻る」など、悪いシナリオの対応策を想定しておけば、判断に迷うことも残燃料でヒヤヒヤすることもなく、余裕をもって運航できたのです。
Fokker社がAnti-skid Control Systemの不具合について積極的な改修指示を出していなかった点について、確かに滅多に発生しない誤動作であったかも知れません。けれども大抵の操縦士は落ち着いてThrottle-downしていたため、止め具が十数秒外れていても、引き過ぎていなかったからβ-modeに入っていなかったのかも知れません。そもそもGear-downとThrottle-downはほぼ同じタイミングで行う操作ですから、慌てていたり乱気流の中で引き過ぎることは充分あり得た筈です。悲惨な事故が起こって初めて無償改修に応じたFokker社の姿勢は悪質だったと思います。
番組内ではClaud Poekes機長(Craig Henderson)は落ち着いていて、John Arendt副操縦士(Wade Bigert-O'Brien)はやや慌てた感じで演じていたが、実際の言動はその逆でした。

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