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MAYDAY メーデー!ナショジオコミュの重大事故を回避せよ! ボーイングMAX8 PLANE CRASH -RECREATED–

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2018年10月29日、Boeing社からLion Airに引き渡されてまだ3か月しか経っていないB737 MAX8型機は、インドネシアのJakarta空港からDepati Amir空港へ離陸したJT610便は、離陸直後から失速警報とトリムの急速な変動が発生し、乗員はそれに必死で対応しようとしたが、遂に制御不能となって、Jakarta港沖のJava海に墜落した。乗員8名と乗客181名全員が死亡し、B737型機の事故としては、最大の犠牲者数となった。
同便に機長として乗務していたSuneja機長は、2010年にLion Airへ入社し、訓練を経てMAX8の機長へ昇格した。彼の母親の回想によれば、子供の頃から飛行機好きで、A320の操縦室を見学に入って機長からチョコレートを貰ってから、操縦士を目指したビジョンのある息子だったという。他人が飛びたがらない所へも積極的に飛行してキャリアを積んでいったとのこと。そんな息子の人生を、Boeing社は奪い取ったと悲嘆に暮れていた。
米国運輸安全委員会(NTSB)のJeff Guzzetti調査官は、MAX8が開発された時代的背景として、アジア地域での航空需要が増大していたところ、Airbus社は"neo"シリーズで燃料効率の良い新型機を発売していたが、Boeing社はそのようなラインナップがなく、従来型のB737に大きなの新型エンジンを換装してMAX8を仕立てたと解説する。Airbus社のneoシリーズでは移行訓練が不要であり、それに対抗するためにもBoeing社は「移行訓練に金がかからない」ことを強調し、「もしも訓練に費用が生じたら、1機あたり100万ドル支払う」と密約していたと語る。
Boeing社はB737の新世代型機にある小型エンジンを大型のものへ換装しても、フライトコンピュータのソフトウエア変更で乗り切れると踏んでいた。その切り札として、機体の飛行姿勢が変わると、操縦桿へ制御の力が加わるMCASというコンピュータシステムを搭載した。そのため以前からB737型機に乗務していたパイロットは、MCASに関する訓練を受けておらず、その搭載すら知らなかった者も多かったという。
MCASを制御するのは機首の左右に1対装備されている迎え角計(Angle of Attack, AoA, Indicator)であり、このセンサーが機体の上下角度を感知し、その情報をFCCへ入力する。事故機のFDR解析から、左側センサーが誤作動で10°機首上げしているとFCCへ伝達したため、FCCは10°機首下げして対気速度が増し、操縦桿の引き上げが大変重くなった。水平安定板が暴走する”Trim Runaway”状態になった場合は、Electric Trim OFFとすればMCASが自動的に解除される。しかし610便の操縦士は何が起こったのか、どう対処すべきなのかも分からぬまま、出来る限りの手を尽くしたが墜落したのだった。
この点について、NTSBのGuzzetti調査官は、Trim Runawayは色んな機種で発生する事象であり、それに対する対処法をLion Airが訓練しておくべきであったと指摘した。但し、MCASの誤作動を手動Trimで修正すると、10秒後には再びMCASが暴走するON/OFF状態となるので、これに対処するためには15〜16回シミュレータ訓練しておけば良かったとコメントした。
ではMAX8に模したシミュレータを使って、この事故を回避できたか否かについて検証が行われた。Andy Green, Dave Unwin, Lauren Willson, Gay Westgate, Helen Heevanが事故の状況と対策方法を知らされぬまま操縦できるか挑んだ。機体の異常姿勢を立て直すのは容易でなく、無理に操縦桿を引き起こそうとするとG>2.5となって、機体が構造破壊する状況になった。
Lauren WillsonはMCASの問題解決法を知ってからシミュレータ再現で飛行した際に、「電動トリムを解除して機体を安定させれば、Maydayを発出しなくても、非常事態を告げるPanコールで出発空港まで帰投できる」と断言したが、「機首が急激に下がったり、対気速度が上がったり下がったりする中で、果たしてRunaway Trimに気付くことが出来たか難しい」と評した。
Andy GreenとDave Unwinは高度20,000ftから機首を40°下げ、対気速度500ktで姿勢回復させる試みをシミュレータで再現したところ、11,000ft降下した。そのため離陸直後にこのような状態となったら、回復は不可能だったであろうと評価した。
FAAとBoeing社は、同型機へのソフトウエア"Patch"をあてて機体制御システムの暴走を防止するemergency directiveを全世界のMAX8運航会社へ通知した。しかし、Lion Air610便墜落から5か月後には、Ethiopia航空の同型機が同様なノコギリ型の上昇と降下を続けた後に墜落する事故が発生。MAX8は運航停止となり、Boeing社は、MAX8が使われ続ける前提で、平均的な操縦士がAoA計が故障した場合の事故発生件数は15件と想定した。米国連邦議会ではMitchell上院議員から「これは単なる事故ではんく、”Reflection failure”である」と糾弾された。Boeing社の販売戦略についても「Judaの呪術のようだ」とprofessionalismの欠如を指摘されて、同社のみならずFAAの信頼も失墜した。
結局Boeing社はMCASが10秒ごとに姿勢制御を評価するプログラミングを廃止し、同型機の乗員には新たなシミュレータ訓練を課すよう改善策を取った。これによりMAX8はLion Air墜落事故から20か月後に耐空証明が際は再発給された。

この問題が発生した後、Boeing社のテストパイロットと話をしたことがあります。彼は「Stabilizer Trimを解除すれば、どうってことはないのに...」と溢していました。確かにトリムが暴走する事例は他の機体でも発生することで、それに対する対処法を訓練しておくことは大変重要です。但し、この番組で出演した熟練パイロットが異口同音に語っていたように、何が起こったか分からない状態で対処できるか?離陸直後の低高度で発生した際に対応できるか?という点には甚だ疑問です。要はBoeing社がAirbus社のneoシリーズ発売に焦って、安易な形でセールスしたつけが、航空会社と乗客、ひいてはBoeing社自身に回ってきたのです。

もっと根本的な部分には、乗員の飛行訓練に多大な費用をかけたくないという航空会社の貧相な事情が巣食っていると云えるでしょう。NTSBのGuzzetti調査官は、その点を強調したかったのだと思いますが、FAAの下部組織であるNTSBは米国の主要産業である航空機製造から政治的な影響力なしに公言することは極めて困難です。

Boeing社の信頼は一気に失墜しました。その後に露見した同社の品質管理の杜撰さなどが重なって、民間旅客機需要はAirbus社をはじめとする競合相手に注目が高まっていることは確かです。

コメント(2)

この番組は従前の編集スタイルとは異なる再現版(recreated)のため、役者の出演がありません。ナショジオのドキュメンタリー番組に準じた構成です。シムレータを用いた操縦再現には、色んな経歴を有する数名のエアマンが挑んだのが良かったです。大多数の意見が一致すると、墜落事故の状況が大変困難であったことが理解できるからです。
NTSBのJeff Guzzeti調査官が多少Boeing社の肩を持つような発言をしていたのは、自身の立場上仕方がなかったのかも知れない。他方。Tom Hauter元調査官はBlackboxの技術的なコメントなどに止め、政治的なコメントを控えた発言をしているところに、当時の現役とOBの立場の違いを感じさせられた。

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